意気投合した男が行き着く居酒屋!そして、翌日……。
青年おやっさん
「やっぱこの雰囲気は男同士に限りますよね!」
兄貴
「二色は男の聖地ですからね!大将!大瓶3本とイワシ天4、ちくわ天4、じゃこおろし1、冷やしトマト1、もひとつ!どて焼の山椒まみれ!」
青年おやっさん
「酒の肴としては、最高のチョイスです!」
二人で乾杯する。
兄貴
「実は中島様に、太中ちゃんのこと逐一報告してました。Barで呑んだ酒の種類や!どんな恰好とか!愛さん以外の女の人を連れていないか!中島様は、いつも私の太中ちゃんの報告楽しみにしてました。私はどっかでボロ出るのではと思ってました。しかし太中ちゃんは筋違いなことはありませんでしたよ。さすが中島様!私も最初は、この若造が!と思いましたが、太中ちゃんはきっちり筋通しました!どないやねん!ちゅ~ぐらいに!全部合格点しましたわ!」
青年おやっさん
「そら本当ですか?監視されとったんですか?筋違いなことやってもたら、僕はどえらいことなっとたんちゃいます……」
山椒まみれの、どて焼き喰いながらのビールが死ぬほど旨い!兄貴もガンガン呑んでワシワシ喰らう。
兄貴
「どないなると思う?」
青年おやっさん
「はは例えば南港?例えば裏六甲?例えば大和川?」
兄貴
「やっぱ面白ろい人です!不合格やったら、あっさり即ポイです!」
脇の下を嫌ぁ~な汗が流れる。
ビール一気飲みして取り繕う。
青年おやっさん
「そやったんですか。でも、なんで僕やったんです?」
兄貴
「そら!太中ちゃん!中島様が言うには若いのに海外で経験しとるから、その辺のボンボンとは行動力と女の扱いに慣れとる!まぁ、中島様が言うから間違いないわな!私も同感ですわ!」
あらぁ~ん?
そんなことやったんですね…!
膝の裏に嫌ぁ~な汗が流れる。
再びビール一気飲みして取り繕う。
青年おやっさん
「でも、まさか中島さんが余命1年なんて!」
兄貴
「私もびっくり!本当に世話になりましたから!私は若い頃ヤンチャクレで、どえらい揉め事を中島様に助けて貰ったことある。しばらく中島様の下で働いていましたが、口利きで日航ホテルで働くようになったんですわ!ほんま親父同然のお人やで!」
兄貴は日航ホテルマンとしては、かなり人扱いとホスピタリティーに徹している。そんな人にも過去があり、その過去を精算して一流として再出発している。中島氏はさすが男が惹かれる男なんだろう……。
青年おやっさん
「僕は北新地で初めて逢ったとき、正直ヤバイ方だと思いました。でも、中島さんの言動に父性を感じたのです。僕は父親の顔も名前すら知りません。母にも聞いたこともないですし、母も一切口にしませんでした…。多感な年頃に聞こうと思いましたが止めました。なぜなら母から聞いても、絶対イメージ出来ないと思ったからです」
兄貴
「そうでしたか!驚きました。私もほぼ同じ様な境遇で育ってきましたから!では兄弟みたいなもんです。もう一度乾杯しましょう!今宵に!」
あ~だ!こ~だ!と、呑んで喰って喋って!
この夜、僕と兄貴は義兄弟の盃を酌み交わしたのてした…。
兄貴と盃を交わした青年おやっさん。丑三つ時に、二色の前でお別れして日航ホテルにリターン。長い一日だった。ベッドに横たわると、今日の出来事が走馬燈のように中枢神経を駆け巡る。青年おやっさんは、中島氏に惹かれたことを誇りに思った。そして、心に誓いを立てる。中島氏のために、思いっきり働くと……。
翌朝。
熱いシャワーを浴びて身仕度を整える。戦闘モード突入スタイルは、ボトムがイタリアクラシコ。ブラックのL.pocket pants!シャツはギットマンのブルーストライプ!ネイビーにホワイトのドット柄アスコットタイ!ジョンスメドレーの海島綿オフホワイトガーディアンを羽織る。シューズはチャーチのブラックなビットモカ。鏡に写る姿に満足した青年おやっさん!
Let it goな気分で備え付けの冷蔵庫からデルモンテのトマトジュースを一気呑み…!
しばらくするとドアがノック。愛ちゃんが颯爽と登場する。昨晩。恭子さんと逢った事や中島氏の病気の件は心に封印する。
愛ちゃん
「おはようボス。今日も素敵です!」
また朝から、そんなこと。誰も見てへんからキスしたろか!いやいやいやいやいや!それはしたらあかんで。男のメンツや!
青年おやっさん
「おはです。今日も忙しなるで!」
愛ちゃん
「大丈夫ですボス!どこでも付いて行きますから!」
ほほほほほんま?どどどどどどどこでも?
デビルマンが登場しそうになる。必死のパッチで堪える……!
青年おやっさん
「今日のスイーツミーティングの準備からしよか!で、まずは二人で1階のカフェに打ち合わせしに行こか?」
二人で1階のカフェに向かう。エレベーターのドアが閉まる寸前に、走り込んできた外国人カップル…。
白人♂
「Oh sorry.Thank's a lot.」
青年おやっさん
「Not at all.You go first floor?」
白人♂
「Yes.Why don't you say not at all?.It's mean a British Style.」
青年おやっさん
「I'm looking for not American,so you just a
Englishman Ok!」
白人♂
「Why not?」
青年おやっさん
「I think your leather Chukka boot is Grenson!Lady shoes by Bally!」
白人♂
「Oh come on.What a nice,so you just a clever!」
青年おやっさん
「Never mind!Have fun in Osaka!」
1階に到着。
白人♂♀カップルとサイナラして、カフェに向かう。ふと横にいたはずの愛ちゃんがいない?エリベーター方向に眼をやると。愛ちゃんが壁にもたれて、青年おやっさんを見つめ続けていた。
慌てて駆け寄り声かける。
青年おやっさん
「どないしたん?気分でも悪くなった?」
愛ちゃんは虚ろな瞳で答える。
愛ちゃん
「もぉ~⤴素敵過ぎます。ボスの会話力!よく分かんないけど、ボスはアメリカ人ではなくイギリス人だと思って、挨拶の会話を変えたんでしょ!凄すぎます!」
青年おやっさん
「なんでか分かる?エリベーターに入って来たときに、二人の履いてるシューズ見てん!白人♂が履いてたのは、たぶんイギリスのグレンソンのチャッカブーツで、白人♀が履いてたのはバリーのスイスメイクのフラットパンプスやった。アメリカ人は、こんなん履きません!絶対イギリス人やと判断して、イギリス式の挨拶にしたってん!」
愛ちゃん
「ボス腕組んでいいですか?」
青年おやっさん
「Not at all lady!」
まぁ、腕組むぐらいやったらエエよな。
愛ちゃんをエスコートしてカフェに向かう。
次回は愛ちゃんの美しい女友だち6名とスイーツミーティング!どうなる青年おやっさん…。