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王子様を放送します  作者: 竹 美津
本編

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みんなで朝ごはん

「バラン王兄様。どこから盆踊りの情報を?」


「私の所に、音楽の情報があったら、知らせに来てくれる吟遊詩人達がいるんだよね。オルビット伯爵家の屋敷で、不思議な音楽が聞こえてきた、と知らせがあって。結構、民達の話題になっていたみたいなんだよ。それで、君たち昨日オルビット伯爵家に行ったというから、昨夜遅くに帰ってきたマルサに、詳細聞いて。」

むふふん。得意気な顔しつつ。


「で、ぼんおどりとは?竜樹君?」

「バラン王兄様〜教えるから、先に顔洗わせてくだせぇ。朝ごはんも食べさせてくだせぇ〜。」タハァ。

竜樹はまだ、朝のトイレさえ行ってないのだ。

子供達が、ムニムニ起き出して、おしっこ行ったり、し始めながら「誰?」という顔をしている。


「うむ!教えてくれるというなら、良いとも良いとも。しばらく待つよ。朝食、私も、もらおうかな?」

「子供達と同じ、簡素なものでよろしければ。一人分くらい大丈夫かな?タカラ〜。」

はい、お呼びですか。

早起きタカラとミランは、バラン王兄と一緒に来たらしく、そこに控えていた。ミランは、既にカメラを回しており。

タカラに、食事一人増やす旨連絡してもらって、竜樹と王子達と子供達は、朝の支度。

「ほれほれ、ニリヤ、アルディ王子、ネクター、オランネージュ。起きてください、朝だよ〜。」

「ムニ•••あさ•••。」

「•••はっ!ねれた!」

「ふぁ〜い。起きるぅ。」

「お、おふぁよう。」


「ジェム達も、起きれたかぁ〜。」

ちっちゃい子を、子供同士で起こしたりし合って、竜樹が、「みんな、顔洗うよ〜。」と言えば、ちょこちょこくっついてくる者もいたり。

順々に管理人夫婦にも促されて、みんなして顔を洗い、くりくりと顔を拭いて拭かれて、わちゃわちゃと着替える。


「ふふふ。賑やかで、いいね。」

バラン王兄は、子供好きなようである。


炒めたじゃがいもと、ほうれん草。

チーズ1カケにハム2枚。

温めたミルク。

むっしりと割れる雑穀パンを、大人は3個、子供は2個か1個。


「なかなか美味しい朝食じゃないか?」

「王宮の料理人さんが作ってますからね。本当は目玉焼きつけたいんですけど、まぁそれはこれからの目標で。まずは、お腹空かないで3食、食べられるを確実に。栄養も考えて、でね。」

竜樹とバラン王兄は、ワシワシとパンを食べながら話し合う。

ジャムとかバターつけられたら、もっといいかなぁ、などと言い合うが、ジェム達は、ご飯美味しいよ、食べられていい感じ、と笑っている。

少し余分に作ってあるので、余ったのをもう少し食べたい子がもらい、さっぱりと残りを綺麗にする。


キリッと着替えて、仕事に向かうジェム達に、今日は休みの番の子が、手を振って見送る。

「じゃあ、バラン王兄様に盆踊りを教えてあげる人、集まれ〜!」

「「「はーい!はーい!」」」


どどん ど どん と、スマホから音頭が流れて、バラン王兄も音にノリ、しばらく踊ったら満足し。

「低く響く、空気を震わす太鼓が、血潮を高揚させるね!面白かった!ありがとう、みんな、竜樹君!」

ニコニコと帰っていった。


その後は、王子達とアルディ王子は、教師を寮に呼んで、みんなでそれぞれのお勉強をして。

休みの子とちっちゃい子達と竜樹で、昨日花街のお姉さんにもらったお花を押し花にした。

お昼を、帰ってきたジェム達と食べて、一度、パンセ伯爵家のエフォール君を迎えに、王宮の中の待ち合わせ部屋へ行く。


ココン、とドアを叩き、竜樹が入る。

「お待たせしました!パンセ伯爵家の方ですか?俺は、畠中竜樹、ギフトの御方やってます。今日は、急なのに来ていただいて、ありがとうございます。」


中には、車椅子に乗った少年。藁色のボブにした髪に飴色の瞳の、そしてネクターくらいの身体の大きさに、足はほっそりとした子が1人と。


「いえいえ、こちらこそ。我が家のエフォールの事でとか。呼んでくださって嬉しく思います。パンセ伯爵家当主、エスポワールと申します。」


焦茶にチラッと白髪混じりの髪をリボンで結び、車椅子の横についた、スッとした立ち姿のおじさまが、優雅に礼をした。

そして、息子にも礼を促す。


「パンセ伯爵家のエフォールと申します。本日は、お声かけくださりありがとうございます。」

「エフォールは足が悪く、座ったままでのご挨拶、ご無礼申し上げます。」

目を見開いて、戸惑いながら、2人の父子は、挨拶をした。側に、車椅子を押す付き人と、癒やし魔法を使う魔法使いも控えている。


竜樹は、花街のコリエ嬢の話はせず、ぜんそくの話と、足の話をした。

「そ、それでは、もしかしたら、エフォールの足が、動くようになると?!」

「絶対ではないです。でも、希望はあります。そして、もし神経が治っても、忍耐強く、少しずつ、歩く練習をしていかねばならないでしょう。今日は、このお話をして、もし良かったら治療を受けてみるか、考えていただきたかったのと。」

ニコリ、と竜樹はエフォールに笑いかけ。

「ぜんそく仲間の、アルディ王子や、3王子達、新聞売りの子達と、遊んだりしてみない?と思って誘ったんですよ。」


ふっ、とエフォールは、暗い顔をする。



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