31.閑話 少女たちのお茶会 その2
ここは真っ白な空間。
五人の女性が真っ白な円卓を囲んでいる。彼女たちの椅子も真っ白だ。
上座は青い髪の少女。
そこから左回りに黄色い髪のお姉さん、白い髪の少女、赤い髪の少女、黒い髪の少女になる。
上座の左隣には給仕用のワゴン。
黒い髪のお姉さんがメイド立ちで控えている。
彼女たちは世界の管理者。
普段はバラバラに過ごしているが、節目ごとに集まり、こうしてお茶会を開く。
話題をふるのは、主に青い髪の少女だ。
「あのさ~、キミたち。ティアちゃんに言われるまで、好き放題に勇者を召喚させてたって、ど~ゆ~こと?」
「フッ、お戯れを。彼女が至龍の試練を終えた時点で、貴女様も想定はされていたのでしょう?」
返したのは黒い髪のお姉さん。それが毎回のことなので、咎める者はいない。
「まあ、そうなんだけどね。でもね、マジであれだけの数を呼ぶとは、正直、思ってなかった」
「えっ、そうだったんですか?」
驚いているのは、黄色い髪のお姉さんだ。
「うん。だってさ、普通は召喚自体、許可しないよね? 確かに龍の聖女は強いけど、魔物じゃないんだからさ」
「ええっ!? じゃあ、私、止めなきゃいけなかったんですか?」
「うん。そもそも何のために勇者召喚があるのかを考えたら、普通は止めるよね」
「えええっ!?」
「いいかい。龍の聖女をダシにして勇者を召喚できるなら、勇者をダシにした召喚もできるよね?」
「あ、はい。確かに、そうなりますね」
「本来の目的に沿って召喚された勇者は、魔物を倒した後も、この世界に残る。その勇者を疎ましく感じた者がいたら、どうすると思う?」
「……? どうするんでしょうか……?」
「フッ、新しい勇者を召喚して、共倒れを狙うでしょうね。うまくいくとは限りませんが」
「はい、正解。勇者がいるから勇者を呼べるんじゃ、それが繰り返される。そうなったら、歯止めが効かなくなるよね」
「「「私たちも、そう思います!」」」
三人の少女が見事にハモった。
「ほらね。キミぐらいだよ、配下にそそのかされて、ルールの揚げ足とっちゃうのは」
「はわわわ……」
「フッ、私が少しだけ遊び心を出したばかりに」
「いや、それはいい。それに、結果としていい方向に転んでるからね」
「フッ、私はそうなると確信しておりましたので」
「……まったく、見習いなのに、いい性格してるよ……」
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
14話のセリフを変えるだけで行けるかな~と書き始めたのですが、途中で断念しました。
なお、6人は全員、最終話までに本編に登場する予定です。




