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9-4 シロの奥義



 あっ!!また潰された!!!


 これでお姉ちゃん7人潰れたー。大丈夫かなー。


「お姉ちゃんあと1人しかいないよー?みんな死んだー?」


「やはりあの怪物は只者じゃないな。まるで攻撃が通用しない。どうしたものか。」


「今度はシロいっていいー?お姉ちゃん離れて見ててくれるー?」


「何を言うか!私はまだーーーま、マズいぞ!!!!!」


 お姉ちゃんが突然慌てだしたからゴースの方を見てみると、ちょうど地面にパンチした瞬間だった。

 手が地面にめり込むと、まるで津波のように地面がめくれ上がってこっちへ向かってきてた。


 普通に殴ってもああはならないだろうから、シロみたいに魔力を地面に向けて放ってる気がするなぁ。

 ゴースやるなぁ。


「う~~~!!ちゅりゃっ!!!!!!」


 シロもゴースと同じようにハイパーパンチで地面へ魔力を流し込む。

 するとこれまた同じように地面がうねっていく。


「なっ!?」


 シロとゴースの地面うぇーぶがぶつかり合うと、そこが壁のように盛り上がって地面うぇーぶは止まった。

 ゴースやるなぁ。


 それを見てたお姉ちゃんはコカトリスに石化されたように固まってしまった。


「まるで神々の戦のようだな。悔しいがここは大人しくしてることにする。ヘタに私が戦えばお荷物になりかねん。」


「お姉ちゃんありがと-!!離れててね-!!シロ、いっきまーす!!!」


 アイナに教わった機動戦士ガンバルの安室零(アムロゼロ)さん掛け声でシロは走り出した。

 両の手足に神力を流し込み、ゴースとの戦いに備える。


 ゴースはシロが神力を練り出すと、今までにない機敏な反応を示した。

 悪の組織は正義の力が嫌だもんねー。反応しちゃうよねー。


 ゴースは迎え撃つべく走るシロと向かい合う。咆哮を上げて衝撃波を飛ばしてきたけど、シロには分かっちゃうから避けながら走り抜けた。


 止まらないシロを見て、ゴースは石礫を弾き飛ばしながら足を振り上げシロを踏み潰そうとしてきた。

 他にも踏み抜いた衝撃でシロを止める作戦なんだろうけど、シロには通用しないだよ。シロはすごいだよ。


「トゥッ!!!!!!」


 シロはゴースの目前で跳躍すると、マスクライダーのアマゾネスさん(アイナに教えてもらった)よりもクルクル回りながら、ゴースの肩に飛び乗る。


「今度のは痛いよー?歯食いしばってねー!!んにー………ちゅりゃ!!!!!!」


 神力の乗ったパンチをゴースのこめかみに叩き込む。するとゴースの肩がグラッと揺れると、そのまま地面を揺らして倒れ込んでいった。


「どーだー!シロは強いだろー!!」


 腰に手を当ててふんぞり返ると、お姉ちゃんが遠くで叫ぶ。


「も、もう倒したのか!?」


「んーん。ルカちゃんは終わったみたいだけど、ゴースは全然元気みたい-!!」


「そうは見えないのだが……。」


「ほら、起きるよ!!」


 シロが指差すと、こめかみや目頭から血を噴き出しながら起き上がるゴースの姿があった。

 気絶もしないなんて、やっぱりゴースやるなぁ。


「グラァ……………グラララァーーーッ!!!!!」


「ぐっ!!!!なんて咆哮だ……!」


「草詰めた方が良いよー?」


 ゴースは起き上がる。さっきまでとは目つきが違う。今まではどこか遊びのような余裕を感じていたけど、今はこれから死地へと向かうような本気の眼をしている。

 

「お姉ちゃん。ゴース本気になったみたい。シロも本気でいかないといけないから、お姉ちゃん帝都まで戻って-?」


「わ、わかった。其方の武運を祈っているぞ!!」


「ありがとー!後でご主人様紹介するから帝都で良い子にしててねー?いってくるまーし!!!」


 ゴースは巨体に眠っていた魔力を全身に巡らせ始めた。もしかしたら魔力量だと負けてるかもー?


 スキルなんて無くても練っている魔力が異常な量なのがわかる。背景が揺らいでいるくらいだから。


「ゴース!!良い子になって帰るなら今だよ-!!!!もう手加減出来ないのー!!!!」


「グラララァァァーーーッ!!!!!!!!」


 ゴースは巨大な体で全身を使い渾身の一撃を繰り出す。迫り来る山のような拳へシロは飛び出した。


「白神拳(アイナ命名)奥義…………シロ万裂拳(アイナ命名)!!!!!ちゅ~りゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ~ん!!!!!!!!」


 勢いの乗った巨大な拳へシロの小さい拳を一瞬にしてちゅりゃりゃりゃと打ち込む。これこそが白神拳奥義、シロ万裂拳なのだー!!


「グラララァーッ!?」


 ゴースは誰も止められない筈の拳が止まった事では無く、小さな拳が致命傷に成り得る事に驚き声を上げた。


 一つ一つの拳に全力の神力が宿る。


 そしてその一撃一撃の神力がゴースの体内へと流れていく。


「グ、グガァラアァァー!!!!!!」


 ゴースは痛みに顔をゆがめ巨大な咆哮を上げると、それを合図にしたかのように拳が盛り上がり爆散した。

 そして拳の次に手首が、手首の次は肘までとどんどんと爆発していく。

 

 それだけでは神力は止まらない。闇に染まった悪しき者へ絶大な効力を示し、神力は更にゴースの体内の奥深くへと流れていく。

 やがて全身が裂け始めていき、神力の光が体中から漏れ出した。


 そして最後に一際巨大な咆哮を上げるとゴースは爆発するように弾け、黒い霧となって消えていった。


「ふー。万裂拳つかれるなー!!」


 ゴースはお馬鹿だなぁ。折角チャンスあげたのに。


「でも、シロは楽しかった-!!じゃーねー!!!」


 シロは消えゆく黒い霧に、全力で戦えた感謝の念を込めて目一杯手を振った。

 

 

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