表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/53

37.神と話す聖女様、地の文で書けば良かったかも(反省)

『貴女の望みはわかりました。ご都合を伺ってきます。しばらく待っていてください』

「はい。お願いします」


  ☆


『(マルクト様、お聞きの通りです。龍の聖女(あの娘)の相手をお願いします)』

≪(わ、私がですかぁ?)≫

『(当然です。今の貴女は神々の長なのですから)』

≪(そ、それは……、そうなんですけど……)≫

『(大丈夫です。我々のあり方をそのまま答えれば、それで済みます)』

≪(ああ、それもそうですね)≫

『(難しく考えることはありません。いい機会ですから、世界(人族)に知らしめましょう)』

≪(そうですね。そうしましょう!)≫


  ☆


『ティア。マルクト様が、貴女の話を聞いてくださるそうです。会話は世界中に聞こえます。そのつもりで話してください』

「はい、わかりました」


 私はもう一度深呼吸して、マルクト様に呼びかける。


「マルクト様、龍の聖女ティアーユです。この度は、急なお願いをお聞き届けいただき、ありがとうございます」

≪それは構わないのですよぉ。私に聞きたいことがあるならぁ、遠慮なく聞いていいですよぉ≫

「はい、ありがとうございます。地上では、マルクト様の名を冠した国が、聖女と聖騎士を使い、小さき国を手中に収めています」

≪それは知ってますよぉ≫

「私は、その暴挙を見過ごすことができません。放っておけば、私の母国も同じ目に合うかもしれません」

≪貴女の母国がそうなることはぁ、あり得ませんよぉ。貴女がいますからねぇ≫


 おうふ。的確過ぎる突っ込み!

 でも、それって、私が止めてもOKともとれるわね。

 だったら、単刀直入に言ってみよう!


「とにかく、私はマルクト様の名を冠した国と戦い、討ち滅ぼすつもりです」

≪それは勇ましいですねぇ。頑張るのですよぉ≫

「えっ!? 止めたりは……、なさらないのですか?」

≪そんなことはしませんよぉ。いい機会なのでぇ、皆に言っておきますねぇ。私たちはぁ、世界を見守る存在なのですぅ。この世界で生まれた者はぁ、すべてが対象なのですよぉ。ですからぁ、人間同士の争いにはぁ、関与しませんよぉ≫

「それは、かの国に不満を持った者たちが反旗を翻しても、咎められることはない。と、いうことでしょうか?」

≪その通りですよぉ。むしろぉ、褒めてあげたいぐらいですねぇ≫


 これは……、少なくともマルクト様は、聖国を特別扱いしてないってことよね?

 それじゃ、思い切ってこれも聞いちゃおう!


「では、かの国の教皇が神の地上代行者というのは?」

≪それは自称ですねぇ。直接伝えたいことがあればぁ、神託や啓示を使いますぅ。どうするかを人間に考えてほしいときはぁ、預言者に伝えますよぉ≫

「じゃあ、かの国の行動は?」

≪自己責任になりますねぇ。ですからぁ、ティアもぉ、やりたいようにやっていいんですよぉ≫

「わかりました! ありがとうございます!」

≪そういうことだからぁ、人間たちぃ、自分で考えてぇ、自分で動くのですよぉ≫


  ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 私とマルクト様のやり取りは、絶大なインパクトをもたらした。


 インキビットは神の声が聞ける世界。

 でも、実際に聞いたことがある人は、極々少数しかいなかった。

 聖女の関係者と、私が天の声と呼んでるやつを聞いたことがある人を合わせても、おそらく500人いないだろう。

 世界がもし100人の村だったら確実に0人。一万人の村でも同じく0人。そんなレベルよ。


 なのに、いきなり! 世界中の人々が神の声を聞いたわけ!

 そりゃあ、驚くなって方が無理よね。

 神託を何度か受けた父上と母上も驚いてたって聞いたから、初めて聞いた人がどうなってたかは、想像がつくわ。


 しかも、内容がアレだからね~。


 教皇=神の地上代行者という公式を、神々の長が全否定!

 教皇の面目丸つぶれ!

 聖国の権威は完全に吹き飛び、ただの大国になり果てた!


 とはいっても、面と向かってケンカを売れる小国がいないことに変わりない。

 聖騎士団、マジ強いからねー。

 聖騎士一人は普通の騎士二人分の戦力で、人数はエリシュの騎士の倍ぐらい。そういうことです。


 エリシュ(ウチ)

 エリシュ(ウチ)も自分からはケンカを売りませんよ。

 確かに戦力は上だけど、その前にやることがあるからね。

 エリシュ出身の聖女7人。人質同然の彼女たちを奪還するのが先なのです。


 戦時で追い詰められてるならともかく、まだ開戦前だからね。

 自国民をみすみす危険にさらす選択はしない。それが大原則です。


 そうそう。ケンカは売らないけど、挑発はします。

 エリシュは聖国教会との絶縁を宣言! エリシュ国教会を設立しました!

 教義はそのまま。建物や人員もそのまま使います。


 あ、ヒガイタントのバカ助祭みたいに救いようがない聖国信者は、国外に追放しました!

 あいつら、マルクト様の話を聞いた後も、神様じゃなくて教皇に祈りをささげてたんだよ!

 いうなれば、マルクト教徒じゃなく、マルクト聖国教皇教徒! 

 価値観が違いすぎて、共存は無理です。

 宗教がらみだと、お互いに譲れなくなりがちだからね。



 エリシュ国教会の設立は、聖国の権威だけを恐れてた小国の背中を全力で押した模様。

 羽の貸与と安保条約の締結を求める小国が、一気に増えた。

 ただまあ、こちらは慈善事業をしてるわけじゃないので、審査は厳格にやってます。

 羽をバラまくだけならいいけど、安保条約のバラまきは避けなきゃマズい。

 いや、同時多発で侵攻されてみ? 私一人じゃお手上げですぜ。


  ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 やってくれました!

 ま・た・も・や、聖国がやってくれましたあぁーーーーっ!


 奴らが何をやったか?

 神をも恐れぬその所業を並べよう!


 まず、聖域ディルムンから聖騎士を全員引き上げ、本国に集めた!

 ついでに、聖域で修行中だった聖女も全員連れ去った!

 さらに、教会の神像――マルクト様の像――を壊し始めた!


 これさあ、聖騎士の件は、「ああ、そう」で済むと思うんだ。神の目線で見たら、の話だけどね。

 ただ、昨日まで自分に敬意を払ってた人間が、いきなりそれを止めたら……。

 私だったら、思いっきり気分を害すわね。


 次。修行中の聖女を連れ去るのは、神が定めたルールに抵触してます。

 聖女が聖域で修行するように決めたのは、聖国じゃありません!

 それを決めたのは神様なのです。聖女を一人前と認めるのが聖域の役目なのも、それが理由です。

 聖国は人間同士の争い――戦略の一つ――だと思ってるんだろうけど、神はどう見てるのかしら?


 最後の神像破壊は、神にケンカ売ってるとしか思えません!

 地球には、偶像崇拝を禁止してる宗教もある。

 でも、マルクト教は禁じてない。

 推奨もしてないから、微妙なところではあるけどね。


 とまあ、私だったら同じ立場になっても絶対しないようなことを、シレッとやってくれたのですよ。

 まったく、何考えてるんだろうねー。

 マルクト様は「人間同士の争いに関与しない」とは言ったけど、神を侮辱する行為や敵対する行為を見逃すとは言ってないのに……。


 あ、もしかして!


 不意に私はひらめいた。

 聖国を動かしてるのは、預言者なのでは……?


 ディマンドの一件には、預言者レイ・オニキスが関わってた。

 その彼は、現在も行方不明のまま。


 保護国にいないのは間違いない。

 エリシュに隠し事をする度胸もメリットもないからね。

 同じ理由で、保護を求めてきてる小国にもいないと思う。


 となると、聖国にいる可能性がマジで高い。


 聖国の内情は、よくわからない。

 預言者が何人いるのかもわからない。だから、レイが黒幕とは限らない。


 教皇と預言者の力関係も不明。

 ただ、教皇が預言者の言葉に従ってると仮定すれば、一見無謀で無茶な動きにも説明がつく。


 まず、脱北ならぬ脱聖した人はいないらしい。

 全員が教皇を支持しているのか、それとも反対する人は粛清されたのか、これは不明よ。

 確かなのは、今も聖国に残ってるのは、マルクト聖国教皇教徒だけってこと。

 つまり、教皇が預言者を絶対視していたら、聖国は無条件でそれに従っちゃうわけ。


 神々の思惑はわからない。

 聖国の行動は神々の総意なのか、それとも特定の神の意向なのか?


 私の味方をしてくれる神様が「最悪、聖域ディルムンと敵対することになるかもしれない」と言ったのは、このことだったのかもしれないわね……。

 ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


 前半、読みにくくてゴメンナサイ!


 マルクト様の口調(人族向け)をモデルに近付けた(従来比)ら、こうなりました……。

 完コピはしません!

 いや待て、完コピしたら逆に読みやすくなる……のか……?


 とりま、次回も明後日投稿の予定です。

 三連休? 創作に使える時間は普段より減ってますが何か?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ