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4-14 神の緑刀




「有り得ん。木の棒なんぞで炎の精霊である儂の攻撃を打ち返すなんぞ有り得ん!!!」


 ガンマダはまさか木に負けるとは思っていなかった様で驚愕の表情を露わにした。


「有り得んもなにも実際打ち返しただろ。フォル爺に教えて貰ってここまでやってきたその俺の木魔法でな。」


「フォルトラウダス………この期に及んで邪魔をするかぁ!!」


 先程まで野球に付き合ってくれた好々爺っぽかったガンマダは、フォル爺の名前を出した途端に全身から炎を放出させ憤怒の様相で叫んだ。


「……よい。フォルトラウダスの教え子と言うのなら滅するまでじゃ……。」


「そんなにフォル爺のことが好きなら……というか初めからそのつもりだがハンデで緑魔法しか使わないから安心しろ。」


 よし。この挑発はどうだ?ムカついたか?


「…………。炎の精霊相手に本気じゃな?」


「余裕ッス!!!」


 よし、決まった。挑発伝説ヨロシクしてやったぜ。ガンマダは今にも爆発しそうな程に目はつり上がり顔が真っ赤だ。


「…………そんなに死にたければ、付き合ってやるぞ。」


 語尾変わってるぞガンマダ。俺もガンガン行くぞ。


「あまり使ったことの無い緑魔法だが、火の精霊くらい緑魔法だけで充分だ。うっどにーどるー。」


 俺のダルそうな言葉とは裏腹に先端の尖った無数の木の根がガンマダを襲う。だか、今まで通り木の根はガンマダに届くこと無く燃え滓になってしまった。

 やはり普通の魔法ではガンマダに回避すらさせられない。


「フォッ……もう挑発はいらん。そろそろ本気で来るが良い。」


 まぁ確かにそうだな。巫山戯すぎは良くない。


 するとルカから限定念話が届く。


『ハルト様、宜しいですか?』


『あぁ、大丈夫だよ。』


『こちらは無事終わりました。』


『早いね。』


『色々有りまして。詳しくは後ほどお伝えします。加勢致しますか?』


『そっか、お疲れさま。今は大丈夫。これからが本番だから少し離れた所で休んでて。』


『はい。ありがとうございます。』


 街での買い物の時といいルカは仕事が早いな。寧ろ俺が遅いのかな。


 こいつにまぢになるのは癪なんだが、少しだけ本気でいくか。


「テテテテン、木刀と鎧~。」


 効果音は地球で超有名な土左衛門という江戸時代に現れたロボットアニメの音をイメージしたものだ。


 火や雷と違い、物理的に触れられる物は想像しやすかった。

 全身を不燃薬剤たっぷりの木の鎧と木刀をイメージした。さらに木刀には折れないイメージも重ねた。

 魔力量を確認すると、簡単な作りだったからかさほど減ってなかった。


 マジック・クリエイトは奥が深そうだな。


「木の剣に鎧ときたか……儂をコケにするのも大概した方がよいぞ。探り合いは終いじゃ。貴様の望んだ本気の殺し合いじゃからの。」


 だから字が違ぇっての。


「よく喋る精霊だな。」


 ガンマダは再度炎の玉を出現させ放ってきた。が、俺はそれを木の剣でスッパリと切り裂く。


「ではお喋りはこれで最後じゃ。儂が火の精霊だからと火の精霊としての力だけだと思うなよ。アグナよ、出て来い。こいつを殺すぞい。」


 かなりの魔力の動きを感じた。

 出て来いということは召喚系の魔法か?つーか、異世界の強者はタイマンは嫌う性質があるのか?

 まぁ、召喚も立派な能力ではあるか。


 するとガンマダの後方の景色が揺れ炎が立ち上る。その炎が消えると一体の魔物が現れた。


『ハルト様、龍種です!しかも召喚となると野性のドラゴンより手強い可能性があります!気を付けて下さい。』


 龍種。…とうとう現れたかドラゴンめ。会いたかったぞ。


 鑑定するとSランクのアグナゴルと出た。Sランクより上は無いだろうから、Sランクと出たらランクは当てにならないだろう。


「ふーん…アグナゴルねぇ。」


「ほぅ、人族が知っとるとはな。余り知られておらんから大概はレッドドラゴンと間違えよる。実際はレッドドラゴンの希少種にして火山の帝王と呼ばれておる魔物じゃ。人族一匹如きでは到底勝てんぞ。」


 うーん、ルカが単身Aランクの魔物を複数倒していたから、ドラゴン程度に苦戦したくないんだよなぁ。


 ガンマダもドラゴン呼んでるし、邪神の欠片も使ってることだし俺も一発だけ(・・)神力を使ってしまおう。


「俺も少し巫山戯すぎていたな。」


「フォッ…今更気付いたところで遅いわ。フォルトラウダスなんぞに教えを請うた事を死んで悔いるが良いわい。」


「マジック・クリエイト。神の緑刀(ユグドラソード)。」


 地球では世界樹とも呼ばれていたユグドラシルの枝から作ったであろう剣に神力を混ぜて創造する。

 すると黄緑色に輝く木刀が宙に生まれた。


「ば、馬鹿な……ユグドラシル!!お主………何者じゃ!!!!」


「何者?……フォル爺に緑魔法を教わったただの人族だよ。」


 俺は木刀を構える。


「ぐぬぅ……アグナよ!!殺すのじゃあ!!!!」


「グガァァ!!!!」


 アグナゴルがドラゴンブレスを放とうと口元に魔力を集中させると真っ赤な光が口内で煌めく。


 雷を脚に纏わせようかとも思ったが、緑魔法の属性以外は使わないと決めたので止めて、普通に空を飛んで近づく。


「フォフォッ!!遅かったようじゃな!!!」


 やはり空を飛んでいくだけでは間に合わなかったようで、アグナゴルのブレスの方が先に完成し、ガンマダが嬉々とした声を上げた。


 ムカつく笑い方だ。思い通りにさせるか!


「はぁぁぁああぁぁっ!!!!」


 まだ届かないが俺は刀を上段から一気に振り下ろす。


 すると剣筋に沿った一本の刃が飛び出し、アグナゴルの首を切り離すとブレスが不発に終わったアグナゴルは爆散した。


「ぬぉぉおぉぉ!!………人族如きがぁ!!!!!!!」


「そんなに悔しいんなら…お前がこい。ガンマダァ!!!!!」


「小僧がぁ、舐めるなぁ!!!!!!」


 ガンマダは炎の化身となり人型から炎の塊へと変化し、膨大な魔力を溜め込み始めた。

 極大魔法を使うつもりだろう。


「この姿では攻撃することは出来まい!!!死に去れぇ、ウル・ナ・グマナ!!!!!」


「クズ勇者の方が……ずっと強かったぞぉ!!!!!」


 俺は宙に木の根を作り上げ、それを蹴り一気に近付く。空を飛ぶ寄りも突き早く進んでいき、ガンマダの炎の体の中心にあった小さな核のようなものを炎ごと切り裂く。


「グギャァーーー!!!!!!」


 ガンマダの叫びと共に極大魔法を放とうと生んだ魔力が行き場を無くして大爆発を起こした。


「あの世でフォル爺に謝罪しやがれ。」


 俺は大爆発を数多の木の根で包み込み、周囲への影響を無くす。最後まで緑魔法でやり切ったぞ。

 

 フォル爺に聞かれたら何て言うか分からないが、今の俺から言えるのは、ざまぁみろの一言だ。


 

 

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