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10-4 下克上



「ルカ、後ろは任せたよ!!はぁっ!!!」


「はい。飛龍剣・昇華!!」


 攻撃を転移で避け攻撃をする。そんなことを繰り返していると、ハルトやランスロットが機械的な動きしかしていないことにルカは安心していた。

 偽物とはいえ、ハルトを模した者を殺すのに抵抗があったからだ。心まで真似されていたら攻撃出来なかったかもしれない、そんなことを考えながら剣技を飛ばす。


「ちゅりゃー!!」


 クロトワの時と同じように可愛い声で隠密行動でランスロットの背後に現れたシロは、力強く石ころを引っこ抜く。

 すぐ様握り潰すとランスロットは石像となり固まっていた。


「あとはニセご主人様だけー!!いっくよー!!!」


 ルカとアイナがハルトの相手をすべく動き出そうとすると、シロは今までのように気配を消すこと無くハルトに向かって全速力で突っ込んでいった。


「雷光砲。」


 ハルトの翳した手からは白く光る雷が放たれ、ジグザグと暴れながらシロを撃ち抜こうと迫ってきた。


「そんなの効かないの-!!!ちゅ~りゃっ!!!!」


 手に集められた神力が膨れ上がる。そして正拳突きをタイミング良く放つ。

 すると雷光砲はバチンという激しい音を鳴らして消滅していった。


「ご主人様の魔法は強いけど、ご主人様のほんとの強さはそんなんじゃないよー!!どんな事にも対応出来るマジッククリエイトなんだぞー!!偽物なんか直接やっつけてやるー!!」


 ダンジョンで幻術に惑わされた時に敗北したハルトへ、圧倒的な力を持ってシロは迫る。


「天地神雷。」


「わぁお!すごい魔力だぁ-!!!!」


 ハルトは天向けて手を上げると魔力を放出させた。するとすぐに雷鳴が轟き、空には巨大な銀色の球体が生まれた。


「すごいけど、遅いよー?シロ手は抜かないのー!!シロ本気(まじ)パンチ…………ちゅ~~~りゃぁーーーーっ!!!!!!」


 雷光砲をぶち破りそのまま真っ直ぐハルトへ向かって全速力で走って行き、シロは全力で神力を解放した。

 全身から濃密な神力が溢れ、周りからはシロが見えないほどの輝きを放っていた。


 そしてハルトの魔法が発動するよりも早く目前へ迫り、本気の正拳突きをハルトの顔面にぶち当てた。


 軽々と雷の鎧を破り、拳がぶつかった瞬間にシロの神力がハルトの全身を覆い粉々に砕いていった。


「シロの勝ちだよー?ちゅりゃ!」


 そして粉々になった欠片から石ころを拾い上げると、シロは握り潰した。


「やばっ。シロちゃんこわっ!強すぎるし、躊躇しなさすぎ!!!」


「シロちゃん、ご苦労さまでした。」


「うん!!ルカちゃんとアイナもお疲れさま-!!」


「おつかれー!よーし、後はハルトさんの所へ行くだけだね!!」


「はい。では急ぎましょう。」


「急ごー!!ごーごごー!!!」


「そうだね!よし、じゃあみんな準備はいい?しゅぱーつ!!!!」


 2人と手を取り合いアイナは転移を発動させた。だが、何も起きることは無かった。


「あれー?アイナしっぱいー?」


「いや、そんなはずは無いんだけど……転移!」


 何度も試してみるが転移が成功することは無かった。


「だめだ、転移出来ない……。」


「アイナ……すぐそこへ転移してみて下さい。」


「……わかった。いくよー!」


 すると3人は数メートル先へ転移した。


「どうやら空間外への転移を結界に邪魔されているようですね。この空間自体が結界のような効果を発動しているのでしょう……困りましたね。」


「ちゅ~りゃっ!!!!」


 シロが試しに手弾を放つ。だが何かにぶつかることは無く、どこまでも飛んでいき消えていってしまった。


「遠い-?広いのかなー?」


「色々と試すしか無いかー。ルカはなんか思い浮かぶ?」


「以前聖教国にハルト様と訪れたときに魔族と戦闘しました。その時は異空間のような所へ迷い込んでしまい、その魔族は任意で出入り可能で魔族を殺せば出られないと言ってました。」


「なるほどねー。時空魔法とかそんな感じなのかな。その時はどうしたの?」


「ハルト様が容易く魔族を葬り去りました。」


「え?でも魔族を殺しちゃったら出られないんじゃないの?」


「ハルト様に不可能はありません。出る為の魔法を創り上げようとしたようですが、そんなことするまでもなく魔族が残した時空の裂け目から出ましたが。」


「それはさすがにハルトさんしか出来ない力技だなぁ。ルカ、飛んでどのくらい高くまで行けるかやってみる?」


「おそらく無駄でしょうが……やれることはやってみましょうし。」


 もしかしたら天井があるかも知れないというある種の祈りを込めて空を飛んでみたが、どれだけ飛んでも結局辿り着くような場所は無かった。


「触れることさえ出来ないとなると手の施しようがありませんね。」


「ねー。なんで触れないんだろー。すーっごく広いのかなぁ。それとも終わりが無いのかなぁ。当たらないんじゃパンチも意味ないからなー、足なら当たるのに-。」


「ッ!?シロちゃん!それだよ!!!足だよ!!!!」


「……そうですね。下だけは当たります。やってみましょうか。」


「なるほどー!!その発想シロには無かったなー!!やるなーアイナ!ちゅりゃー!!!」


 シロが地面に向かって正拳突きをすると地面は隕石でも墜落したかのように吹き飛んだ。だが、吹き飛んでいった先からどんどんと修復されていき、すぐに元通りになってしまった。


「これはこれは……嫌らしいですなー。骨が折れる上に、既に地下の最下層だったら裏側まで出れないしね。」


「しかし他に方法がありません。やれるだけやりましょう。もしかしたら結界となっている範囲を抜けて転移も出来るかもしれません。」


「そうだね。そんじゃやれるだけやってみようか!!!」


「じゃあシロからいくよー?ちゅ~りゃっ!!!ちゅりゃ!!ちゅーりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!!!!!」


 そうして3人は代わる代わる地面を掘り返す作業をこなしていった。




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