表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/161

1-4 マジッククリエイト



 フォル爺の小屋や周囲の木々に燃え移った火は、フォル爺が水魔法で消してくれた。魔法に興奮してたとはいえ、調子に乗っていたので、反省してすぐに謝った。


「まぁ、小屋は儂の魔法ですぐに直せるから、気にすることはないぞ。」


 フォル爺は寛大だった。次からは気をつけよう。


「しかし、おぬしにはたまげたわい。危うく腰を抜かすところじゃ。とりあえず話は小屋を修理してからじゃな。あと飯も食わんとならんからのぅ。」


 それから、二人で小屋を修復し、一息ついた頃には辺りは完全に真っ暗になっていた。フォル爺の緑魔法はとにかく便利だった。


 小屋の修復が終わり、休むことなくフォル爺が鍋料理を作ってくれた。見たことのない野菜や肉をどんどん放り込んでいった。何の肉か分からないので少し戸惑ったが、鑑定したらワイルドボアという、魔物ではない、野生の獣肉だった。魔物を食うのにはなんだか抵抗があるので助かった。薄味だが、素材の味を楽しめたので、とても満足だった。


 晩飯を食べ終わり、食後のティータイムとなった。


「まずおぬしの魔法のことじゃが。あれはどうやったのか、自覚はあるのかのぅ?」


「うーん。なんとなく、あんな感じの魔法を出したいとイメージしただけですね。」

 

「なるほどのぅ。しかし、あれだけ強力な魔法を使ったにも関わらず無詠唱ときたもんじゃ。おぬしの固有スキルに関係してるかもしれんのぅ。あのような魔法見たことはないし、魔法の発動の仕方もあり得ん。そもそも無詠唱ですら、人族では殆どおらん。せいぜい無詠唱スキル持ちのほんのごく僅かな者だけじゃろう。」


 固有スキルか。経験の積み重ねにより取得したスキルならともかく、始めからあると使いたくてもどんなスキルか分からないのがなぁ。


「あれ?説明文…出てきた。」


 鑑定を使い固有スキルを見ている時に、どんなスキルなのだろう?と考えていたら、いきなり説明が出てきた。


 マジッククリエイト→スキル所持者のみが使える新たな魔法を創る事が出来るスキル。また、新たな魔力の使い方を使う事が出来る。


 どちらも使い勝手の良さそうなスキルだ。というかチートくさいぞ。フォル先生に相談だな。


「なるほどのぅ。儂の鑑定ではそこまで知ることはできんから、固有スキルに鑑定があるおぬしならではじゃな。それにしてもマジッククリエイトか…。おぬしはこの世界の理から外れておるな。この世界でどう生きていくか知らんが、知られてよいものと悪いものを選別しといた方が良さそうじゃな。」


 確かにフォル爺の言うとおりだ。この世界の理を無視してやりたい放題だと、いろんなところから目を付けられてしまうかもしれない。そうなると、夢の冒険者生活に支障をきたすかもしれない。出来れば、思うままに自由に生きたい。


 今後の事を少し相談した後、疲れていたのか知らぬ間に、ぐっすり眠っていた。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 翌朝、目を覚ますとフォル爺はすでに飯を作ってくれていた。今日は用事があるらしく、俺は一人で特訓することとなった。


「安物じゃし、古いもんだから好きに使って構わん。」


 飯を食っていたら、創造のスキルの鍛錬も必要だが、接近戦の練習もしろと、フォル爺は剣を一振りくれた。鑑定で見てみると、


 鉄の剣(-) グレード:E

 ・鉄で造られたありふれた剣。手入れがされてないので、切れ味も悪い。


 と、表記された。


「ありがとうございます。」


 初めて手にした武器に興奮しながら、フォル爺にお礼を言うと、すぐに何処かへ出かけてしまった。


「よし、とりあえず剣の鍛錬からやってみよう。」


 鉄の剣を手にし、小屋の外へと出て裏手へ回る。すると開けた場所があり、修業にはうってつけの場所だった。


 剣道の授業を思い出しながら、鉄の剣を素振りしてみる。ヒュンッ、と風を切る軽い音がした。


「案外軽く振れるんだな。これも進化のおかげか。」


 梅干し種に感謝しながら、ひたすら剣を素振りする。30分ほど素振りをしても息が上がる事は無かった。少し、素振りにも飽きてきたので、昨日魔法で倒してしまった木の幹に剣を振り落としてみる。


「せいっ」


 すると、幹の半ばまで食い込んだ方ところで、刀身が鍔の根元からポッキリ折れてしまった。


「あちゃー。1回目で折っちまった。」


 フォル爺にまた謝らなくては。柄の部分だけになってしまった剣をみて、ふと考えた。


「昨日魔法で鎧造ったみたいに、剣も作れるのかな。」


 今回は魔法を放つわけじゃないので、火魔法で魔法剣を作ってみよう。剣が火を纏ったイメージかな。


「んー、思ったより難しいな。これじゃ火炎放射器だ。」


 結果は失敗だった。鍔から火が吹き出てるだけで、剣にはなってない。イメージが曖昧だからだろうか。


 それからも試行錯誤しているうちに、突然気怠さに襲われた。病気かと思って状態を見てみたが普通だった。しかし、MPがごっそり減っていた。どうやら一気に魔力を使いすぎた為に魔力酔いを起こしたようだ。マジッククリエイトはあまり燃費が良くないのかもしれない。


 少し休憩をして、魔力が回復してきたので魔法の修業をしようかとおもったが、無理しすぎると後が恐いのでやめた。


 気付くとフォル爺が帰ってきて昼飯を作っていた。寝過ぎたようだ。


 昼飯を食べながら、火魔法の剣について相談した。そしたら、当たり前じゃと呆れられた。


「話を聞く限りだと、ゼロから魔法を作り出すには、かなりの魔力を使うようじゃのぅ。錬金術のように不完全な物を完全な物に代える作業をしたらどうじゃろうかの?まぁ、じっくり時間をかけてやればよい。焦ることはないじゃろ。」


 フォル爺の言うとおりだ。焦りすぎた。少しずつやっていこう。


 午後は普通にこの世界にある魔法を教えてもらって、魔法の練習をした。


 もちろん、剣を折ったのは謝ってからだ。

 




 


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ