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9-6 アレイトスVSクロトワ



「アレイトス!!!頼んだ!!!」


「任せろ小僧ッ!!!!行くぞぉ小娘ッ!!テラスラッシュ!!!!」


 アレイトスは気合い一閃、大剣を横凪に振り抜いた。すると超極太の剣閃が飛び出していく。


「軍神アレイトスね~。」


 アレイトスに反して、クロトワはかったるそうな態度で槍を構えた。

 そして槍を突き出して槍技を放つ。


「突き刺せ、ブラッドアルタランス!!」


 アレイトスの放ったテラスラッシュへ向けてクロトワは槍を突き出す。

 すると槍から巨大な赤黒い槍が生まれ飛びした。


 テラスラッシュとぶつかったクロトワの槍技はいとも容易くテラスラッシュを破り、アレイトスに迫った。


「フンッ!!!!」


 アレイトスは輝く大剣でクロトワの槍技を受けるが、10メートル以上も後退されていた。

 

「邪教徒か………。」


「あら~、随分と偏った見方じゃない?私から見たらあんたこそ邪教の神なのに。」


「我等の結界があるはずだが……血の契約なんぞどうやってやったのだ?」


「ばっかじゃないの?言うわけないでしょ~???」


 何だかよく分からない会話をしているが、アレイトスが押されてる限りは動けないぞ。

 アイナのTPも15まで下がっている。時間が無いが、未だにアイナとクロトワが近すぎる。強引に突破するしかないか?


「……小僧。」


 アレイトスはさっきまでガハガハと強気なオラオラ系だったのに突然真顔になっていた。

 かなり切羽詰まってるのだろうか。


「なんだ?」


「状況が変わった。約束通り時間は稼いでやる。儂の次の攻撃で必ず娘を救え。」


「分かった。」


 アレイトスはこちらを見てニヤリと笑った。


「小娘ぇッ!!!歯ぁ食いしばれぇ!!!!うごぉぁぁぁぁ………!!!!」


「ちっ!!神が命を捨てたかっ!!!!」


 苦しむように魔力を練りだしたアレイトスに、クロトワは少し慌てたように黒槍を地面に突き立て真っ赤な結界を張った。

 命を捨てた?どういう事だ?


 アレイトスは次の攻撃で必ずアイナの命を救えと言ったが、クロトワの言葉が気になった。

 

「アレイトス!!!」


 不穏な予感を回避すべく、アレイトスに一瞬でかけられるだけの補助魔法をかけた。

 湧き上がる力に全てを悟ったようで、アレイトスはニヤリと笑う。


 そして剣を天にかかげ、魔力を解放させた。


「ミル・アルクライムッ!!!!!!!」


 天からアレイトスを呑み込む程の神の(いかづち)が大剣に落ちる。そして直ぐさまアレイトスは大剣を振り下ろした。


 地を抉りながら突き進み、アレイトスの魔力と神の雷は更に混ざり合う。

 それはやがて全てを照らすかのような光の奔流となった。


 クロトワの作り出した赤い結界もすぐに耐え切れず硝子のように砕け散り、地に突き立てた槍と手が吹き飛ぶのが見えた。


 そして間違いなくクロトワを呑み込んだ軍神の一撃は消え去っていった。



 俺はアレイトスが動き出したと同時に補助魔法をかけつつ走り出した。

 まだアイナが巻き込まれる距離にいる。


 アイナの魔力を感知して転移で一瞬でアイナの元に辿り着き抱き上げ、再度走り出した。

 念のため鑑定をかけ続けながら移動していたが、無理に動かしたせいでTPは見る見るうちに下がっていった。


「ちくしょう!!絶対助けてやるからな!!!!!」


 アレイトスの背後へ回り込み、アイナを下ろす。頼む、間に合ってくれ。


「マジック・クリエイト!!!」


 クロトワの固有スキルから受けた状態固定を無効化する魔法を創り出し直ぐさまアイナに使用する。そのまま続けてリボーンと回復魔法を何度もかける。ついでに魔力譲渡もしておいた。


 ランスロットの時は回復魔法をかけても巻き戻すように傷が戻ってしまっていたが、アイナは見る見るうちに傷が塞がっていった。

 TPも全回復していた。状態異常も気絶だけになっている。


 何とか間に合ったみたいだ。


 アレイトスを確認すると凄まじい技を放ち終えたところだった。

 クロトワの姿も無い。


「アレイトス!」


 念のためアイナを抱えてアレイトスに近付き声を掛けたのだが返事が無い。

 そして何とか立っていたようだったが、剣を地面に突き立てたままアレイトスは地に倒れ込んだ。


 状態異常を見ようと急いで鑑定をしてみるが弾かれてしまった。神は見れないのだろうか。とりあえず回復魔法をかけるが効いた様子はなかった。


 攻撃は受けていない。考えられるのは……魔力欠乏か?


 そう判断しアイナ同様に魔力譲渡をする。だが鑑定が使えないので回復したかが分からない。


『リスキア、聞こえるか?』


『ハルト。どうやら少女は助かったようですね。』


『あぁ、すまなかったな。だが、今度はアレイトスが技を放った後に倒れた。分かるか?』


『石化は……してないようですね。ハルトの補助魔法のおかげですね。先程話したように地上では力を発揮する事が出来ません。なので、神界より神力の塊を呼び寄せた為に肉体が耐えられなかったのでしょう。身を滅ぼすので本来そのような事はしませんが、クロトワと呼ばれる者がそれだけの力を持っていました。致し方なかったのでしょう。』


『どうしたら治せる?』


『前例がありません。ですが石化は始まっていないので、濃すぎる神力を取り除くのが可能性としては考えられます。』


『分かった。やってみる。』


 リスキアのアドバイスを元にマジック・クリエイトで神力を抜き取る魔法を発動させる。

 だが、魔法はアレイトスに浸透する事無く弾かれてしまった。


 時間の猶予が分からない。可能な限り急がなくては。


 だが、頼みのマジック・クリエイトでさえ通用しなかったせいでどうしたら良いか分からなくなってしまった。

 焦れば焦る程どつぼにはまる。それが余計に焦りとなっていた。


「ちくしょう、どうしたら…………。あっ!!」


 目には目を神力には神力があったか。試してみる価値はあるな。


「まだお礼言えてないんだ。死ぬなよアレイトス!」


 さっきマジック・クリエイトで創った魔法を再度創り上げる。そしてそこに神力を混ぜ合わせていく。

 神力が合わさると特有の白金色っぽい輝きが生まれ、アレイトスを包み込んだ。


 するとさっきとは違い魔法が浸透していくと、アレイトスの体から湯気のようにキラキラとした神力が消えていくのが見えた。


 上手くいったっぽい。あとは念のため回復魔法を重ねがけしといた。





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