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6-2 地下十階の階層主



 階段を下りると……また同じ風景が広がっていた。


「くっ。シロ隊員、先導を頼む。」


「ブ、ラジャー!!」


 だから何でそのネタを知ってるんだシロよ。


 右左右右右左右左右左左左左右…。


 グネグネと迷路を突き進み、出て来るぷにぷにをぷにぷにせずに踏み潰しどんどん突き進む。


 つーか、こんなん分かるわけ無いだろ。どんだけ広くて入り組んでんだよ。


 シロの鼻が効いてくれて本当に良かった。


 まぁ魔法が使えるって事はマジック・クリエイトでダンジョン専用サーチでも生みだせばどうにかなりそうなもんだが、確実ではないし魔力を温存したいから丁度いいな。


「ハルト様。」


 ルカの声と同時に気配察知が働く。ルカは気配察知のスキル無いのに索敵が出来るのは何故なんだろう。


「ご主人様-、ねちょなちょいるー!!」


「おぉ!これはねちょなちょしてるなぁ。」


 目の前には60センチ程のナメクジがいた。丸っこい胴体には、体の三分の一はあろう大きさの眼球が埋まっている。


 しかしシロ、ネチョネチョなら分かるが、ねちょなちょって何だよ。


「まさか!」


 と思い、鑑定さんの力を使うと、Dランクのねちょなちょだった。

 またしても正式名称だった。シロさんごめんなさい。


「ちゅりゃ!」


 シロは可愛い掛け声を上げ正拳突きをした。すると、数メート

ル先のねちょなちょが爆散した。


 すげぇ、指弾ならぬ拳弾って所か。


「あー!ちいさいのが沢山!!」


「うわっ、キモッ。」


 吹き飛んだねちょなちょの肉片は煙になるかと思ったら、モゾモゾと動きだすと、小さいねちょなちょの集団となっていた。


「アイスアロ-。」


 俺が鳥肌をさわさわしていると、ルカが打って出た。ルカの周りには十本程の氷の矢が浮いていた。


 ルカが人差し指でねちょなちょ達を指差すと、それが合図となりねちょなちょは串刺しになった。

 そして刺さったところから凍り付いていき、ねちょなちょの氷像群が完成した。


「ルカちゃんありがとー!!!」


「シロちゃんもお疲れさまでした。」


 可愛い二人はやり取りまで可愛くて心がほんわかしてしまう。あれ?ここダンジョンだよね。


「なんか、こう狭い空間だと戦いにくいもんだなー。」


「そうですね。ダンジョンでの戦いに慣れないと戦い辛いですね。」


「まとめてデカイ魔法で倒すことも出来ないしな。」


 訓練にはなりそうだが、長く続くとストレスか溜まりそうだ。


「ご主人様-、階段だよー!!」


 地下二階はぷにぷにがいなかった為、エンカウントが少なく思ったよりも早く階段まで来れた。





 その後も低ランクの魔物が度々現れるだけで、特に何も無く探索は続いた。

 ちゅりゃ!とか、あちょ!とかの声が聞こえたら魔物が倒された合図となり、只ひたすらシロの後に付いていく。


 そして地下九階の階段へと一気に走り抜けた。


「ご主人様-、階段だよー!」


「ご苦労さま。これで(ようや)く二桁になるか。まだまだ迷路続くのかな。」


 まぁうだうだ言ってても始まらない。先に進むか。


「じゃあ、先に行こうか。」


「はい。」


「はーい!!次もがんばるよー!!!」


 シロは元気いっぱいに答えてくれた。


「頼りにしてるよ。」


 シロの頭をグリグリ撫で回しながら歩を進める。


「ん?今までより階段が長いな。」


「そのようですね。」


 更に降りていく事三分。すると漸く出口が見えてきた。


「なんだ?この空間。」


 階段が終わった先には二十畳程の空間が広がっていた。そして正面の壁には扉がある。


 扉には何やら読めない文字が書かれており怪しさマックスだ。


「罠かな。でもここしか進む道はないしな。」


「ハルト様、恐らく洞窟を守護する魔物がいるのだと思います。ある程度の階層毎に出現すると聞いたことがあります。」


 なるほど。ボス部屋って奴か。ということは、流れ的にここを抜ければフィールドが変わるってとこかな。


「これまで雑魚ばかりだったから、ボスもまだ大して強くないだろう。それにどんな魔物がいても俺達なら大丈夫だ。いくぞ。」


「はい、ハルト様。」


「はぁーーーい!!!」


 シロは手を一生懸命上げて返事をする。やる気満々だな。


 扉に手を掛けて一気に開く。


 すると本当に部屋のように真四角の空間へと出た。その中央には蠢く影が見えた。


「え?」


 俺は予想外の光景に声を失った。


「ご主人様-!!!ぷにぷにがいるよ!!!!たくさーん!!!」


「あぁ。ぷにぷに液沢山落としそうだね。」


 なんでぷにぷにがボスなの?一階でしか見てないよ?


「ハルト様、様子がおかしいですね。」


「ぷにぷにが震えてる~?」


 大量のぷにぷにが一斉にぷにぷにと震えだしている。これはもしかして…。


「ぷにぷにが集まってるー!!重なってる-!!可愛い-!!」


 重なり合い眩い光を生むぷにぷに達が俺の目には可愛くは映らないが、これはゴンドラクエストで見たことある光景に近い物があった。


「キングぷにぷに…。」


 そこには五メートル程のぷにぷにがいた。


「ご主人様ちがうよー?ぷにぷに王だよー?」


 あっ、こっちではそう言うのね。


「ちょりゅわ!!」


 シロが以前と同様に手刀を飛ばす。ぷにぷには真っ二つに割れるが、すぐにくっついてしまった。


「ハルト様、シロちゃん。このダンジョンの試練は私が挑みたいのですが宜しいですか?」


「あぁ、もちろんだよ。」


「もちろんだよよー!!!!」


 だよよー。


「ありがとうございます。私もハルト様やシロちゃんのように強くなりたいので頑張ります。」


 そう言ったルカは濃い魔力を練り始めた。ルカは魔王に単騎で勝つくらいだから十分強いんだが…。


「参ります。…零下真月。」


 ルカの手には二本の剣が生まれた。キラキラと光るのは精霊の瞬き。詠唱無しで精霊魔法使ったのか?


「ハァッ!!!」


 二本の剣を上段に構えると一気に振り下ろす。重なるように氷の刃が飛び、ぷにぷにへと飛んでいった。


 斬擊ではシロと同じ結果になるんじゃないかと思ったがそれは違った。

 四つに文壇されたぷにぷにはぷにぷに王に戻ることが出来ないで蠢いていた。


 よく見てみると切り口が凍っている。そして、その凍った面積がどんどん広がり、ぷにぷには四つの塊のまま動かなくなった。


「ルカ、流石だね。」


「とんでもありません。ハルト様の足元にも及びませんから。」


 謙遜しながらもルカは嬉しそうな表情をしていた。


「またつまらぬぷにぷにを斬ってしまった…。」


 シロは何を言ってるんだ。


 ぷにぷには凍り付いていたが、気付くと煙を上げて消えていた。そこには一つの瓶が残されていた。


「なんだろ。ぷにぷに液じゃないだろうな。鑑定。」


 すると鑑定さんは教えてくれた。


 ‘ぷにぷに王液 レア度A’


 だから、なんなんだよそれ鑑定さん!!


 俺の心の声を聞き鑑定さんは更に詳しく表示してきた。


 ・ぷにぷに液の上位版。合体出来るぷにぷにだけを集める事が出来る。


 …………………。


 いらねーー。ぷにぷにに用は無い。


「よかったね!!ご主人様!!」


「う、うん……。」


 瞳がキラキラしているシロの後ろで、何故かルカまでキラキラしている。


「よーし、これは良い品をドロップしたなぁ!インベントリに大切にしまっとこう!」


 俺は気を遣ってインベントリの肥やしにした。後悔はしていない。


「あっ、階段が出来た。」


 ぷにぷに王が最初に現れた地面に突如階段が現れた。


「ルカ、シロ。とりあえずお疲れ様。次の階層で落ち着いたら休憩しよう。」


 二人の返事を聞き届けて、俺達は十一階への階段を進んでいった。


  


 

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