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9-7 アリス再び



「ん……。あれ?………ハ、ハルトさん!?どうしてここに!?あれ?」


「アイナ………ほんとに生きててくれて良かった。」


 シロとルカには申し訳ないが、俺はアイナとアレイトスが目を覚ますまで只管待っていた。


 そして先に目を覚ましたのはアイナだった。


 待っている間はただ安堵感に包まれているだけであったが、実際アイナが目を覚ますと途端に涙腺が崩壊し、恥ずかしくなる程に涙がボロボロと流れてきた。


「………はい。ハルトさん……ごめんなさい。負けちゃいました。私なんかじゃ王都は守れないみたいです。」


 生きていた喜びよりも自身の力不足にアイナは落ち込んだ様子を見せる。


「そこに倒れてる奴……神様なんだ。そいつがわざわざ俺達のために神界から来てくれてクロトワを倒してくれたんだ。軍神のアレイトスっていうんだけどさ。」


「軍神アレイトス!?めちゃくちゃ有名な神様じゃないですか!!」


「まぁ有名かどうかは知らないが、その軍神でさえ命懸けだったんだ。正直俺達の敵は個々の力だけだとキツいんだと思う。辛いかも知れないけどさーー」


「ハルトさん。大丈夫ですよ。私だけじゃ王都は守りきれない……だからハルトさんに助けを求めたんです!ハルトさんなら私も王都も守ってくれるって信じてたから、存分に利用させて貰ったんで作戦勝ちです!!!まだまだ弱っちいですけど……ほんとは一人でも勝ちたいですけど……もうそれどころじゃないのはわかってます。だから私の心は平気ですよ?」


「そうか。怪我する前に来てやれなくてごめんな。」


「ハルトさんなら絶対助けてくれるって信じてますから大丈夫です!腕の2本や3本どぉ~ってことないですよ!すぐ治してくれますしね!!!!」


「3本って……アイナ開き直ってないか?」


「開き直ってますよ!同じ地球出身ですけど何故か私弱いですから!!でも開き直ってても努力は惜しみませんのでご安心を!!それに私にはキレのある頭脳がありますから、今後もハルトさんを召喚して作戦勝ちしてやりますよ!!」


 何となく空気が和んできたところでようやくアレイトスが目を覚ました。


「ぬぅ。……まさかあれで生きているとはな。小僧か?」


「まぁ。でもリスキアの協力もあっての事だけどな。………アレイトス、来てくれて本当に助かった。ありがとう。」


「ハァッハッハ!!儂が勝手にやった事だ!小僧が気にすることでは無いわ!………それに喜ぶのはまだ早い。」


「どういう事だ?」


「あの黒槍の小娘……死んでいないぞ。堕ちた者では耐えられん位の神力をくらったからには相当のダメージはあるだろうがな。」


 まじか。クロトワ死んでないのか。厄介極まりないな。


「奴は血の契約をしていた。地上において儂の力ではどうにもならん力を手に入れているようだったぞ。」


「血の契約って何だ?」


 アレイトスが俺の質問に答えようとすると、突如気配が一つ増えた。


「続きは私が説明するわ!!!」


 咄嗟の出来事に身を構えたが、振り返ると腰に手を当てたチビリスキアが立っていた。

 久々だな。


「リスキア、地上では久々だな。」


「今なら敵はいなそうだから来たわ!!」


 リスキアは創造の女神なのに弱いのかな。前もシロに働かせてただけだったし。


「血の契約よね?簡単に言うと邪神との契約よ。」


 邪神との契約?邪神は封印されて8つに割られた筈だが。


「そんなことは出来るのか?」


「出来ないわ。普通わね。前例もない!」


 普通は?どういう事だ?


「邪神に堕ちたナーナの肉体は8つに分けられたってのは言ったわね?だけど魂はそうはいかないのよ。魂だけは神々の結界により神界で封印されているの。」


「じゃあどうやって契約したんだ?」


「分からない。でも恐らくは邪神の欠片を持っていった時でしょうけどね。クロトワという娘も誰かさんと神界へ入り込み、血を捧げ邪神の力の一部が譲渡されてるのだと思うわ。あくまでも推測だけれど、神界で確認したらナーナの魂は神界にあったから間違いないと思うけど。」


 要するにクロトワが崇拝してる奴はクロトワよりも格段に上って事なんだろうな。

 やばいな。


「わかった。で、リスキアは何のために来たんだ?」


「そう言ってやるな小僧。最高神が心配で居ても立っても居られずに飛んできたのだ。優しく抱き締めてやったらどうだ?」


「ギャーッ!!な、何を言ってんのよ!?バカアレイトス!!脳筋軍神!!!ロリコン若作り爺!!!」


 何だその反応は。それでも創造の女神か?神界と地上でギャップあり過ぎだろ。どんな理屈だよ。


「ま、まぁ冗談はここまでにして。ハルトはこれからどうするつもり?」


「とりあえずルカとシロと合流して、クロトワ討伐かな。」


「そうね。確かにここまで積極的に責めてくるって事はそういう局面まで来たって事だしね。」


「想定していたより大分早いけどな。」


「じゃあ、アホ軍神も復活したことだし私達は帰るわね!!」


「あぁ。ほんと助かったよ2人とも。じゃあな。」


「えぇ。また何かあったら連絡してね!!」


「じゃあな小僧!!2人でゆっくり酒飲める日まで死ぬなよ!!!!!」



☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 2人と分かれた後すぐに転移でルカとシロの元へ向かうことにした。

 王都はアイナがすぐに出張ってくれたおかげで殆ど被害を受けていないようだった。


 何となくだが…………今はアイナと離れ離れになりたくなくて、どうしても一緒についてきて欲しいとお願いしてついてきて貰うことになった。


 アイナは最後まで悩み続けていたので、一定以上の魔力量を持った敵意ある者が現れたら知らせてくれる装置を置いておくのを条件にしたら快諾してくれた。


 本当はもう少し強引で甘酸っぱい感じの交渉もしたけど恥ずかしいから内緒だ。


「じゃあ行こうか。2人も心配だ。」


「はい!!まぁルカとシロちゃんならまず大丈夫ですけどね!」


 そして俺とアイナは手を繋いでルカの魔力を検索する。すぐにしっかりと確認出来たので少しだけホッとして、そのまま帝都へと転移した。

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