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6-23 最速Sランクルーキー・白金のハルト



 本気のシロの前に立ちはだかるなんて、アイナは度胸があるのか無鉄砲なのか…。


 とりあえず俺とシロを助けようとしてくれた気持ちは汲みたいので、アイナのシロ復活作戦に乗ってあげよう。


「シロ相手だと手は抜けないな。」


 俺は日に三回までしか使えないが神力を使うことにした。


 とりあえず雷の魔力を身に纏い金色のハルトへと変身する。


 更にそこに神力を混ぜ込んでいくと、通常よりも遙かに濃密な魔力で白金色の鎧が完成した。


 白金のハルトの完成だ。


「よーし、シロ!!力比べでもしてみるか!!!」


 シロの前まで瞬歩の如く近付き両手を掴み取り押していく。するとシロは俺の言葉が届いているかのように押し返してきた。


「おぉ、やっぱりシロはスピードだけでなくパワーも凄いな。肉弾戦が得意なわけだ。」


 負けじと押し返していくとシロが踏ん張っているため地面が轍のようになっている。


「お前のご主人様が負けるわけには行かないからな!!どんどん行くぞ!!!」


「…ご主人様……ご主人様…お前なんかが……うわぁーーー!!!!!!」


 さると突然シロが押し返すのを止めて頭をかかえ(うずくま)ってしまった。


「うぅ……ご主人様…。」


 シロは涙を流し苦しそうな表情を浮かべていた。可哀想で見ていられない。


 シロも幻術に抗っているのだろうか。


 するとようやくアイナの魔力を感知した。


「ハルトさん!行きます!!!」


 シロの元へと駆け寄り膝をつくと、両手を胸のネックレスに添えた。


「聖なるシス・ルーンの紋章よ、幻を打ち払い真実をここに示し導き給え。」


 円形の光がアイナの両手に現れ、それをシロへと流していく。


 やがてシロの全身を光がポワーのッと包み込むと、苦しそうにしていたシロが穏やかな表情へと変わる。


「上手くいったみたいですね。」


「うん。初めてだったからドキドキしたけど、勉強しといて良かったよ。」


「アイナ、ご苦労さま。シロの為に頑張ってくれてありがとうな。」


「は、はい……。」


 頑張ってくれたので頭をポンポンしながら真面目に褒めてやるといつも元気いっぱいのアイナにしては珍しく少し恥ずかしそうにしていた。汐らしい一面もあるんだな。


 そして俺は眠ってしまったシロを抱き上げルカに渡した。


「ルカ、シロを少し頼んだ。」


「はい。気を付けて下さい。」


 俺は隠れているリロイ・フェアリーフェイクの元へと歩き出そうとするとアイナが立ち上がり俺の手を掴んだ。


「わ、私も!」


「大分魔力が減っているぞ。気持ちは受け取るが、後は任せて休んでいてくれ。」

 

「アイナ。ハルト様なら大丈夫です。この程度の魔物なら苦戦すらしませんよ。」


「…うん。」


 被せ気味にアイナの申し出を断るが、アイナは食い下がってきそうだった。だがルカの言葉を聞いて手を放す。


「ハルトさん!気を付けて下さいね!!」


「あぁ、シロに悲しい顔をさせた奴は絶対許さないから安心しろ。」


 アイナにそう言い残しリロイ・フェアリーフェイクへと真っ直ぐに歩き出す。


 隠れていてもサーチにはしっかりと映っている。


 「マジック・クリエイト。」


 幻術…なのかどうか分からないが、俺はピンク妖精を苦しませる為の魔法を創り出すことにした。

 

 とりあえず直接殴ってやりたいので、殴った痛みが消えなくなる魔法だ。あれ?呪いみたいだな。

 


 魔力が結構必要としそうだがイメージを固めて発動させると拳を紫色の禍々しい感じの魔力が包み込む。

 やっぱり呪いだな。呪いパンチだ。


「相手を間違えたなピンク妖精!!」


 隠れても無駄だ。一部の砂がモコッとしてるしな。


 ぐるぐると腕を振り回しながらゆっくり歩き、砂モコッの前で立ち止まる。


 僅かに砂が震えてるので、漫画だったら砂が冷や汗かいてるだろうな。


「てーーいッ!!!!!!」


 拳を振り上げて地面ごとぶっとばそうとすると、殴る前にピンク妖精は飛び出してきて、慌てて空を飛んでいく。


 そして紫の鱗粉のようなものを撒き散らしながら急旋回して迫ってきた。


抵抗(レジスト)。」


 俺に幻術をかけようとしたのだろうが、種が分かっていれば俺には通用しない。

 

 幻術が効かないなどと知らないピンク妖精は俺の手前で急上昇しようとしたので、両足を左手で掴み取る。


「グギッ!!!!!?」


 飛行に自信があったようでピンク妖精は驚いたような表情を浮かべる。


「歯ぁ食いしばれぇッ!!!!!」


 俺はピンク妖精を引き寄せ、後ろに回した右腕でジタバタ暴れるピンク妖精の顔面を思いっきり(はた)いた。


 あっ、呪いパンチではなく呪いビンタになってしまったな。


 するとピンク妖精は顔を両手で抑え地面でバタバタしていたが、直ぐに動かなくなってしまった。


 そしてピンク妖精はぐにゃりと形が変わり始めると醜い顔面にハエのような羽の生えた魔物に変わって蒸発するように消えていった。


 そしてそこには新たな階段が現れた。


「本来の姿は随分不細工だな。」


「愛らしい姿で騙して近付き、幻術をかける魔物なのだと思います。」


 歩いてきたルカが口を開く。


「あんまり苦しまないで死んだな。強く叩きすぎたか。」


 ルカの後ろにはアイナの姿もあった。


「ハルトさん、強すぎですよ!!簡単に倒しすぎです!」


「まぁシロでもルカでも油断しなきゃ楽勝だろ。アイナも強くなりたいならルカのように頑張るんだな。」

 

「みんな異常な強さですけどね…。でも!善処いたします!」


 俺達との力の差に少し戸惑いがあるようだが、信念はしっかりしてるようでアイナは笑って答えた。


「ルカ、シロを下ろしてくれるか?」


「はい。」


 ルカがゆっくりとシロを地面に下ろす。(かが)むルカの胸元を見ないように蟲笛をフォンフォン鳴らしてると、シロの顔色が大分良くなってる事に気付いた。


「ルカか?」


「そこまで得意では無いのですが、ハルト様が戦ってる間に回復魔法を何度か使いました。」


 鑑定をかけるとシロに状態異常は無く、体力も魔力量も満タンだった。


「ルカ、ありがとう。落ち着いて眠ってるだけみたいし、ルカも頑張ってくれたみたいだからお子ちゃまは俺が背負っていくよ。」


「はい、お願いします。」


「よっこらしょと。…ん?……気のせいか。」


 俺がシロを優しく抱き起こしてルカに支えて貰っておんぶしてやると、微かにシロが微笑んだ気がした。


 

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