3話 校長先生とジンの魔法
3話、やっと書けました。
なんかストーリーがまとまらなくて書くのに時間がかかりました…今回は読みにくいかも知れません。ごめんなさい。
ドアを抜けると、目の前にはまるで異空間にでも飛ばされたのか、と思うほどの豪華な部屋が待っていた。装飾一つ一つが丁寧に作られてるのが見ただけでわかる。また、見たことのない魔具もたくさん置いてあった。
「…うわ…すごい…」
ジンは部屋に見入る。
その時、部屋の奥から声がした。
「君がジンくんだね?」
部屋の両端から中央に向かうように2つの階段が伸びている。
ジンは声のする方に向かうために階段を上った。
階段を上った先には大きな机があり、
その上に、積まれた書類と印鑑、そしてジンの診断書と同じものが置いてあった。
「はい。」
大きな机の前に立ち後ろを向いている椅子に向かってジンは返事をした。
「よく来てくれた。」
校長先生が振り返る。
歳は70代だろうか。白い長い髭をたくわえ、綺麗な白髪の老人が椅子に座っている。
落ち着いた雰囲気だが、なにか強いものを感じ取ったジンは言葉に詰まる。
「緊張しているみたいだね。紅茶でも飲むかい?」
校長先生が伺うようにジンを見る。
「いいえ。大丈夫です。」
ジンは遠慮がちに答える。
「そうか。さて、君はなぜここに呼び出されたのか、わかっているかね?」
校長先生がジンに問う。
「魔法を暴走させたから…でしょうか?」
ジンはまだ体の力が抜けないようだ。
「クレア先生から聞いてないかね。」
「はい。呼び出された、とだけ聞きました。」
「そうか。魔法暴走についてだが、モニターで見させてもらったよ。過去そんなに数がないほどの規模だったが、想定内の範囲だった。」
ジンはほっとため息をついた。
しかしすぐに疑問がわく。
「ならどうして僕は呼ばれたのでしょうか?」
「君の魔法についてだ。診断書はもう読んだかね?」
「はい。」
「君の魔法は少々特殊…なのじゃ。少し話さないといけないほどね。」
校長先生が指を組み、少し暗い顔をした。
「はい。」
ジンもさらに緊張感が増す。
「君の魔法は過去に情報がない。言わば新種の魔法…オリジナルと呼ばれるものに該当する。」
ジンは頷いた。
「元々魔法というのは親の遺伝であることが多い。『血の強さ』が強い方が子供に引き継がれる、と考えられている。」
ジンはお母さんを早くに亡くし、お父さんは中学生の頃に忽然と消えている。
「親の魔法までは把握してないんですけど…」
「こちらで調べさせてもらったが、君の両親の魔法と、君の魔法は別物だったんじゃ。」
「となると…」
校長先生が頷く。
「外的要因があったのか、はたまた才能が開花しただけなのか…魔法にはまだまだ謎が多いのだよ。」
「そこで頼みがあるんじゃ」
「何でしょう?」
「私と一緒にオリジナルについて研究しないか?」
「…え?」
ジンは少し戸惑った。
「最近、少しづつだがオリジナルの出現頻度が高くなりつつあるんじゃ…オリジナルは国、軍共に需要が高く、下手したら一つの魔法でこの世界の序列がひっくり返ることだってある。」
それくらいはジンにも想像がつく。
「そこで、なぜオリジナルの出現頻度が上がったのか…調査及びデータ収集をお願いしたいんじゃ。」
「お言葉ですが、校長先生ほどの魔術師ならばご自分で出来ないのでしょうか…?」
ジンは少々腑に落ちないようだ。
「私が生徒達に直接深く関与することはまず許されていない。大人の事情というヤツじゃな。」
校長先生はニコリとわらった。
「嫌ならよい。すぐ決めれることではなかろう。また後で時間をとろう。これから予定もあるのでな。」
「…分かりました。考えさせていただきます。」
「よろしい。それではまた後日会おう。」
「はい。失礼します。」
ジンは礼をすると、踵を返し階段を降りる。
ドアの前で振り返って一礼し、廊下に帰っていった。
「…はて、どう育つか…楽しみじゃのぅ」
校長先生の独り言は誰の耳にも聞こえなかった。
※※※
「あ、おかえりー」
アリスが出てすぐの廊下の壁によりかかりながら待っていた。
「お疲れ様。何の話をしてたの?」
アリスが覗き込みながら聞く。
「とりあえず歩きながら話そうか。」
ジンとアリスは歩き出した。
もう太陽は沈みかけている。
遠くの雲まで夕焼けで赤く染まり、切ないような空色をしていた。
「すごい…校長先生から直々に研究依頼なんて…」
ジンは少し表情を固くした。
「あの校長先生だぞ…?そんな簡単にOK出来るわけないよな…」
「まぁジンくんが考えて決めなよ。相談ならいつでものるから。」
「お、おう…ありがとな。」
じんは少し照れながら答えた。
「おー戻ったかー」
クレア先生の気の抜けた声が廊下に響く。
「はい。」
「ときにジンくんや…?」
「…はい?」
口調がいきなり変わったのでジンは少し身構える。
「そんなに身構えないでくれ。魔兵器の事なんだが…」
クレア先生がアリスに視線を送る。
「あ、私お邪魔でしたかね…?」
アリスは少し不機嫌そうに問う。
「ごめんよ…アリスくん。」
アリスはまた廊下で待つことになった。
ジンとクレア先生は職員室に入る。
職員室にはもう誰も残っておらず、クレア先生と向き合うようにジンは腰を下ろした。
「入口でも言った通り魔兵器のことなんだが、君の魔法が特殊過ぎて、学校内のものでは対処できないらしい。」
「そうですか…」
「なので明日の朝、ちょっと早いが7時にこの場所へ行ってほしい。」
クレア先生がメモを取り出す。
「分かりました。えっと…」
ジンが廊下の方を見る。
「…アリスくんか。いいよ。一緒に連れていきなさい。」
「ありがとうございます。」
クレア先生が頷く。
「今日はもう遅いから早く寮に戻りなさい。」
ジンとアリスは寮生だ。
「分かりました。」
ジンはクレア先生を職員室に残して部屋をあとにした。
「…おかえり」
今日2回目のおかえりは、声のトーンが明らかに暗くなっていた。
「待たせてばっかでごめんな…ほら、寮まで送るよ。」
「ありがと。」
再び2人は歩き出した。
10分ほど足音だけが廊下に響いている。
「明日の朝なんだけど…」
静寂に耐えかねたジンが口火を切った。
「ん?」
「明日の朝時間あったりするか?」
「大丈夫だけど…どうしたの?」
「魔兵器の事で朝から用事があるんだ。」
「魔兵器が支給されるのは明日の三四時間目じゃなかったっけ?」
「俺の魔法が特殊だから事前に準備が必要らしくてさ…」
「そうなんだ。いいよ。何時?」
ジンはメモをアリスに見せた。
「7時にここに来てって言われたんだけど…」
「意外と近いね…なら6時30分に生徒玄関でどう?」
「そうするか。」
話しているうちに女子寮についた。
「送ってくれてありがとう。」
「おう。また明日な。」
「寝坊しちゃダメだよ?おやすみ。」
「あぁ。おやすみ。」
ジンは挨拶を済ませると男子寮に向かった。
※※※
ジンは寮につくと食堂で食事を終え、大浴場で風呂をすませた。
「ふぁぁ…」
ジンは自分の部屋につくとベットに身を投げ出した。
「はぁ…」
ジンはポケットに入れた診断書を取り出して再度確認をする。
「魔喰い…オリジナル…相手の魔法を喰う魔法…こんなの聞いたことない…」
ジンは頭を抱える。
「明日から大変だ…」
ジンは自分の魔法を少し恨む。
そしてそのまま眠りについた。
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