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3-26 お見合い大応援




 俺達はクズ勇者の墓を離れ、龍人族の里スカイガーデンへと向かっていた。


 マジッククリエイトで、三人まとめて瞬間的移動的なアレを使って一気に戻りたい気持もあったが、クズ勇者との戦いで消費したし、墓標作りでトドメを刺されたのでこれ以上は倒れかねない。


 というルカの意見を尊重させられて、今のところ歩いてスカイガーデンへと向かっている。


『ところでリスキア、色々と聞きたい事があるんだが。』


 俺は神託の種の力で念話をリスキア(アリス笑)に飛ばす。


『そうね、私も話をまとめておきたいところだし。気掛かりはルカちゃんよね。完全に巻き込んでいるわけだしね。』


 確かにその通りだ。助けるには助けたが、魔王やクズ勇者やクロトワとの場に居させたのは、俺だ。


『なぁ、ルカにリスキアの事を話しちゃ不味いのか?』


『んー、どうかしら。基本的には神が地上に降りて作業するのは禁とされているし、そんなのが知られたら大騒ぎになるし。ただ特例は設けられるけど……ハルトは今後ルカちゃんとはどうするつもり?私の神託が下りた場合、一緒にいると毎回巻き込む事になるのよ?』


 それは俺も悩んでいる事柄だ。ルカとは一緒にいたい。一番親しくしてもらってるつもりではいるし。


 しかも、ルカは単独で溶岩魔王を撃破してしまうほどの頼もしい存在でもある。

 ただその反面、大切な人だからこそ危険な目には遭わせたくないのも本音だ。


 それをリスキア(アリスらしいよ)に伝えると、リスキアは直ぐに答えた。


『だったらルカちゃんにハッキリ聞いてみたら?』

 

『ぐぅ。』


 なんとかぐぅの音だけは出せた。しかしなぁ、何て聞いたらいいんだ。

 俺に付いてきてくれるか?とか青春か!って感じがして恥ずかしいし。


『ハルトは難しく考えすぎよ。ハルトが決められないなら、ルカちゃんを信頼してルカちゃんの気持ちを聞いてから決めるんでもいいと思うけど。』


『まぁ……それはそうなんだけどな。んー、わかった。』


 俺は意を決してルカに聞いてみることにした。ドキドキする。


「ルカはこの後どうするつもりでいる?里の事とかもあるだろうし、姫だからやっぱり里にずっといる感じなのかな?」


 俺は何てチキンなんだ。遠回しに聞きやがって。何故鶏なんだ。俺は鶏でしかないのか。


「その…ハルト様は……ハルト様はどうなさるのですか?」


 質問に質問で返された。

 責任を投げ捨てていたツケが回ってきた俺は少しパニクりながらもどうにか答える。


「俺は……旅をするかなぁ。色んな所を回って、様々な経験をして、出来るだけ強くなって……奴らから大切な人達を守れるようになりたい。」


「……ハルト様さえ宜しければ……私も一緒に連れていって頂けませんか?」


「あ、あぁ。ルカがそれでいいなら俺は構わないけど。里の方は平気なのか?」


「里はお父様がいますから。私は私の道を歩いて行きます。」


 ……。残念マン。俺は残念マンだ。根性無し残念マン。

 ルカに結局言わせて、俺からの発信は無し。何て情けない事でしょう。


 ここは一つ俺の気持ちも伝えなくては、これから先の旅に支障をきたしそうだ。


「なんだ、その……俺もルカと居れるなら嬉しいよ!!俺と居ると大変な目に遭わせてしまうかもしれないけど、それでもよければ一緒に行こう!!!!」


 俺は一世一代の大勝負をするが如く、頭を下げ目を瞑りルカに手を差し出す。

 あれ?この光景…地球に居た頃に見たことあるな。

 確か、エイティエイトとか言うお笑い芸人の番組でエイエイのお見合い大応援エイエイオーとか言う奴で、告白するシーンの定番の奴だな。

 

「はいっ!!」


 すると、俺の手を柔らかくて温かい二つの掌が包み込んだ。咄嗟に顔を上げると、顔を真っ赤に染めたルカと目が合った。


 気の利いた言葉でも言えたら良いのだが、俺は特に何も言えずに、唯々見詰め合っていた。


 すると、呆れたように|リスキアが話し出した。


「はいはーい。イチャイチャはもう済んだ?ルカちゃんの覚悟も確認出来たことだし、私もやれるだけの事はする覚悟は出来てる。ハルト…いいわね?」


「あぁ。」


「じゃあ、ルカちゃん。ハルトといると、貴方の運命も変わってしまう事でしょう。それでもハルトと旅をするの?それが例え地獄の淵を歩む事になるとしても?」


 すると、小さな女の子のような見た目のリスキアに困惑しながらも、俺の様子を確認してルカは答えた。


「もちろんです。」


「合格ね!ルカちゃんの覚悟を確認出来たわ。貴方にもハルトと私の秘密を話すわね。」


 そう言うとリスキアは、目を瞑り手を胸に当て、淡い光りに包まれていく。

 すると、小さな女の子のような見た目のアリスから、元の創造神リスキアの姿へと戻っていった。




☆ ☆ ☆ ☆ ☆





「創造神様とは知らずに、失礼な事を……。申し訳ありませんでした。」


 ルカはリスキアに頭を下げていた。


 リスキアと言えば聖教国が主だって信仰する神だけに、最初はルカも複雑そうな表情だった。

 しかし、きちんと説明していくうちに、聖教国とは何の関係も無いと知り、ルカはリスキアに謝罪していた。


「頭を上げてください。地上に居る内は唯のアリスでしかありません。何より今回の事柄の全ては創造神である私の管理が行き届かなかったからです。謝るのは私の方ですから。」


 そう言うとリスキアまで頭を下げた。


「確かにな!リスキアはリスキアの時は神様ぶってるけど、多分素の姿はアリスの方だから、頭下げる必要なんて無いぞ。」


 俺が素直に思った事を述べると、リスキアは華麗にシカトした。全くもって失礼な奴だ。


「ハルトは異世界人。私はこの世界の創造神。ここまでは大丈夫ですね?」


「は、はい。」


 ルカはまだ畏まってしまっている感じだ。しかし、俺が緊張を解そうと巫山戯るとリスキアが気分悪そうにするんだよなぁ。


「私はハルトに一つの頼み事をしました。簡単に言うと、世界の破滅を防ぐといったところでしょうか。クロトワと名乗る者が現れましたが、世界の様子がおかしいのは確かなのです。」


「そ、そんな……。」


 するとルカは下を向いてしまった。やはりルカには荷が重すぎるのだろうか。


「そんな重大な事をしているハルト様のお側にいさせて頂けるなんて、私は本当に幸運です。」


 ルカの言いたかったことは俺の予想とは全く違うものだった。ルカは本当に俺をどう思ってるんだろうか。かなり勘違いしそうな発言ではあるぞ。


「そうですね。だから貴方にも更に強くなってもらわないといけないのです。」


「分かりました。私……頑張ります!」


 何故だかルカはキラキラとした瞳でやる気を出している。何がルカに火を付けたんだろうか。


 二人は誰が見ても見惚れる容姿の持ち主だが、少し変わっているところもあるんだよなぁ。

 まぁそこがまた良いところ何だけど。


 俺は勝手に考え込んでいると、突然ウーパールーパーのことを思い出した。


「そういえば太古の森であったウーパールーパーの子供がいたが、あれはリスキアのテイムした魔物なのか?」


「テイムとは違います。」


 そう言うと、リスキアは子ウーパールーパーについて説明してくれた。

 

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