表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/161

2-1 盗賊?何それ美味しいの?



森に入りひたすら東の方角へと歩いていく。それにしても魔物が多い。小屋があるのが、森の中腹らしいので、まだまだ森を抜けるのに時間がかかりそうだ。


 サーチを使い、出来るだけ魔物を避けつつ進んでいくが、どうしても遠回りになりそうな時は戦うことにしていた。


 ウルフィナスのような魔物が来ない事を祈るが、やはりあいつは規格外だったようで、あそこまでの強者はいないようだ。


 サーチばかりに頼り逃げ続けるのも修行にならないので、気配察知を頼りに真っ直ぐ進路を進むことに切り替える。


 少し進むと前方に気配を感じた。


 隠蔽を使い近付き木の陰から覗くと、2体の魔物が戦っていた。爪がやたら長い熊とサソリみたいな蜘蛛だった。


 蜘蛛がはき出した糸を熊が長い爪で切り裂いて近付くが、罠があったようで全身に糸が絡まり身動きが取れなくなる。すると蜘蛛がゆっくり近付きサソリのようなしっぽで熊を突き刺した。


 やがて毒が回ったようで熊が動かなくなり、蜘蛛が熊を糸でぐるぐる巻きにしていく。蜘蛛に軍配が上がったようだ。


 鑑定したら、スコーピオンテイルというCランクの魔物だった。やり過ごそうかとも思ったが、Cランク位なら鍛錬しつつ勝てそうなので戦うことにした。


 隠蔽のおかげで、先制はこちらからだ。


 まずは風の刃を飛ばす。このカマイタチという魔法は不意打ちにはもってこいの魔法だ。既存の魔法のウィンドカッターは真っ直ぐ進むので読まれやすいが、カマイタチは対になった風の刃がイメージした通りに目標へと進んでくれるので便利だ。


 空気を裂きながら進み、カマイタチは蜘蛛の脚を5本切り飛ばし蜘蛛が転がる。

 

 蜘蛛は転がりながらも俺を確認すると尻尾を向け、負けじと不意打ちの毒針を飛ばしてきた。


「もうそこにはいないぞ。くらえ!」


 雷に変換した魔力を纏う魔法。フォル爺に初めて魔法を教わったときに使った魔法だ。前の時はMPの消費が半端なかったが、特訓したのでだだ漏れだった魔力を留まらせる事が出来るようになったので、今では使い勝手がいい。基本人前ではやるなとフォル爺には言われたが。

 

 姿はまるで金色の鎧だ。瞬地の如く動けるので、戦闘ではかなり役立つ。


 

 蜘蛛の真上に移動すると蜘蛛が慌てているが、もう遅い。掌を下に向け、纏った魔力を軽く放出させる。


 すると、一筋の雷が瞬時に蜘蛛を突き破り、地面へと消えていく。蜘蛛の腹には穴が空き、ぴくりとも動かなくなった。


「よし、完全に使いこなせるようになったぞ。」


 Cランクを楽勝に倒せたので満足しながら、蜘蛛をインベントリに収納する。売れるかもしれないからな。


 


 戦ってはまた歩き出すのを繰り返してたが中々進まない。どんだけ広いんだよこの森。

 とりあえず日差しが真上から差し始めたので、休憩にしてフォル爺特製弁当を食べた。強い魔物が突然出た時の為に体力温存していたが、村人Aの百倍の敏性を活かしてダッシュするが、木が邪魔で集中してないと激突しそうだ。


 それでも再度サーチを使いひたすら集中して走って(全力ではない)、夕暮れになり大部森の浅いところまできていた。夕暮れの森の中はかなり暗いが、種族プラス補正のおかげか、夜目が利く。


 暗くなりさすがに走ると危ないので、スピードを落として進んでると、水の音が聞こえてきた。


 少し寄ってみると、鹿が水を飲んでいた。鑑定してみると、魔物では無くただの野生動物だった。

 魔物もDランクなどばかりで、深部の時より弱い魔物ばかりになっていた。


「そろそろ森を抜けるかもしれないな。」


 そろそろ野営でもするかと考えていると、そこから切り取ったかのようにいきなり森が開けた。

 

「あんだけのスピードで走り続けて丸半日か。遭遇する魔物を全部相手してたら、どれだけかかるんだか。サーチ様々だな。」


 想像していたよりも森を抜けるのに時間を要し疲れたので、森の前で野営することにした。まずは飯だと思い、フォル爺の弁当を食べようかと思ったが、このまま食べていたらすぐ無くなりそうなので、途中倒した猪の魔物を魔法で解体して肉を焼いて食べた。

 

 寝ているところを雨や魔物に邪魔されても嫌なので、土魔法で作った簡易テントを作り、イメージが難しく少し練習した結界魔法で物理的に外と遮断する。


 これからの事を想像していたらドキドキして中々寝付けなかった。

 ようやくウトウトしてきて、あと少しで寝そうな時に、外から話し声が聞こえてきた。


「誰だぁ?こんなところに勝手に住処なんぞ作りやがって。あれ?中に入れねぇ!どうなってんだ?!」


 はぁ。寝そうな瞬間の1番気持ちいい時に起こしやがって。誰だはこっちの台詞だ。


「どうかしましたか?」

 

 苛つきを抑え、声をかけながら出ていくと、毛皮のような者を頭からすっぽりかぶった薄汚れた連中がいた。

 鑑定してみると、10人の盗賊達だった。レベル20前後の奴らばかりで一人だけレベル30がいた。こいつが親玉か。

 盗賊のくせに世の平均より高いとは中々やるな。


「どうかしましたかじゃねぇ!ここは俺らのシマだ!勝手にそんなもん作りやがって!」


「なるほど。生憎ですが、お金は全く持ってないんですよ。」


「お前ケンカ売ってんのか?だったら、身包み剥ぐだけだ!やるぞ野郎共!」


 盗賊は各々叫びながら剣や棍棒を構え、俺に向かってきた。俺は一歩下がり、また結界の中へ戻った。

 殴ったら死んじゃうかもしれないステータスだし、いきなり殺人罪で冒険者にはなれませんでは、たまったもんじゃないので、相手にしないでテントへと戻ることにした。


 テントの外で何か騒いでたけど、少しすると諦めたようで静かになった。良かった、これで静かに寝れる。今日は緊張で少し疲れてるんだから、ぐっすり寝たいんだよ。

 


 

 


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ