5話 魔兵器と魔喰石
5話、完成です。
色々と忙しく、遅くなりました。ごめんなさい。
6話執筆も遅くなることが予想されます。ご了承ください。
※「魔喰石」の読み方は「まくうせき」です。宜しくお願いします。
※※※
ジンは不思議な感覚を覚えていた。
頭に乗せられた手がほんのり暖かく、無理やり覗かれてるような不快感は全くない。暖かく優しい空気が頭の中に入ってくるような感覚だった。
「ふむ…もういいぞ」
「ふぅ…」
ジンはゆっくりと目を開ける。
「どうでしたか…?」
「ふむ…なかなか難しいのぅ…まず初めに、かなり強い闇の魔法、というのがみえた。魔法の属性については知っているかね?」
「はい。火、水、草、雷、土、光、そして闇ですよね」
「そうじゃ。ちなみにワシの魔明かしは光じゃ。」
「俺の魔法は闇…ですか。」
「そうじゃ。そして次はこの魔法の特徴じゃ。」
「特徴…」
「そうじゃ。自分の魔力の空き具合によって喰える量が変わる。もちろん魔法を発動するのに魔力が必要だが、発動に使った魔力分、他人の魔力を喰い、自分の闇属性と混ぜて発動することが出来るんじゃ。」
「強い魔法を喰うためには魔力が多くかかるから、自分の魔力より多い魔力は喰えない…ということですか?」
「そのようじゃな。」
「じゃあ自分の魔力を全部使って相手の魔力を喰うと体に残るのは相手の魔力のみ…になりますよね?」
「そうじゃな。そうなると、体が持たないじゃろう。元々固有魔法はその人のみに与えられた力じゃ。それを喰う、なんて危険そのものでしかない。だから自分の魔力と混ぜて、身体にあたえる負担を減らしているのじゃろう。それが出来ないと…」
「死ぬ、ということです…か?」
「そこのところは定かではない。ただ君は一度、体験してるんじゃないかね?」
ジンは適性検査で暴走させたことを思い出した。
「あの感覚…」
「大事に至らなかったのは、あの場にいた誰かが…」
レビィはそこで口を閉じた。
少しの沈黙ののち、ジンが口を開く。
「…食べた魔力はどうなるんですか?」
「ゆっくりと自分の魔力に変換するようじゃ。まるで消化するようじゃな。ところで…」
「はい?」
「君はこの魔法、何に使いたいんじゃ?」
「え…まだ何もわからない…です。」
「そうか。しかし、最期は君の意思が必要になるぞ。肝に命じておきなさい。」
「…はい。」
「よし、じゃあ魔兵器を支給しようぞ。」
「え…と、今ですか?」
「そうじゃ。校長からも許可を取ってある。地下に行こうぞ。」
レビィは立ち上がり、魔兵士のマントがかけてあったクローゼットにむかう。
レビィがクローゼットの奥の板に手を触れると、板目から強烈な光が差す。
「うっ…」
ジンは思わず目を閉じた。
目を開けるとそこには両開きのドアが出現していた。
「え…」
「ふぉ、ふぉ、ふぉ、驚いたかの?マリにも秘密にしてるからのぉ…ま、この施設のおかげでおんぼろになってもこの家を離れられんからちと不便なんだがのぅ」
レビィは笑いながら説明をした。
「さて、行くかの」
レビィはドアを開けるとなかに進んでいく。
ジンもその後についていった。
※※※
階段を降りた先は薄暗い地下室だった。
真ん中に丸い机が一つだけおいてあり、その他の家具はなかった。その机の上に、人の頭一つ分ぐらいの大きさの黒紫色の鉱石がのせられている。
「これが魔喰石じゃ。」
「魔喰石…」
ジンも実物を見るのは初めてで、興味深そうに石を眺める。
「君の魔法の特性上、周りに魔力があると喰ってしまう可能性があるからの。個別に支給せよと校長からの指示があってのぉ。」
「レビィさんは校長先生とも…」
「古き良き友じゃよ…。さて、時間もあまりない。さっさと終わらせようぞ。」
「わかりました。どうすれば良いですか…?」
「石の上に手を置き、石の形状が変わるまで魔力を放出し続ける。まぁ気分的には魔水晶の時と同じでいいぞ。」
レビィが微笑みながら言う。
「わかりました。」
ジンが魔喰石の上に手をおいた瞬間、魔喰石がぼんやりと紫色の光を放つ。ジンは目をつぶり、魔力を放出しはじめた。すると、石から放たれる光がだんだんと強くなる。薄暗かった地下室がだんだんと紫に染まる。輝きが限界に達し、ジンもレビィも魔喰石を直接見ることが出来なくなった。ジンは乗せていた手を離し、距離をとる。
そうすると、ゆっくりと光が部屋の中心に戻っていく。そして丸い机の上には、ジンの身長ほどの黒い大鎌が横たわっていた。
「これが君の、魔兵器じゃよ…握ってみなさい。」
ジンはもう1度魔喰石だったものに近づき、その柄を握る。すると大鎌の周りに黒いオーラが出現する。
「君が握ると魔法が発動する…しかし、面白い兵器じゃの。」
レビィには何か見えているようだ。
「どうしたんですか…?」
「いいや、なんでもない。使ってみれば分かるじゃろう。ほれ、魔兵器をしまうんじゃ。【解除】と武器を持った状態で本人が言えば、何かしらの装飾品にかわる。」
レビィは自分の右手の中指に付いている指輪をみせる。
「【解除】」
ジンが唱えると、大鎌はもう一度強い光を放ち、漆黒の丸い石が連なるブレスレットへと姿を変えた。
ジンはそれを恐る恐る右手に通した。すると一瞬淡く光ったが、すぐにもとにもどった。
「これで魔兵器の支給は終わりじゃな。上に戻るとするかのぅ」
ジンとレビィは階段を上り、上の階へ戻った。
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