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9-5 アイナ死す?!



 私に任せてアイナの元へ行ってくれとルカは言うが、本当に2人に押し付けて行ってしまっていいのだろうか。


 ルカとシロが普通じゃないくらい強いのは知っていても、相手は邪神の欠片を使って異常な程のブーストがかかっている。

 もしかしたら帝都に居た奴等がランスロットや黒槍、クェンティンのように強者である可能性も高い。


 やっぱり心配でたまらない。


 だが俺を呼び出す魔道具が使われたってことは、アイナの方が切羽詰まっている可能性が高い。

 

『頼んだよ。シロにも無理しないように伝えて。すぐに戻るから。』


 覚悟を決めてルカに念話を送る。


 そして俺はアイナの待つ王都へと転移した。





「あらあら~?ハルトくんじゃな~い!!!」


 転移して最初に目に映ったのなクロトワの姿だった。


「ア、アイナ……?!」


「帝都に向かわせたのに随分と早かったわね~!!しかも面構えも前に会ったときよりも男らしくなってるし~!ちょっとは修行してたのかな~???」


「……アイナ。」


 転移した先にはクロトワがいた。そして軽口を叩くクロトワの足元には、口から血を流したアイナが倒れていた。


「悔しかったもんね~?折角仲良くなったランくんが自分のせいで、しかも目の前で殺されちゃったんだもんね~!!!」


 そしてアイナの腹部はクロトワの黒槍に貫かれ、冷たい地面にはり付けられていた。


「そ~し~てっ!!今度は大事な大事な恋人ちゃんまで殺されちゃったんだもんね~!!!気持ちはわかるよ~?辛いよね~!!!全部自分と関わっちゃったせいなんだから辛いよね~????」


 こいつ……今なんていった?


「好きになるって罪よね~!!!こんなに可愛らしい顔でも血は似合うんだ~!さっきまで元気いっぱいだったのに~、ハルトきゅん来るのが遅いんだよね~!!!ヒーローぶるならとっとと来ちゃいなよ~!!!!……ぶふっ!!ごめんごめん!!ついつい笑っちゃって!!!!!」


 アイナが……殺された?


「まーまー!!辛いんだろうけどさ!!!もう1人彼女いるわけだし!!ちっさい娘も大きくなったら彼女に出来んだからさ!!!残り2人もいるんだから元気だしなよ~???」


 アイナに……全部終わったらーーー


 全部終わったら地球へ連れてってやると約束したんだ。


「つーかさー!!!さっきから励ましてやってんのに何無視してんだよ!!!ありがとうございますだろうが!!!!残りの二匹も殺すぞバカヤロ-がぁ!!!!」


 笑ってくれよ。アイナ。頼むからおちゃらけてくれ。


「…………クロトワァァァァァ-ッ!!!!!!!!!」


「くぅ…………その魔力は中々かな~!!随分成長してんじゃん?ハァッ!!!!!」


 クロトワが負けじと魔力を体内で練り始める。すると目に見える濃密な黒煙のような邪悪なオーラに包まれていった。


 でも、だからなんだ。


 こいつが邪神だろうが神だろうが聖人だろうが関係ない。もう関係ない。


 もう決まったんだ。


 殺してやる。


 必ずこいつを殺してやる。


 思いつく限りの残虐な手段で。


 自ら殺して下さいと懇願するほどに残酷な方法で。


 殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して、何度死んでも死ねない身体にして殺し続けてやる。


 どす黒い腐ったような何かが身体を覆っていく感覚がする。そしてそれを受け入れたらもう戻れない気がした。


 もう……それでもいいや。


 クロトワを殺せるなら、何でもいい。


『ハルト!!狂気に呑まれてはいけません!!!』


 突如脳内に直接響くように念話が聞こえてきた。


 あぁ。リスキアか。


『まだその少女は死んではいません!!!正気を保ちなさい!!!』


 死んでいない!?


 慌ててアイナに鑑定を使うと、TPが20/700となっていた。


 生きてる!アイナはまだ死んでいない!!


『ハルト、まずは落ち着きなさい。貴方が狂気に呑まれてしまったら、愛する3人とも死ぬことになります。』


『すまん!!助かった!!!』


 なんとか落ち着きはしたが、冷静になってみるとかなり厳しい状況なのには変わりない。

 クロトワを相手取りつつ、アイナを回復させる。しかもアイナにかけられたクロトワの固有スキルもどうにかしなくてはならない。

 

 いけるのか……?


『ハルト。そちらへ私の仲間に向かって貰いました。本来神々は地上に深く干渉出来ないのですが、今回も特別です。神々は地上へ下りると能力がとても低くなってしまいます。そして神界と違い死ぬことも出来ます。ですが、それでもハルトに協力したいと言ってくれた神がいました。すぐに到着します。』


 神友?死ぬかもしれないのにいいのか?


 でも今は猫の手も借りたい状態だ。助かることこの上ないな。


『わかった。で、誰なんだ?』


「儂だぁッ!!!!」


 突如爆弾が爆発したかのような覇気のある大声で登場したのは、2メートルはあるデカい身体に金色のど派手なゴツい鎧を身に纏い、炎のように真っ赤に染まった深紅の髪の………………イケメンだった。


 神は歳を取らないのだろうか。


 オラオラ系の気の強そうな表情の青年神。……強そう。普段ならイケメン爆死しろって言いたいところだが、今はめちゃくちゃ頼りになりそうだ。


「あんたがリスキアの仲間か?」


「そうだぁッ!!儂の名は軍神アレイトス!!話は全て聞いたぞ小僧ッ!!軍神の力を貴様に貸してやる!!!」


 やべえ。なんかかっけぇぞこの人。あっ、人じゃないか。


「アレイトス!!そこの黒槍の相手を頼めるか?」


「ふん!!!取るに足りんッ!!!!!」


 アレイトスは背中から身の丈程ありそうな大剣を引き抜き構えた。


「ふ~ん。ハルトきゅん軍神なんか召喚出来んだ~。まぁ、折角だから相手してあげる。神を殺すなんて中々経験出来ないからねぇ~。」


「生意気な小娘がぁ!!ハルトッ!黒槍の相手は儂が受け持ったぁ!!!!」


 アレイトスは構えた大剣に魔力を流し込み、そしてクロトワへ向かって走り出した。


 

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