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3-3 最速Aランクルーキー・金色のハルト



 「方角はあってる?」


 順調に空を飛んでいる。勿論、勇者を警戒して隠蔽を使ったままで。


「はい。私達はあの川を流れてきました。そしてあそこに王都が見えます。」


「王都?」


「はい。ハープルム王国の王都です。ハルト様と出会った岩山もハープルム王国内になります。」


 ルカの指さす方を見ると大分遠いが、都っぽいのが確かに見えた。


 俺が王都という響きに感動していると、それを見たルカが少し説明をしてくれた。




 この世界には対立している大小様々な国があるが、人族の国として力のある大きな国は三つ。


 ハープルム王国、シラー帝国、リスキア聖教国。

 

 各国に勇者がいて、その3名を三勇と呼ぶ。


 ルカを襲ったのは聖教国のランスロット・オーウェンだ。


 どうやら、フォル爺が話してくれた昔の勇者がした行いは既に廃れてしまったようで、人族同士の戦争をまた繰り返してしまっているようだ。

 以前と違うのは、魔王が現れた場合のみ各国の勇者が手を取り合い魔王討伐へ向かい、国は覇権争いを続行させるといったところか。


「ところでハルト様はどうしてあの岩山にいたのですか?」


「うーん。用があったわけじゃないんだ。冒険者になりたくて人里を探してたら迷子になっちゃって。」


「冒険者…ですか。」


 ルカは冒険者と聞いて、少し暗い表情をした。


「別に冒険者にならなくてもいいんだ。一つのイベント位にしか考えてなかったしね。今回の件で冒険者になれなくても、気ままに旅をするだけだから、何の問題もないよ。」


「………ハルト様は本当に優しい方ですね。」


 ルカを責めるようなつもりは微塵も無かったから、責任を感じられても困るので、慌ててフォローする。するとルカはまた笑顔を作ってくれた。


 やがて王都も見えなくなり、草原地帯を飛んでいると一組の冒険者パーティーらしきものが魔物と戦っているのが見えた。


「あれはグリーンポセ!何故こんな草原に……。」


 鑑定してみると、Aランクの魔物だった。見た目は象のようだが、象の倍はあるだろう巨体の持ち主だ。


 体は苔のような体毛で深緑っぽく、背中から尻尾の先まで背鰭のようなものが生えそろっている。

 象よりも太く長い尻尾の先にはモーニングスターの先端のように棘の玉のようなものがある。

 首の周りにはトリケラトプスのような襟巻きみたいなのがある。頑丈そうだな。しかも、あの尻尾と牙をくらったら並みの冒険者じゃやばそうだ。

 

 しかもグリーンポセは砂漠地帯の二頭と呼ばれているらしく、砂漠地帯の生態系の頂点に君臨している2匹の内の1匹らしい。何故そんな魔物が草原地帯のど真ん中にいるんだ。


「あ、危ない!」


 冒険者パーティーの盾役の人が角で突き上げられて吹き飛ばされてしまった。


 すると、前衛の剣士が盾役を助けるために走りだすが、これは悪手だった。

 大剣を振り上げ胴体を斬りにかかるが、死角から巨大なハンマーのような尻尾が剣士を弾く。

 後衛の僧侶っぽい見た目の回復役が詠唱を始めたが唱えきる前にグリーンポセに潰されそうだ。

 火属性の魔法使いはさきほどから中級のファイヤーランスを何度も当てているが、グリーンポセは気にもとめていない。



 これはヤバそうだ、間違いなく全滅するだろう。


 見てしまって助けないとなると、寝付きが悪くなりそうだ。だけど、ルカの事を差し置いて助けに行くほど馬鹿ではない。ここはすまないけどスルーした方がいいのだろうか。うーん。


 などと考えていると、俺の顔を見てルカが微笑む。


「ハルト様。私のことは気にせずに、彼等を助けに行って構いません。」


「ありがとう。すぐに終わらせる!」


「はい。私もお供します。」


 ルカは顔だけじゃ無くて器量までいいときた。必ず良い嫁さんになるだろうな。


 脱線してルカの新妻エプロン姿を妄想してしまったが、今はそれどころじゃない。彼等を急いで助けないと。


 驚かせてしまいそうなので、後ろから冒険者パーティーの近場まで来て草原へ着地する。


「手助けはいるか?」


「た、助けて下さい!」


 魔法使いが魔力切れが近いようで青い顔をして助けを求めてきた。

 まだ僧侶さんはブツブツと詠唱をしている為、こちらに気付いていない。長いし、戦闘中に周囲への警戒が全くないが、そんなんでいいのだろうか。


 とりあえずグリーンポセの注意を引く為に、全力で走って(魔法でのブースト無し)近付き殴ってみるか。


「なっ!あいつなんであんなに早く走れんのよ!」


 魔法使いが叫ぶ。青い顔して無理してツッコむこともないのに…。

 

 腕を振りかぶったところで尻尾が横凪に振るわれる。俺はそれを頭を下げてかわす。

 しかしグリーンポセも追い打ちで角を振るう。これも一歩引いてかわすが、角の一瞬後を長い鼻が鞭のようにしなって俺の脇腹を打ち抜いた。


「ハルト様!」


 吹き飛ばされてしまったが、鼻と脇腹の間に小さな結界(シールドと名付けた)を張っていたのでダメージは無い。


 Aランクをあっさり倒したら悪目立ちしそうだなと思い演出してみたが、ルカが心配そうにしていた。ごめん。


 今度は土魔法でグリーンポセの足元に泥沼を作ってみたが、簡単に抜けられてしまった。

 

 あれ?今更だが、三勇という各国にいる英雄の一人に反逆する以上冒険者になれない確率がかなり高いから、遠慮する必要ないな。

 目立とうが何だろうが関係ないよね。


 ここからは慎まないぞ。ルカの為に急ごう。

 本当は定番の冒険者やりたかったがルカの為だから仕方ないさ。


 低いランクで高ランクの魔物倒して驚かれ、ギルドのお姉さんが討伐した魔物の多さに慌てふためいたり、最速のランクアップとかして、「あ、あれが雷神に求愛を受けたAランクルーキー………金色のハルトか……!」とかやってみたかったな。


 いかんいかん。すぐ脱線妄想してしまう。よし、さくっといこう。


 俺はマジッククリエイトで新たな魔法を創る。イメージは、地球で見た映画のスタースクールウォーズで出て来たやつと機動狂戦士顔駄目(ガンダメ)のサーベルを混ぜた感じにしよう。名付けてビームセイバーだな。


 雷の魔力を放電せずに留めて剣にする感じ……。よし、イメージ出来た。マジッククリエイト!


 するとビームセイバーのはずが輝く七支刀(ななつさやのたち)のような形になってしまった。なんとも中二病な形だ。たまらんな。名前変えたほうがいいかな。


 そういえば、以前火属性で試した時は柄の付いた火炎放射器みたいになってしまったけど、なんでなんだ?属性のせいなのか、イメージが足らなかったか……マジッククリエイト使い慣れてきたからか?時間が取れたときにでも色々試して調べて見れば分かるか。


 まぁ、とりあえず後回しでグリーンポセを討伐することにしよう。



 

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