表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

第六話「モンスター」

「ヴォエ! ヴォエエ! し、死ぬ! 助けて、ハルハル! 開けてくれ!」


 俺の告白は空しく宙に消え、再度俺は地下に監禁されることとなった。


「わはは! ごめんごめん、ただ、エロエロがどうしても嫌だっていうんだから、しょーがない」

「そこをなんとか頼むよ、ハルハル! 俺が清廉潔白だってこと、君なら分かるだろ! さもないとここで死んじゃうぞ、俺!」


 今回は、地下までエロエロちゃんは着いてきてくれず、地下は完全な刺激臭で覆いつくされている。

 俺は懇願した。しかし自分が感じたことのない苦しみを共有させるのは難しく、ハルハルは取り付く島もない様子で、一階へ戻っていった。


「あーあ……。ここで死ぬのか、ヴォエ! こんなことなら、戦国時代風プランにしといたほうが、まだ良かったかもなあ……、ヴォエ」


 自分の選択を嘆く。安物買いの銭失いもとい、命失い。代償は大きかった。

 母さんが俺の臭死体に対面できるのは二週間後か。臭気にあてられて、跡形もないだろうなあ……。ああ、来世は大手だけを信じよう……。


 なんてことを考えていると、ドタドタとあわただしい足音が鳴り、扉の鍵が開けられた。


「ごめん、やっぱ出てっていいよ。モンスターが攻めてきた」


 …………。




「ヴォエ! モンスター? え、いるの?」


 おかしい。確か、事前に確認したパンフレットによれば、危険度は地球レベルだったはずだ。モンスターが出てくるなんて、そんな……。


「そりゃあいるよ。ただ、ここに来ることなんて、今まで一度も無かったのに……」


 さっきまで笑っていたハルハルだが、今は額に冷や汗をかき、深刻そうな表情をしている。

 おい、何か対策のようなものはあるんだろうな。


「ごめん。この地域の対策は自治体に一任してるから、屋敷でのモンスター対策はしてないの。それに、この辺りはモンスターが滅多に出ないから、対策予算もあんまり出てなくて……。つまり、対策なんて実際はしてないようなもんなんだ」

「じゃあ、このままじゃ……」

「死んじゃう。君も私も、他のみんなも。……でも、君が退治してくれるなら」


 え、俺が? なんで?


「もちろん、地下に閉じ込めたりしたくせに、なんて都合のいいことを言ってるんだっていうのは理解してる。でも、もう君しか頼れないの」

「え、いやあ、それはいいんだけどさ、俺、モンスターとかそういうのはあんまり……」


 震える自分の足元を見ながらそう呟くと、ハルハルは少し笑って言った。


「キノープス出身でしょ? モンスターと共生してる唯一の民族って、学校で習ったよ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ