プロローグ
初投稿で文章に至らない部分があると思いますが、細々とでも書き続けていきますので楽しんでいただけたら幸いです。
普段は狩人さえ近づかない深い森の中に一軒の小屋があり、魔女が住んでいる。
魔女と聞くと怖いイメージが付いて回るが、ここに住む森の魔女は周囲の村人の為に薬を作り、数々の疫病、更には大災害で傷ついた人々を救ってきた。
今では、森の魔女の噂を聞きつけて遠方から薬を求めて様々な人が来るほどである。
その森の魔女の元に少女が一人で向かっていた。
彼女の名前はシャルトルーズ・ヘブンリー
昔から病気がちで寝込んでいる母親の為に薬を求め隣の国からやってきたのである。
少女一人の旅、幾度も危険な目に遭いながらもなんとか森に辿り着いた。
森に入る前に、周辺の村人に森の魔女について話を聞いて回った。
村人が言うには、森の魔女は週に一度、森から出てきては、薬を求める人物に渡し、食糧を受け取って帰っていたとのことだが、ここ数か月の間、森の魔女を見ていないとのことであった。
何かあったのではと心配をした村人達は様子を見に行ったのだが、ことごとく森に迷い、気付いたら森の入口に戻ってしまっていたという。
それでも彼女は母親の為にどうしても森の魔女に薬が必要なのである。
彼女は意を決して森に足を踏み入れた。
他の村人と同様に彼女も迷てしまうかと考えていたのだが、森に入り数分歩いただけで小屋にたどり着いたのでる。
「あれ?」
あまりにあっけなく小屋に着いたことで、村人の言葉を疑ってしまったが、村人たちが嘘をつく意味が分からない。
とりあえず彼女は小屋をノックすることにした。
コンコン
数回のノックをしたのち、中から返事が返ってきたのである。
「はい、今手が離せないので勝手に入ってきてください」
声が聞こえた事で、森の魔女に何かあったわけではないのだと思った。
しかし、ここが森の魔女の小屋とは限らない事に思い至った。
もし違っていても森に住んでいる人ならば、魔女の家を知っているかもしれないと考えて、扉を開けることにした。
彼女が目にした物は、いくつもの棚に様々な瓶が並び、瓶の中には黄色く光る液体や、逆に光を吸い込むように黒い液体など、見なれないものが並んでいたことで、ここが森の魔女の小屋だと確信した。
先程の声の主と思われる人物は本棚の整理をしている。
魔女と聞いていたが10代後半らしき男性であったことに多少の驚いた。
「あの…魔女様にお願いがあります、病気がちの母の為に薬を頂きたいのですが」
男性は手を止め、抱えていた本を机の上に置いてこちらを向き、信じられない言葉を発した。
「残念ですが魔女様はお亡くなりになりました」