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ノストラうんこの大予言

 俺はノストラうんこ。


 大卒ニートでやることがなく、暇を持て余していた為、伝説の予言者の名前をもじって「予言パフォーマンス」をはじめた。



 最初はネットの動画配信でふざけて「あしたは全国各地で飴ちゃんが降るでしょう~~~ペロペロペロペロ~~~♪^^」


 などとふざけていたのだが、段々視聴者が集まりだし、ちょっとしたサブカル的な人気をもつ配信者になっていた。




 ノストラうんこ「あしたは俺がうんこ喰うでしょう~~~(●>ω<●)ぶりぶりぶり~~♪」



 いつも通りネットで生配信をしながら予言する俺。


 リアルタイムで視聴者からのコメントが寄せられる。


『ぜったい喰えよ?』


『嘘だったら詐欺罪で訴えます。民事で勝つ』


『視聴者なめんな』



 などなど。


 ノストラうんこ(ふう~~~今日も俺ってば、視聴者から愛されてるなぁ~♪)



 俺の自尊心もうなぎ登りである♪


 にゅるにゅる~ん^^




 翌日…


 俺が目をさますと、俺の部屋に見知らぬうんこが落ちていた。


 ノストラうんこ「あれ?おかしいな?俺こんなとこにうんこした覚え無いぞ~?」



 ぷりっとした艶のあるバナナ型のうんこ…。



 見知らぬうちに酔っぱらって粗相をしちまったのか?と昨夜の記憶を辿るが…


 ノストラうんこ「いや、昨日は酒なんか飲んでない。それに配信終わったらすぐ寝たよな?やっぱ俺うんこしてねぇよ」



 俺はうんこしていない…。



 だとすると、目の前のこのうんこは、一体誰のものだというのだろう?





 俺はうんこに鼻を近づけて、警察犬のようにスンスンと匂いを嗅いだ。



 ノストラうんこ「ん?この香り…なんだか、嗅ぎ覚えがあるような…?」



 そのとき、俺の脳裏に

 ひとりの女の記憶が浮かんだのだった。





 大学三年生の夏、俺はひとりの女と付き合った。


 美玖みくという名の、笑顔が可愛い女だった。



 俺たちは友人の紹介でお互い知り合って、メールしたり飲みにいったりしてるうちに付き合うことになった。



 大学の授業が無い日は美玖が家に遊びに来て、一緒に料理を作って食いながらダラダラとアニメ談義をして過ごしたりした。



 美玖はよく、俺を笑わせようとギャグを言ってきた。


 テンションが読めなくて、でもそこがウケて楽しい日々だったと思う。



 ノストラうんこ「たしかその時…あいつに合鍵渡したんだっけ…」



 美玖との付き合いを続けていた大学4年生の夏。


 俺は家族と大喧嘩した。



 主に進路の事とかだったと思う。




 美玖も美玖で、親との喧嘩で鬱っぽくなる日が増えていた。




 俺は、家族への反発心から、たいして適正もないのにマーケティングの勉強をするために、大学の授業を抜けてセミナーに通ったりするようになった。



「ほかの奴らより先を見据えてる俺、カッケー」とマジで思っていた。




 美玖は鬱っぽくなったり、一緒に会って遊んでるときでも、突然泣き出したりするようなことが増え、俺は苛立ちから美玖を拒絶するような発言をした。




「そうやってネガティブになられるとさ、こっちの運気も落ちる気がする…もうすこし笑ってくんない?」




 今おもえば、彼氏としては最低の一言だったと思う。



 でもさ、その頃の俺は馬鹿だから解んなかったんだよ。




 美玖は俺の部屋に来なくなった。



 俺も俺で「住む世界が変われば付き合う人種も変わるんだ。これが自然なんだ」とか訳のわかんない事を言いながら気にもしなかった。




 そう……大学生の頃の俺の、苦い思い出だ。




 ノストラうんこ「この匂い…まさか…美玖!?いや、でも美玖が家に来なくなってから

 もう二年は経ってるぞ…!?まさかそんなはず…」



 俺の鼻腔をくすぐる懐かしい匂いは


 彼女がすぐさっきまで此処に居たんだと訴えている。


 ノストラうんこ「合鍵はまだ持ってたとしてもおかしくはない…よな


 LI●Eって、まだ繋がってたっけ!?」



 俺は慌ててスマホを手に取ると、チャットアプリを起動した。



 美玖の名前を…必死に探す。




 ノストラうんこ「あった!!美玖!!!」




 震える指先で、美玖にチャットを送った。



【美玖…ひょっとして昨日、俺の部屋来てた?】



 ノストラうんこ(既読ついた…!)



 心臓の鼓動が早くなる。


 彼女が、俺のメッセージを今まさに開封して読んでいる!!



 返事は…!??



 ティロリン♪


 ノストラうんこ「返信キタ!!!」




【うん。合鍵すごい久しぶりに使ったよ】



 ノストラうんこ「美玖…………ッ!!」



 気づけば俺の眼からは、熱い涙がドロドロとあふれていた。



 あの頃、あの日々、



 美玖と過ごした時間が、瞬間解凍されて熱を帯びて心臓まで流れ込む。





 ノストラうんこ「美玖!!!」


 たまらず通話ボタンを押す。


 出てくれ…!たのむ!



 美玖「ケイちゃん…?」



 スマホ越しに、俺の本名を呼ぶ美玖の声。

 あぁ…懐かしいな。美玖の声だ。




 ノストラうんこ「美玖ごめん!俺、俺あんな偉そうなこと言ってさ、毎日進路が不安で八つ当たりして、デカイ口叩いて…今…今だって結局ノストラうんこだよ!!」




 美玖「あはは、ケイちゃん。動画見たよ。ほんとにうんこ好きだね。

 あのさ、美玖のうんこなら喰えるって言ったの覚えてる?」



 ノストラうんこ「あぁ!!あぁ…覚えてるよ!!

 俺らがクリスマスにチョコケーキ二人で買って喰ってた日に言ったやつだろ!?俺このケーキが美玖のうんこで出来てたとしても完食できる、それくらい愛してる!って言った!!!」



 美玖「うん、あれは正直引いたけどね(笑)でもうれしかった」



 ノストラうんこ「配信みてくれて…ありがとう。俺、俺こんな予言当たるなんて、すごいサプライズだよ!!」



 美玖「マジで喰わないでね(笑)」



 ノストラうんこ「いや喰うよ(●>ω<●)!」



 美玖「え…!?」



 ノストラうんこ「いや、喰う。喰う!!美玖と俺の愛の復活記念に!」



 美玖「いや、私もケイちゃんさえ良ければそうなりたいなって思ってはいたけど、うんこは喰わなくて良いからねッ!?」



 ノストラうんこ「いやマジで食うわ(●>ω<●)なんなら今から生配信する!!」



 美玖「え?ちょっと待って流石に冗談だよね!?」



 ノストラうんこ「配信開始したよー(((o(*゜▽゜*)o)))見ててね!美玖!喰うよー今から」



 美玖「待って!待って!映さないで!!!画面にうんこ映したらアカウント削除されちゃうよ!?」



 ノストラうんこ「いっただっきまーーーーーーーーーーーーーーーーーす!!!!!!!!!!!!!!!!!!!♪♪♪♪♪」







 俺の名前はノストラうんこ。



 大卒ニートになってから早2年。



 今日は人生で一番うれしい朝食でした♪(≧∇≦)




<完食>


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