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6-20 ういてるふぃっしゅ



 湖の中から魔法なのかスキルなのか分からないが魔力を感知した。


「アイナなら大丈夫だとは思うが、魔法が来るから念の為傍に居てくれ。結界。」


 俺は俺とアイナの二人用の半球状の結界を作る。


「まだ魔物が見えてもいないのに魔力を感知出来……え?」


 アイナが話し出したのと同時に水面が揺らぐ。すると突如巨大な津波が俺達目掛けて迫ってきた。


「こ、こんなデカい魔法を結界なんかで防げるんですか?!」


「んー、大丈夫だと思うよ?」


「わ、私が剣技を使って一部だけでも吹き飛ばしましょうか?!」


「ルカとシロがいるからそれは嫌だな。」


 そんなことを言ってる間に津波が到達する。結界の外側では激しい水流が俺達を呑み込まんと攻めたてる。

 だが結界は破られる事無く、やがて水は引いていった。


「凄い……随分頑丈な結界なんですね!!」


「まぁ、アイナには一度破られてるけどな。」


「へ?」


 アイナは心当たりが無いようで不思議そうな顔をしていた。


「そろそろ二人が動き出すぞ。」


「はい!ルカ!シロちゃん!頑張って-!!」


 アイナは元気が良くて宜しいな。


「ルカちゃーん!シロから行くから後は宜しくね-!!いっくよー!!ちゅりゃ!!!」


 すぅ…と深く息を吸い込むと、シロはいつもの掛け声で水面をぶん殴った。


 すると水が弾け飛び、湖底が顔を覗かせる。その中央には一体の魔物がシロのパンチの衝撃で貼り付けられてしまい湖底に取り残されていた。


「龍飛剣・一閃。」


 ルカはいつの間にか作り出していた氷の刀を振りかぶると剣技を飛ばす。


 そして飛び出した剣技は魚型の魔物の頭部を両断した。


 吹き飛んだ水が直ぐに元に戻り、やがて静かな水面に魔物が浮かび上がる。


「あれは…レーテルフィッシュ……?Aランクでも上位にいる厄介な魔物ですよ!?あんな簡単に倒せるものなの!?」


「あの二人なら余裕でな。」


「ルカは本当に強くなったんですね……。」


「まだまだ強くなるだろうな。」


 アイナは最後にボソッと「いいな…。」とか言っていた。勇者を名乗るくらいだから強くなりたいのだろう。


 するとルカがシロを抱っこしながら戻ってきた。


「お待たせしました、ハルト様。」


「シロかっこよかったー?」


「二人ともお疲れさま。格好良かったぞ!」


 俺が誉めると二人とも微笑んで嬉しそうにしてくれていた。アイナは衝撃の光景に未だ興奮状態だ。


「ルカぱいせんヤバいっす!発動までの速さも威力も桁違いだよ!!一気に強くなりすぎじゃない???」


「全てはハルト様のお陰ですから。」


「いーなー。ハルトさんにお願いすれば強くなれるのかなー。」


 アイナはそんなことを言いながら俺をチラチラと見てくる。そうだ、無視しよう。


「シロ、階段の場所は分かるか?」


「うん!前よりもリスキア様の匂いが強いからよく分かる-。湖の中の真ん中辺りだよー。」


 水の中に階段か。面倒くさいな。


「ちょいちょい、お二方。遺跡の時から気になっていたんだけど、リスキア様の匂いって何です?リスキア様ってあのリスキア様だったりします?」


「アイナ、悪いが言えない。面倒くさいんだ。」


「ほー、なるほどなるほど面倒くさいからですね…。って嘘でも他に理由無かったんですか?まぁいいですけど。」


「話せるようなら時が来たら話すし、その前に分かるかも知れない。だから今は説明するの嫌だな。面倒くさい。」


「ハルトさんや。貴方は鬼ですか。分かりましたよ。ちぇっ。」


 アイナはいじけてしまった。

 ルカがフォローしにアイナの元へと向かったのだが、それは俺の勘違いだったようでルカはアイナに態度を改めよと説教していた為、アイナは更にいじけることになってしまった。


 その間に俺は湖を探索するための準備を始める。


「マジック・クリエイト。」


 ダイビングのように水中でも息を……でもそれだと自由に動き回れるのか?と思い水中でも地上のように過ごせる魔法を創り出す事にした。


 長時間効果を保たせると魔力を多量に使いそうなので、せいぜい十分程度にしておく。


 すると俺の魔力が全身の表面をコーティングするように包み込む。完成だな。


「三人とも、ちょっと試したいことがあるから少し待ってて。」


 そう言い残して湖の中へ徒歩で入っていく。


 全身が完全に水中に入っても呼吸も出来るし、動きに支障をきたすことも無かった。


「良い感じだな。おっ?」


 俺が新魔法を試していると複数の気配察知が働く。


「おー、お前がさっきの魚型の魔物か。」


 アイナの言うレーテルフィッシュは魚型には違いないが、色々と付属品が多く付いていた。

 泳いでる間は畳まれていた足が湖底で止まると蟹のような8本の足が地面を掴んでいた。

 そして額にはイソギンチャクのようなものが生えており、大きな目と鋭い歯が肉食魚だと主張しているようだった。


 水中だと津波は起こせないだろうから、どんな戦い方するんだろうかと考えていると、レーテルフィッシュのイソギンチャク部分がユラユラ揺れ光りだす。


 それと同時に魔力感知が働く。


 レーテルフィッシュはキンキンと耳鳴りのような不快な音を出し俺の周りをゆったりと回遊する。

 まぁ狙いは仲間を呼ぶことなのだろう。それは構わないが耳が気持ち悪いな。



「ハルトさん全然上がってこないけど、大丈夫なの?レーテルフィッシュがいるような湖だよ?」


「ハルト様なら問題ありません。とても優しい方なので私達の為に何かをやってくれてるのだと思いますよ。」


「ご主人様魔力纏ってた-。いつでもカッコいいなー。」



「おー、随分集まったなぁ。」


 仲間を呼んでるとは思ったが、まさかAランクのレーテルフィッシュが30匹以上の群れとなって現れるとは。リスキアダンジョンも本気になってきたか?


 するとレーテルフィッシュ達は口から一斉に水弾を口から吐き出す。


「水の中なのに水の弾を発射出来るなんてファンタジーだな。」


 水中でも自由に動けるのは不思議な感覚だな。砲弾の雨の中をスイスイと動き回れる。


「あんまり時間かけてると10分経っちゃうから、俺からもいくぞ。マジック・クリエイト。」


 単純に雷の魔力を創り全身から放電させる魔法をイメージする。


 魔力を練っていくとパチパチッと鳴り出し、踏ん張り力むと一気に全身から雷が流れる。


 この魔法眩しいな。



「な、なんか湖がピカピカ光ってるけど!」


「ハルト様の魔法です。綺麗ですね。」


「ご主人様の雷すごいー。むむぅ?なんかプカプカ浮いてきたよー!」


「何?何してんのハルトさんは!なんか凄い数のレーテルフィッシュが浮いてるんですけど!」


「ハルト様の魔法です。流石ですね。」


「ご主人様すごいー。大量だなー。」


「…………。」



「こんなもんか。」


 水中を電気が走り回りレーテルフィッシュ達はそれに感電すると、白目を剥いて水面へと上がっていった。


 30を越えていたレーテルフィッシュだったが、1匹もいなくなっていた。


「水中では俺の雷も効果抜群だな。よし実験終了。そろそろ戻るか。」


 歩いて陸へと戻ると三人が出迎えてくれた。


「ハルト様、お疲れ様でした。」


「ご主人様-、ピカピカしてたよー!綺麗だったー!」


「な、何をしてたんですか?」


「寛いでて良かったのに。何をって三人が安全にこのフロアを越えていく方法を試してたんだよ。」


「そ、それってあのピカピカですか?」


「違うよ。あれは襲われたから反撃しただけ。」


「反撃って。……あれだけのレーテルフィッシュを倒しといて当たり前のように涼しい顔して…。ハルトさんヤバいですね。」


 ヤバいなんて失礼な。と思ったらまたしてもアイナがルカに失礼だと叱られていた。


 アイナは学ばないな。


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