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10-3 絆



「ルカ、あの元勇者も転移出来るの?」


「出来ます。万能型のような戦闘スタイルですが一撃の破壊力も高いです。」


「じゃあ、3人とも転移が出来るって事かぁ。ぱないっすね。」


「でもシロは転移怖くないよー!!3人で戦う-?分断して個々でいくー?」


「とりあえずは3人で行きましょう。連携は初めてですが、絆ではこちらが圧倒的に上です。」


「そうだね!!よぉし、絶対勝つよ-!!!!」


「おーっ!!シロも暴れるぞー!!!」


「来ます!!」


 僅かな魔力の揺れを感じ取ったルカが声を上げて2人に知らせる。すると前方にいたハルト達3人が同時に消えた。


 ランスロットはルカの背後へ。


 ハルトはシロの背後へ。


 クロトワはアイナの背後に現れた。


 だが即座に反応した為、攻撃を受ける事は無かった。一度は負けた3人だが、遅れは取っていないようだった。


「ランスロット。あの頃の私とは違うのだと教えて上げましょう。白神武装!!」


 ランスロットの剣が振り下ろされるよりも早くルカは回し蹴りを腹に当て、そして白神武装でキラキラと輝く神力の白金のような色のドレスへと姿を変えていく。


「ちゅりぁ!!!!」


 ハルトの雷刀を神力を纏った拳で受けたシロは、空いた方の拳を振り抜く。

 ハルトは雷刀を引き戻し構えたが、シロの手弾はハルトではなくクロトワの頬を打ち抜いていた。


 弾丸のように吹き飛んでいくクロトワをハルトが目で追った隙に、シロは拳を全身全霊の力でハルトにぶち当てた。

 雷の魔力を纏っていたハルトであったが、シロの拳はその鎧を突き破りハルトの脇腹を捉えた。その瞬間に魔力を流し込むと、ハルトの脇腹は爆発した。


「力を解放せよ。聖封剣アルミナス・ヒュンティア。」


 アイナがクロトワへ追い打ちをかけようとするが、ルカは慌ててそれを止めた。ランスロットがスキルを発動させたからだ。


 爆発したかのように魔力が広がっていき、二千本の剣が生まれていった。


「アイナ、私に任せて下さい。神龍剣・蒼波衝!!!!」


 ランスロットが自らの剣をルカ達へ向ける。すると二千本の剣が3人を目掛けて動き出す。


 だがアイナを制したルカが氷の刀を地面に突き刺すと、そこを始点にドーム型に青い障壁が広がっていく。

 結界が広がっていくように見えるそれは実際には氷の属性を持ち合わせる衝撃波であり、ランスロットの剣が触れると突き抜ける前に押し戻されて行った。


 そして氷の衝撃波はランスロットを覆い、そのまま氷で包み込んだ。


「今度はこちらから行きます。神龍剣・氷天牙龍!!!!!」


 ルカの剣技は巨大な氷の龍となりランスロットを呑み込む。氷に包まれて転移をする間もなくランスロットは氷の龍の牙に食らい付かれた。

 そのまま天へと昇っていき、龍は最後の咆哮を上げるかのように大爆発を起こした。


「さすがルカだわ!!!あとはクロトワね!!!今度こそ私が行くからね!!!!」


 アイナはすぐに吹き飛んだクロトワの元へ転移した。既に起き上がっていたクロトワは黒槍を構え、口元の血を拭った。


「勝負に負けても試合に勝つ!!あんたの初見殺しの必殺は悪いけど使わせないから!!」

 

 アイナは剣に魔力を流し始め、クロトワも具現化したかのような魔力を全身から放ち槍を握りしめアイナに狙いを定めた。


 クロトワはまだまだ槍の射程距離の外にも関わらず槍を突き出し、アイナもそれと同時に転移を発動させた。


 するとアイナの立っていた場所に槍の先端だけが現れ空を切る。アイナはクロトワの背後からそれを見た。


「ハァッ!!!!」


 クロトワが振り返るよりも早く抜刀したアイナはクロトワを斬り伏せた。


「やっぱり攻撃を転移させてたのね!2度目はタイミングに気を付ければどうって事無いのよ!!!」


「アイナー!!すごーいっ!!!!」


「やりましたね、アイナ。」


 3人が戦いに勝ち喜んでいると、突如魔力を感じた。


「気丸斬!!」


「うわっ、ニセハルトさんだ!!!」


 アイナは2人の手を取りすぐに転移でハルトの魔法を躱して距離を取る。

 振り返って確認するとやはり脇腹を抉り倒した筈のハルトが無傷の姿で立っていた。


 そしてすぐに空で氷の爆発で死んだはずのランスロットがハルトの横へ舞い下り、アイナに斬り伏せられたクロトワも普通に立ち上がった。


「なんで!?間違いなく斬った筈なのに!!!ほんとに幻術じゃないんだよね?」


「はい。私達にかけられた魔法は無いはずです。」


「じゃあなんで攻撃が効かないの!?」


「もしかしてー。あれかなぁ。ごーれむみたいなやつ。偽ご主人様の頭の後ろに小さい石ころが填まってたよー?」


 そういってシロはハルトに向けて指を指す。


「ゴーレム?」


「なるほど。可能性はありますね。では、やってみましょう。」


「どーいうこと?」


「アイナはうるさいー。2人とも逃げながら戦ってくれるー?あのご主人様弱いから忍者シロが活躍してくるー!!」


 シロはスーッと気配を消し、持ち前の素早さで消えていった。


「わかりました。ではアイナやりますよ。」


「むー。わかったよー!シロちゃん、私に任せなさぁーい!!」


 アイナはルカの手を取り転移する。そしてルカが魔法を放ちハルトとランスロットに防御させる。ランスロットが転移してきたら転移で逃げて、ハルトに牽制も行う。弱めの攻撃はわざと結界で防ぎ可能な限り意識をこちらに向け、尚且つ動かぬようにしていた。


「ちゅりゃ!!!!!」


 突如聞こえた可愛らしい声の後に、クロトワが倒れた。シロが背後から近づき後頭部の石ころを外し、すぐに握り潰していた。


「凄っ!!!シロちゃんほんまもんの忍者だ!!!!」


「そうですね。気を抜かずに私達もいきましょう。」


 倒れたクロトワを見ると石像のように固まっていた。残り2人を倒して、早くハルトの元へ行きたい気持ちが3人に募っていった。


 



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