2話 検査結果と校長呼び出し
2話目、できました。
1話、色々な人に読んでいただき、とても嬉しいです。まぁだ2話ですし、これからもっとハチャメチャ展開を考えているので、期待して待っていてください。(あと気長に…)
ジンが目覚めたのは保健室のベットの上だった。隣で、ベットに寄りかかるようにアリスが寝ている。
「う…」
体に痛みはないが、起き上がると頭が痛いらしい。ジンは苦痛に顔を歪める。
「ん…あ、ジンくん起きたの」
「あぁ。ごめんな。心配かけて」
「ううん。大丈夫。」
「倒れてた周りのみんなは…?」
「一瞬で魔力が放出されたから気を失っちゃっただけらしくて、十分ぐらい安静にしてたらすぐ治ってた」
「そうか…よかった…」
「それよりあの時。何があったの?」
「それは俺も気になる。」
いつの間にかアミレスが保健室のドアに寄りかかっていた。
「あの時…水晶の中から声がして…自分の中の魔力が全部抜けた後、他人の魔力が流れ込んできた感覚があった。」
「お前の固有魔法…の可能性が高いよな。
今まで適性検査はやんなかったのか?」
「あぁ。」
「全く、自分の魔法についても知らないなんて無知にも程がある…」
「じゃあさ、固有魔法について書かれた診断書は渡されてないの?」
アリスが思いついたように呟く。
「診断書書く前にあんだけ人が倒れたら渡す暇なんてないだろ。」
アミレスがジンのベッドに歩み寄る。
「それもそうだね…」
アミレスとアリスの会話を聞いて、ジンは疑問を持った。
「そんなに周りの状況を知ってるのは何でだ?お前らも倒れてたんじゃないのか?」
「俺は何も無かったし、アリスも気を失ってなんかないぞ」
「それは一体…」
「多分固有魔法のせいじゃないかな?」
「固有魔法?」
「そう。私、無意識で発動してたのかもしれない」
「無意識に発動なんてあんのか…?」
「ないことは無い。発動条件を満たしていれば発動する。」
アミレスが説明をする。
「例えば発動条件がある言葉を唱える、という条件だった場合、どんなに魔法が未熟な者でもその言葉を唱えてしまえば魔法は展開される。そういうものだ。」
「それは知らなかったけど、私の固有魔法は結界、なの」
「結界…」
「そう。私に危害を与える全てのものから私を守る魔法。」
「結界…上位防御魔法じゃないか…でもそれなら納得がいく。たかが1人の暴走した魔法、しかもかなりの距離があったわけだし守れないこともないだろ」
「アリスはそれでいいとして、お前はなんでだよアミレス。」
「…」
「アミレスくん?」
アリスが問いかける。
「秘匿させてくれ。」
「そうか。」
「ちょっとジンくん?わからないことが多い中、少しでも情報は多い方が…」
「アミレスに話す気がないなら俺らが関わる問題じゃない。」
「そう…だけど」
アリスは腑に落ちないようだ。
ガラッ
ここで保健室のドアが開いた。
「めーさめたか?ジン。」
クレア先生だ。
「クレア先生!」
「クレア先生…」
「げ…クレア先生…」
「アミレス、なんだその腑に落ちてなさそうな顔は。そしてジン、げ…とはなんだげ…とは…まったく…人がどれだけ後処理したかもしらずに…普段授業中寝てるんだから、これ以上迷惑かけないでもらいたい。」
「う…」
「それより、体調の方は大丈夫なのか?」
「はい、まぁなんとか」
ジンは起き上がってベットに腰掛けた。
「さっきまで軽く頭痛もしてたんですけど、だいぶ収まりました。」
「そうか、なら良かった。」
「それよりクレア先生はどうしてここに来たんですか?」
アリスが問う。
「あ、そうそう。暴走のせいで職員側から診断書を渡せなかっただろう?届けに来てやったぞ。基本的にはお前しか見ちゃダメだから、アリスとアミレスは一回離れろ」
「分かりました。」
「…分かりました。」
アミレスとアリスはベットから遠ざかる。
「ほら、ジン」
ジンはクレア先生から4つ折りの黄ばんだ紙を受け取った。
「ありがとうございます。」
ジンはその紙を手際よく開く。
「な…」
「とりあえずは理解したか?」
クレア先生が問う。
「は…はい…」
「じゃあ私は退散させてもらう。仕事がまだ終わってないんでな。なんせ仕事のできる女だからな!な!!!」
「分かったので早く行ってください…」
クレア先生の唐突の仕事できる女アピールをジンは鬱陶しいと思ったようだ。
クレア先生が保険室のドアを開く。
「あ、言い忘れてた」
「なんですか?」
「魔兵器選定の前に校長呼びだしかかってるから。」
「学校長呼び出し!?」
アリスが驚く。
この学校では大体のことは副校長が企画運営をし、最終決定権が校長にあるシステムを採択している。
校長が生徒1人をよびだすことなど、そうそうあることではない。
「は!?そんな大事なこと忘れないでください!」
「とりあえず伝えられたんだからいいじゃない。早めに向かいなさいね。うちの校長忙しいんだから」
「…分かりました…」
廊下に靴音を響かせながらクレア先生が退室する。
「…はぁ……」
なかなか面倒くさくなったとジンはため息をついた。
「…もう向かう?」
アリスが遠慮がちに問う。
「そうする。」
「危ないから私、ついて行く。」
「別に来なくても…」
「いいから、ほら行こ。アミレス君は?」
「俺はいい。」
アミレスは思いつめているように見える。
「そっか…」
「ほら、行くぞ。」
ジンはベットから立ち上がった。
「うん。」
アリスも立ち上がる。
アミレスはジンたちよりも先に保健室のを出て、校長室へ向かう道の真反対の角を曲がり、中庭に出る。
「…展開」
アミレスのこめかみが光る。
アミレスはそこに指を押し当てた。
「ザザ…待っていた。で、どうだ?」
アミレスが 通信魔法を展開したようだ。
「…オリジナルの可能性が高い…まだ本人は気づいていないようだが、使い方によっては…」
「そう…か。まだ監視が必…要…だな」
「それよりも、校長も関わるみたい。」
「そ…そ…うか。とりあ…えず監視するし…かないな。」
「どうしたの兄さん…聞こえが悪い…」
「今少し取り込み中でな…そろそ…ろ切っていいか…?」
「分かった。またなにか分かったら連絡する。」
アミレスは通信魔法の展開を終了した。
※※※
「でっか…」
「でっかいね…」
そのころジンとアリスは校長室の前にいた。
校長室のドアは両開きで、高さにして10mくらいだろうか。黒基調のドアに金色で装飾されており、圧巻の一言だ。
「校長室なんて入学して初めてだ…」
「まず呼び出されることがイレギュラー過ぎるんだよ…」
「そ…そうだよな…」
「と…とりあえず入らなきゃ…じゃない?」
「アリスは入れないんじゃないか?」
「たぶん…無理だと思う。私は外で待ってるよ。」
「このドア…ノックすればいいのかな?」
ジンがドアに近づき、ノックしようとした瞬間。
ゴゴゴゴゴ…
ドアがひと1人分やっと通れるくらいに開いた。奥からは眩しいほどの光がさしている。
ジンはその光に向かって1歩を踏み出した。
この事が後に大事になるということも知らずに。
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