表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/161

6-19 リスタート



「うーん。どうしよう。」


 俺はアイナが仲間になり出発しようとしたところで失念していた事に気付いた。


 猫耳少女だ。


 生き物はインベントリに入らないし、連れて歩くのは面倒くさい。

 今ここで尋問してもいいが時間が惜しいし、その後ポイ捨てしたらまた敵になりそうだし。

 かといって今更殺すのも気が引けるし。


「ハルト様、猫人族のことですか?」


「うん。どうしたら良いかなぁと思って。」


「シロが持って行くー?」


 シロなら容易いだろうけどそれは疲れそうだな。


「いや、それはいいかな。ありがとうシロ。」


「ハルトさん!私に良い案があります!!」


 突然アイナが話し出した。まだ慣れていない美人さんなので緊張するな。


「へー。どんな案だ?」


「こー見えて私ッ!固有スキル結構あって色々と便利なんですよ!えっへん!」


 アイナは腰に手を当てて自慢げに言うと魔力を練りだしたのが分かった。


「これは私の勇者としての固有スキルです!あっ!勇者と言っても私だけのスキルですけどね!心が悪に染まった者のみ有効で尚且つ観念した者、気絶状態または死亡しているという条件でしか使えないスキルですが、今には持って来いですよ?」


「そうか。じゃあ頼んだ。」


「はい!じゃあ行きますよー?」


 アイナはブツブツと何かを唱える。そして両手を前に伸ばし掌を猫耳少女へ向けてスキルを発動させた。

 

「リストレイントホール。」


 アイナの魔力が両手から流れ出ていく。すると一メートル程の真っ黒な穴が渦を巻いて宙に浮かび上がっていた。


「完成です!後は猫人族を投げ込むだけです!あっ!因みに取り出す事も可能なので罪人の運搬には持って来いです!!!」


「あぁ。アイナは役立つな。ありがとう。」


「アイナ役立つなぁー。やるなー。シロもほしいなー穴ぽこ。」


 シロが褒め称えるとアイナは嬉しそうにはにかみながらシロの頭をぽふぽふしていた。


 しかし、生きたまま閉じ込められるなんて凄い能力なのは確かだな。制約がなかったら最強だ。


 俺は目の前に迫る猫耳にドキドキしながら猫耳汚少女の襟首を掴みポイッと投げ捨てると、そのまま吸い込まれて消えていった。


「猫耳は自由に動き回れるのか?」


「中は時間が止まってるみたいなんで餓死とかは問題ないです!」


「ないでやんすー!」


「おっ?ないでやんすー!」


「ふふっ。まるで仲良し姉妹のようですね。」


 シロがシュピッと敬礼をすると何故かアイナも言い直して敬礼してきた。

 ノリが良い子だな。

 それを見て微笑むルカも可愛いし最高のパーティーだな。


 今更ながら俺のマジック・クリエイトでも創れたんじゃとも思ったが、かなり魔力使いそうだし、上手くいくか分からないので助かった。

 アイナのお陰で時間が短縮出来たし、これで当面の問題は無くなったから心置きなく探索に戻れる。


「よし、じゃあ早速だがダンジョンに戻るぞ。」


「はい、ハルト様。」


「はーい!」


「お願いしまーす!」





 シロの鼻を頼りに玉座を後にし遺跡の地下へと進んでいく。


 すると数ある牢屋の一つの壁に大穴が空いていた。

 何故リスキアの作った新しいダンジョンと繋がっているのかは分からないが、シロが進むのだから間違いないのだろう。


 人が余裕を持って通れる程の穴は入り組んではおらず、真っ直ぐ一本道になっていた。真っ暗だったのでライトボールを使う。


「ご主人様-、リスキア様の匂いが強くなってきたよー。」


「ダンジョンが近いか。そろそろ魔物も出始めるかも知れないからアイナは気を付けろよ。」


「はーい!ってなんで私だけなんですか?」


「弱いから。」


「うー。…私これでも勇者なのにぃ。まぁこのメンバーじゃ仕方ないですけど。」


「そういえばずっと気になってたんだけど、なんで髪の毛黒いの?」


 テイミングを解いた直後からアイナの灰色の髪は黒くなっていた。それどころか真っ赤に怪しく光る瞳まで黒目になってしまっていた。

 気にはなってはいたのだが、タイミングが無くて聞けずにいたので、ダンジョンに入るまでの時間で暇つぶしに聞いてみた。


「え?」


 するとアイナは何言ってんの?みたいな目で俺を見てくる。


「アイナ。貴女はテイムされていた時に灰色の髪と生気の無い赤い瞳だったのです。ハルト様がテイミングを解いて下さってからはいつものアイナに戻りましたが。」


「ほぉ。なるほどなるほど。それは見てみたい私ですなぁ。」


「ですなぁー!」


「うふふ、シロちゃんは見てましたよ?」


 三人を見てるだけで和むな。癒し。俺の心のオアシス達…。


「ハルトさん、私はオギャ~と生まれ落ちてから今までずっと黒髪黒目なので、こっちが本当の姿ですよ!もしかして惚れちゃいました?」


「惚れてないな。」


「ハルトさんはつれないなぁ。」


「シロは惚れ込み申した-!」


「おぉ!流石はシロちゃん!結婚だね!」


「結婚はムリー。ご主人様とするー。」


「ほらほら二人とも。ハルト様で遊んでは駄目ですよ。」


「「はーい!!」」


 そんなほんわかした会話をしながら歩いてると、やがて暗い洞窟の先から、ダンジョンの入口と思われる光が見えてきた。


 徐々に近づく光を潜り抜けると、辺り一面水だらけのフィールドに出た。


「うみー?」


「いや…湖だな。かなりデカいが岸が続いているみたいだし波も無い。」


 広大な迷路も嫌らしいがこれはこれでまた難儀だな。


 するとダンジョンに訪れて直ぐに気配察知が働く。


「皆、正面から来るぞ!」


 気配は湖の中から察知した。しかも結構強い気配に感じる。すると直ぐに魔力感知が働いた。


「ハルト様、先行致します!!」


「分かった。だが、回復しきってないから今回はシロにも行って貰うぞ!」


「まかしてー!!ルカちゃんいくよー!!!!」


 ルカが真っ直ぐ湖へ向けて飛び立つとシロもそれに続いて駆けだした。

 

 湖に辿り着くとルカは空を飛び、シロは持ち前のスピードで水面を駆けていく。忍者がいるぞ!


「は?え?……………何この子達…。」


 残されたアイナは驚愕の表情で二人を見詰める。


 すると働いていた魔力感知で練られていた魔法が発動されたのを感じた。


 

 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ