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プロローグ 七
まず始めの章は、ソクラテス、プラトン、アリストテレスなどの古代ギリシャの哲学。そして彼らの業績をその小説の中では(小説本文の言葉を借りると)「分かりやすく」その主人公の女の子に哲学者は解説していた。
『確かに『分かりやすく』って書いてるけど、これ、相当難しいな…。』
それは高度な学問的な内容。僕はその本の始めの章を読み、そんな感想を持った。
しかし、僕は一切、その本に関してネガティブな感情は持たなかった。それどころか、僕はその中身にどんどん惹かれていった。
ファンタジックでしっかりしたストーリー進行の下に、学問的な内容がきれいに編み込まれてある。それは、その学問的内容は決してストーリーそのものの邪魔をせず、かといって薄っぺらい内容に収まっているわけでは決してない。もちろん中学生の僕は専門的なことは分からないが、その時の自分自身の感覚で本のクオリティの高さを悟った。
『哲学なんて今まで知らなかったけど、何て面白いんだろう…!』
そして、中学生の僕はそう思った。