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4-3 ラスボスと夢オチ




 里を出た俺とルカは世界中の大小様々な国を回った。


 今から思い返してみようと思う。


 俺達はまず修業がてら聖教国の困ってる人を助けていた。そしたら何故か新勇者として崇められていた。


 拾った子犬が伝説の魔獣でそいつと契約を交わしたり、巨大なタライが王都の王城をつぶしたのを魔法で直したりもした。


 さすがに王になってくれと言われたのは断ったが。


 魔術都市の学園にも通った。


 ルカの制服姿に萌えていたのも記憶に新しい。


 ルカに惚れた気の強いやつ。名前なんだっけ?まぁそいつに決闘を申し込まれて、学園の模擬テスト会場で全校生徒の前で決闘したな。


 まぁ、結果を言うと余裕で勝った。しかも、一度も魔法を使わなかったが3秒で。

 やはり、この身体は人族の常識を遥かに凌ぐ性能のようだった。


 学園を俺とルカがツートップの成績で卒業し、宮廷魔術師に推薦されたが断った。


 その直後に学園にドラゴンダイブと呼ばれる、千年に一度の世界中のドラゴンが大暴走して学園を呑み込む騒動があった。


 空がドラゴンで埋め尽くされて、日の光が全く届かなくなったのを、見たときは圧巻の一言だった。終焉!って感じ。


 一斉にドラゴンがドラゴンブレスを放つ姿は流石に焦ったしヤバかった。


 あれは、まさにメテオ。


 さすがにこれ全部防ぐのは無理じゃね?と思ったが、ルカの力を借りながら何とか地上をメテオから守り切った。

 あの達成感つったらないね。


 まぁルカと俺が二人で作った新魔法。愛と友情のツープランクトンで全て焼き払ったんだが。


 あとは、やっぱりフォル爺の死だな。

 流石にフォル爺が死んでしまったのには泣いたが、まさかそのまま世界樹になるとは思いもしなかった。


 埋葬したらすぐに芽が出始めて、何だろうこれ?フォル爺生まれ変わるのかな?と思ったら突然ニョキニョキと成長して、天まで届く勢いだったからな。

 流石フォル爺だぜ。



 俺が何故かこの無敵ボディにも関わらず風邪をこじらせて、魔力を全く練れなくなった時には焦ったが、ルカにひたすら引っ付いて守ってもらったりもした。


 そんなこんなで、俺とルカはかなり強くなったんだ。


 俺達の準備は万端。完全に仕上がっている。

 細工は流流、仕上げは上々。あとはなんたらかんたらだ。


 そうして、俺とルカは最後の旅に出たんだ。


 俺達の愛船である、黒王号に乗り進むこと一ヶ月。


 雨の日も風の日も晴れ時々イノシシな日も負けじと黒王号を進める手を緩めることは無かった。


 そして、俺達はとうとう辿り着いたんだ。アックマン77柱の住む土地へと。


 まさかのリスキアが世界征服を企む組織の一員だったが、何とか説得して、最高のヒーラーとして仲間にもなってくれた。


 75の魔王をひたすら倒して、とうとう最後の魔王の住む地獄の集合住宅の最上階まできた。


 そこに居たのは……なんと俺の両親だった!!!


「と、父さん!!!母さん!!!何故なんだ!!!!こたえてくれよぉっ!!何で最上階に住む金なんてあるんだよぉっ!!!!」


 俺は悲しみと苦しみの渦に呑み込まれながらも、二人との戦いに身を投じた。


 戦いは壮絶を極めた。


 台所は荒れ衣服は脱ぎっぱなし、ヤカンは火魔法でお湯がこぼれ出ていた。


 そして、ルカと俺は両親の住む借家を完全に綺麗にし、両親を倒した。


 とうとうこの冒険が終わったと思ったその時……そいつはやってきた。


 二顔地主魔王、デスピエロ。


 空が落ち大地は崩れ海が割れた。


 集合住宅から追い出されると誰もが思った。


 しかし、俺は最速Aランクルーキー金色のハルトと呼ばれた男だ。

 そんな男が経験を積んできたのだからタダでは負けない。


 どれだけ長い時間戦い続けたか最早分からなくなってしまったが、お互い消耗しあい、次の手が決着となる場面がきた。


 デスピエロが究極魔法システマを放つべく詠唱を始めた……。


 対して俺は、両親を倒した時に教わった滅びの(まじな)いを使うべく準備を始めたのだった。


「ルカ、モルトさん達なら引っ越(にが)したよ。」


「ハルト……ありがとう。」


 俺とルカは手を繋ぎ、剣を捨てた。


「どうした、二人の勇者よ。ようやく諦めて世界の半分で手を打つ気になったか???」


バルブ(夜逃げ)!!!!!!!!!!」


 すると、手を繋いだ二人の間に光が生まれ、地獄の集合住宅を覆い尽くす。


「目が……目がぁ……4つの目がぁ!!!!」


 デスピエロは4本の腕で4つの目を抑え苦しんでいる。

 そうこうしているうちに地獄の集合住宅は崩れていった。








 大分気絶していたが目を覚ますと、コンクリートの壁や床は崩れ落ち、ギリギリ残された鉄筋に俺達は引っ掛かっていた。


「ルカ!ルカ、大丈夫!?」


「んっ…ハルト?」


「あぁ、良かった。鉄筋が俺達を守ってくれたみたいなんだ。」


「……RC造だったのね……。」


 こうして全ては終わった。


 俺はルカと共にスカイガーデンへと帰って、幸せに暮らした。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆



「いやー、楽しかったなぁ。ヒロインの子も可愛いし、ストーリーも最高だったなぁ。」


 俺はパソコンの電源を落とす。


 俺は世界中で大ヒットしたゲームである`異世界浪漫飛行´というゲームをクリアした。


 中々難易度が高かったが、ヒロインが俺のど真ん中ストライクだったり、グラフィックが綺麗だったことも有り、飽きること無く最後まで続ける事が出来た。


「腹減ったなぁ。とりあえず飯でも食うか。」

 

 俺は階段を降りていくと、台所の方から良い香りが漂ってきているのに気付いた。


「母さん、帰ってきてたんだな。」


「あぁハルトいたのね!今日はシチューにするけど、パンとご飯どっちにする?」


「あぁ、トリプルソフトある?」


「んー、薄切りしかないわ。」


「じゃあ、米にする。」


 すると、親父が可愛い女子大生のコーチがいるとかで通い始めた硬式テニスから帰ってきた。


「ただいまー、あれ?ハルトまだいたのか。」


「おう。」


「そういえば今日はハローワーク行くって行ってなかったか?」


 そうだった。今日はハローワークに行くと決めていたんだった。


「昼飯食い終わったら行くよ。」


「まぁ、せいぜい頑張ってな。」


 親父は風呂に向かっていく。せいぜいってなんや!


 俺は昼飯を食べ終え部屋に戻り着替える。


「じゃあ行ってきまーす。」


 母親に声をかけて玄関へと向かう。


「気を付けてねー!!頑張って-!!」


 母親の声を背に受け、俺は玄関のノブに手をかける。


 俺の人生はまだまだこれからだ。


 この一歩から始まるストーリーは、あのゲームのようには上手くいかないかもしれない。



 それでも俺はひたすら前を向いて生きていく。










「っていう、変な夢を昨日見たんだよ。呑みすぎだったのかなぁ。」


「フフフッ、面白い夢ですね。」


 俺はルカと雑談を交わしながら、スカイガーデンの入り口の滝壺へと辿り着いた。

 

 いよいよ旅の始まりだ!まだ完全に出立してないからな!


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