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6-16 覚醒の魔物



俺達が走りだしてすぐに魔物も動き出した。まず最初に動いたのはアラクネル・ググ。


 そしてヘルヴァニラが後に続く。ベヒモスはまだ動かないようだ。


「ご主人様-、好きに動いてもいーい?」


 走りながらシロが目をキラキラさせている。


「あぁ、適当に合わせるから好きに動いてくて構わない。」


「ありがとうご主人様-!!」


 感謝の言葉を残してシロは更に加速する。まるで弾丸だ。


「キシャャーーー!!!!!」


 上半身は老人スキンヘッドのクセにアラクネル・ググは蜘蛛の魔物ような鳴き声を上げた。


 そして下半身の蜘蛛が投げ網のように糸を放出する。


「前の糸でベトベトするのは知ってるよー?ちゅりゃ!!!」


 シロは手弾を使って糸を絡め取る…………のかと思いきや、手弾が当たると糸は粉々に割れて落ちていく。


 糸ってそんなんなるの?ベトベトしてるのに?技?


 そんな事を考えていると、ヘルヴァニラがアラクネル・ググを追い越してシロの直ぐ横へと接近していた。


 シロは恐らく余裕で対処するだろうが、合わせると言った以上ボーッとしてるわけには行かない。


 さぁ、どの魔法で行くか。


 以前、聖教国でヌーバという魔族と戦った。

 そいつを倒したライトニング・ガンは雷と光の魔力で作った魔法だから魔族っぽい系統にも効いたのだろう。


 ヘルヴァニラなんかモロ闇とか魔っぽいからいけそうだ。


 俺が魔力を練り上げるとヘルヴァニラが大きな鎌を振り上げた。

 そうはさせるか。


雷光咆(ライトニング・ガン)!」


 (かざ)した掌から眩い光の雷が迸る。光の速さで進んだライトニング・ガンは鎌を振り下ろすよりも早くヘルヴァニラの腹部を貫いた。


「さすがご主人様-!!」


 霞のように消え去ったヘルヴァニラを尻目にシロはアラクネル・ググに手弾を飛ばす。


「ちゅりょー!!」


「ドォーォドォーォガガ。」


 気持ち悪い老人スキンヘッドが更に気持ちの悪い鳴き声を上げる。

 すると黒く細い腕からスライムのような粘液を飛ばして手弾を絡みとる。


 馬鹿め!!そんな粘液如き…と思ったら手弾が粘液に吸収されて消え去ってしまっていた。


「シロ、その粘液に触らない方が良い!魔力を吸い取って「ご主人様しゃがんで-!!!」うおっ!」


 俺の言葉にシロは振り返るとしゃがめと叫ぶ。咄嗟に俺はしゃがみ込むと頭上を巨大な鎌が通り過ぎた。


 鎌のは正体は倒した筈のヘルヴァニラだった。


 あぶねぇ。髪の毛二、三本持ってかれた気がする。危うくアル○ンドになるところだ。

 発毛魔法創る羽目になるところだったぜ。


「うらぁ!!!!」


 光属性の魔力を手に練り込み腹パンすると、またしても霞のように消えていった。


「ニャハハハハッ!!ヘルヴァニラは別名シャドウ・リーパーとも呼ばれてるニャ。闇や影に潜むことが得意なえげつない魔物ニャ-!!!」


「わざわざ手の内を明かしてくれてどうもありがとう。」


「あっ……だだだ、だけどそれでもどうにも出来ないニャ-!!!」


「かもな。シロ、蜘蛛は任せた。」


「あいあい!!!」


「マジック・クリエイト。」


 恐らくあの布を被った奴はこのまま何度攻撃しても駄目だ。

 今までやってきたゲームでもそんなのあった気がする。


 闇を照らす光。


 闇に潜むことで生きてるなら闇を無くせば(・・・・)良い。


「出来た。…………ホーリーフィールド。」


 創造した魔法を使用すると俺を中心に半径30メートル程の大地が光り出す。

 

 すると、ヘルヴァニラが姿を現した。光を浴びたヘルヴァニラは再度解けて消えたが、その後ろには鎌を持った六本の角を持った黒い鬼のような魔物が現れた。


「ガガガガギィ…………!!!!」


 照らされているだけで肌からは煙が上がり辛そうな表情をしている。

 アラクネル・ググまでもが脚をばたつかせていた。


「なんて魔法を使うんだニャ……。覚醒魔物(・・・・)どもが煙を上げてるニャ-。」


「ドゥォルドゥォルナパーーッ!!!!」


 猫耳少女が気になるワードを口にした直後、アラクネル・ググが光を嫌がり気持ち悪い叫び声を上げながら粘液を地面にばらまいていく。


 すると粘液がかかった地面の光が消えてしまった。


「そんな暇あるのー?」


 声がしたのはアラクネル・ググの背後。


 まるで転移のようなスピードでシロは背後を取ると手が輝く。いつもよりも輝いた魔力。


 神力だ。


「てやぁーッ!!!」


 シロ渾身の正拳突きがアラクネル・ググの頭部を捉えると、容易く爆散させた。


 そしてアラクネル・ググは動かなくなった。


 しかし、シロの攻撃はそれだけでは無かったようだ。


 正拳突きはそのまま大砲のように飛んでいくと、一番光を嫌い動きの鈍くなっていたヘルヴァニラをも捉えた。


 剥き出る数本の牙からは血が滴り落ちる。ヘルヴァニラの胴体には風穴が空いていた。


 シロ…強すぎ……。


「まだ……まだ終わってないニャ-!!!モスを覚醒させたベヒモスがいるニャ-!!!」


「ベヒモスとお前だぞ。ところで覚醒ってなんだ?」


「それは……言えないニャ-。」


「卑怯者め。」


「卑怯者?!ウニャー……覚醒…強制的に限界突破させるようなものだニャ。それ以上は言えないニャ-!!!」


 限界突破か。


 それが幾らでも出来るというのなら厄介だが、猫耳少女がそれを引き連れてきたってことは量産型ではないのだろう。


「お喋りは終わりだニャ-!!!行くニャ、ベヒモス!!!!」


「コォォオオォーー。」


 気怠そうに伏せていたベヒモスが面倒くさそうに立ち上がる。


覇王の威圧(コウアーション)!!」


「ギニャーーー!!!!何だか耳が気持ち悪いから止めるニャー!!!!」

 

「グルオオオォォォーッ!!!!」


 猫耳少女は嫌そうに転げていたが、ベヒモスは咆哮一発でコウアーションを相殺させた。


 流石はロマンモンスター。既存の魔物は初見の魔物よりも興奮するな。


「シロ、ベヒモスは結構強いぞ。」


「あい、ご主人様!シロ頑張るからねー!!!」


 俺はオリオン神拳の伝承者ではないから二対一の戦いもあるのだ。


 時間も無いからとっととやっつけてしまおう。


 

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