6-17 燃えろ!シロとハルトのツープラトン
「ちゅりゃ!!!」
「雷光咆!」
シロの手弾に続いて俺も攻撃を開始する。
「グルオオォォーッ!!!!」
すると強く息を吸い込んだベヒモスが口から紫の光線のようなブレスを放射する。
まるでハリウッド版ゴジ○だ。
ベヒモスのブレスにまずシロの手弾が着弾した。しかし、シロの手弾はブレスの先端を弾き飛ばしただけで終わりすぐに飲み込まれてしまった。
今度は手弾の後を追っていた雷光咆がブレスに突き刺さる。バチバチッと雷が弾ける音がし、ブレスと共に弾け飛んだ。
しかしブレスの放射は続いていた為、弾け飛んだブレスを突き破って新たなブレスが迫る。
「んしょー!!」
回避が間に合いそうにないので結界で防ごうとした瞬間にシロが横から抱き付いてきた。こんな時に何をと思ったが、シロは抱き付いたまま地面を蹴りブレスの軌道から避けた。
「ナイスだシロ!」
「あいよーご主人様-!」
シロは手弾では押し切れない事を知っていたようで、事前に行動していたようだ。
「さて、どうやって戦う?」
「んー、シロが倒したいけど時間もったいないから二人でやる!」
「分かった。」
とりあえず補助魔法で身体能力を上げよう!……としたら出来なかった。
どうやらダブったブーストはかけられないようだ。
「よし、考えていても始まらないからお互い全力で行こうか。」
「あいあい!!」
俺は得意としている雷の魔力を纏う。シロも神力の混ざった魔力を手足に纏った。
「「いくぞ(よー)!!」」
同時に俺とシロは飛び出す。走りながら雷の魔力で刀を創り上げた。
ベヒモスの手前で二手に分かれ互いが見えなくなる。そして阿吽の呼吸で攻撃を開始した。
「シロマッハぱーんち!!!!!!」
「雷閃!」
シロはパンチ(音速らしい)で攻撃を、俺は反対から雷の刃を飛ばす。
「グルオオオォォォー!!!!!!」
ベヒモスは近いシロを標的にしたらしく食らい付こうと顔を向ける。
だが、零距離にシロがいて間に合う筈も無く横っ腹に強烈な一撃が入った。
ゴキゴキッと嫌な音を鳴らしベヒモスは折れ曲がる。そしてすぐに俺の雷の刃を受けた。
反対側の脇腹が切り裂け剔れる。全身に電気が流れ硬直した体からは煙が上がり、ベヒモスは白目を剥いた。
「う、うそニャ……こんな簡単にこいつらがやられるニャんて。」
「嘘も何も見ていただろうが。そういえばルカの結界はお前を倒さないと駄目なんだよな…。よし、行くぞシロ!!!!」
「まままままま待つニャ!!!!!あれは、その、間違えニャ!!!」
「卑怯者な上、嘘吐きだったか。」
「ぐぅぅ……。」
「兄貴やっちまいましょー!!!」
「わ、分かったニャ!!すぐに解くから落ち着くニャ!!!!」
猫耳少女はぶつぶつと唱えるとルカを覆っていた結界が消えた。
それを見た俺とシロはルカの元へと走り出す。
「……ご主人様、ルカちゃん大丈夫-?」
ルカは苦しそうな表情で大量の汗をかいていた。顔色も悪い。
鑑定をかけると、状態に猛毒と表示された。
俺は急いでマジック・クリエイトで猛毒を解毒する魔法を作り出し、それを使った後に体力回復の魔法を何度かかけた。
すると鑑定に表示されていた毒が消え顔色も回復していた。
「あっ!ご主人様!!ルカちゃん目を覚ましそう!!」
急いで戦い看病した甲斐あって、そこにはゆっくりと目を開けていくルカの姿があった。
「ハルト……様?それにシロちゃんまで。」
「ルカ、間に合って良かった。遅くなってすまない。」
「ふぇーん!!ルカちゃん-、生きてて良かったよぉー!!!!」
ルカは状況を把握できずにポカンとし、シロは安心したからか泣き出してしまった。
「ところで、こんな毒程度でルカ程の強者が死ぬとは思えないんだが。」
「ギクッ……ニャ。」
俺は剣を作り直し猫耳少女に向ける。
「ニャ-!!……確かに、毒だけじゃ無いニャ。」
「嘘吐きめ。」
「違うニャ!戦いにはその毒で勝ったニャ!だから、ハルトを倒したらご褒美で氷龍姫をテイムして良いって話だったニャ!!!だからテイムする為の結界を使ってたから目を覚まさなかったニャ!!!結構魔力使うから作り直すのが嫌だから、倒さないと消せないって言ったんだニャ!!!これで話せることは全部話したニャー!!!許してニャ-。」
「許して…ねぇ。ルカを人質に使わなかったことは評価出来る。それに素直に全部話してくれたしな。だが断る!!!」
「な、なんでニャ-!!!!!!!」
「ルカを傷つけた。だからだ。」
「……ギニャーーー!!!!」
逃げることは叶わないと知ると、猫耳少女は瞬歩のような速さで近付き全身の毛を逆立て鋭い爪を振り下ろしてきた。
全てお見通しだけどな。
「オラァ!!!!!」
ステータスなら遙かに俺の方が上なので、ステータスを全開に生かして軽く爪を躱し、叩き付けるようにカウンターを食らわせる。
俺のハエたたきが脳天にヒットした猫耳少女は、ベチョッと地面に貼り付いた。
「覚悟が無い奴を殴ると虐めになるからな、おかげで助かったぞ。ヒール。」
俺が軽く回復魔法をかけると、猫耳少女は鼻血を垂らし腰を抜かしながら後退していく。
「ヒィィィ……。」
「お前には死すら生ぬるい……永久に生きたまま地獄の業火に焼かれ続けるが良い。ゴット・イーター!!!!」
と言いつつ覇王の威圧を放つ。
すると以前はあまり効果の無かった覇王の威圧がバッチリ決まり、猫耳少女はお漏らしして気絶した。が
ばっちい奴だな。
「ご主人様-。いーのー?」
「あぁ、殺してしまったらこれ以上情報が得られないからな。マジック・クリエイト。」
俺は土魔法で手錠を創り、猫耳少女の手足を拘束する。
「これでとりあえずいいか。ルカ、体調はどう?」
「ハルト様のお陰で大分楽になりました。もう少し休めばまた探索を再開出来るかと。」
ルカに大事が無くて良かった。だが、返答するルカの顔に笑顔は無かった。