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第五話

「ジル様、ご婚約おめでとうございます。いやはや、めでたいですな」


「まさかシュバルツ殿下が求婚なさるとは。これは大事件ですよ」


 パーティーが終わり、アルベルトとニーナに案内されるがままに馬車に乗りました。

 シュバルツ殿下の求婚という出来事はやはり大きな事件みたいですね。

 当たり前です。普通は人質として連れてきた人間を娶ろうなんて思うはずがありませんから。


「ジル様のお住まいにご案内させて頂きます」

「私たちも共に住まわせて頂きますので、何かございましたら何なりと申し付けて下さいね」


 王宮から馬車で数分の距離に私の住まいという家……いえ、屋敷がありました。

 これは実家よりも随分と大きいですね。いくら王子の婚約者だからといってこんなにも厚遇して頂けるなんて。

 

「明日は健康診断をするとのことですので、今日はお早めにお休みになってください」


「健康診断……ですか?」


「はい。身体の悪いところが無いか、とか。色々とお調べするみたいですよ。なんせ、大事なシュバルツ殿下の婚約者様ですから」


 なるほど、体調の管理は徹底するという事ですか。

 予言の婚約者は国の繁栄を約束しているみたいですからベルゼイラ王国は手厚く保護する方針みたいです。


「あとは、魔力量の計測ですな。聖女ジル様と言えばアウルメナス家の歴史の中でも随一の魔力量を持っているとのこと。私もどのような数値が出るのか興味があります」


「ま、魔力量の計測……? そ、そんなことが出来るのですか?」


「ベルゼイラの新技術ですよ~~。我が国の誇る魔導技師たちがその技術を結集させて、その人の有している魔力の量を数値化して計測出来る魔道具を創り出したのです」


 まさか、魔力の量が数字で計測することが出来る様な道具が開発されていたなんて。

 そう考えると故国は随分とベルゼイラ王国に遅れを取っているような気がします。


 そんな話を聞きながら、ニーナに着替えなどを手伝ってもらい……びっくりするくらい大きなお風呂で入浴を済ませ……就寝となりました。


 どうしましょう。いきなり難題に直面しました。

 魔力の量が少ないことが知られると私がジルではないことがバレてしまいます。


 それにしても、こんなにも寝心地の良いベッドは初めてです……。


「……はっ!? 今、一瞬寝てしまいました」


 寝ちゃダメです……。

 どうにかすることを考えなくては……考えなくて――



 ◆ ◆ ◆



「次は魔力量の測定です。こちらの札を握りしめて下さい」


 完全に寝落ちしてしまいました。

 普段、床同然のところで寝ていたので……あまりにも気持ちよくて……。


 えっと、これを握って……。


「王国で一番の魔法師が5000MPだったか?」

「我が国の聖女レティア様は4400MPだったから、それ以上は期待できるな」

「ジル殿はアウルメナス家で随一の才能の持ち主とか。期待しちゃうよ」


 何だかよく分かりませんが、すごく沢山の人が見ています。こちらに来る際にニーナに聞いたところ、魔力の量はMPという単位で計測されておりベルゼイラ所属の魔法師の平均は100MP程なのだとか。

 とにかく、計測するときに精霊術で魔力を取り込めばある程度は誤魔化せるはず――。


「あれ? 30MP……? 何だこりゃ、一般人以下じゃないか。故障か……?」


 札を私に渡した白衣を着た男性が首をかしげました。

 あっ……今から測るとか言わないのですね。

 ま、まずいです。早く精霊術を使って、自然界の力を取り込んで魔力に変換しなくては――


精霊の加護(マナバースト)……!」


 大地、草花、風、そして太陽……命を育む大自然を司る精霊の力を借りて、それを自らの力とする精霊術。

 この力は邪道としてアウルメナス家では認められませんでしたが、私の魔力不足を補ってくれます。


「ご、530000MP……!? し、信じられない……!」

「嘘でしょ?」

「そんな人間存在するのか……」


 白衣の方々が何やらざわついていますが、どうしたのでしょう。

 誤魔化せていますよね……。大丈夫だったと信じたいです――。

 

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[一言] え?フリー◯様!?
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