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9-3 帝国の勇者



 ルカちゃんと魔法使いの人が戦いを始めようとしてる。でもそんなの気にならないくらいシロはワクワクしてるの。

 だってこんな大っきな奴と戦うの初めてなんだもん!!!


「ごーす!!お前の相手はシロだぞー!!かかってこーい!!!」


「グラァーーー!!!!」


 シロが挑発するとゴースが咆哮を上げる。敵と認められたみたい。


「ぴっ!!」


 あー、耳痛かったぁ。声が大きすぎる-。


 あんまりにうるさいから逃げちゃった。ゴースはチャンスだと思ってか地揺れを起こしながら追いかけてくる。怖いから逃げたんじゃ無いのになぁ。


 ゴースの指くらいしかないシロだけど、パワーは負けてないはず。神力もあるし!今に見てろ-。


 足元に生えていた雑草を丸めて耳の穴にねじ込む。


「これで耳痛くならないぞー!ちゅりゃ!!!」


 手弾?拳弾?あれー?ご主人様どっちの名前で呼んでたっけなぁ。

 んー、手弾でいいなー。


 ズドンズドンと巨大な足で地面を踏み荒らしながら迫り来るゴースの(すね)目掛けて手弾を飛ばす。

 すると手弾が脛に当たり小さく爆発した。ゴースがデカすぎて手弾がショボく感じるー。


「グララァーーー!!!!!」


 手弾が当たり一瞬だけピクリとしてゴースは歩みを止める。だけどちょっと痛かったのか痒かったのか分からないけど、怒った顔して踏み潰そうとしてきた。


「空が落ちてきたみたーい!!とぉっ!!」


 アイナに教わったマスクライダーのように格好良く飛んで避ける。マスクライダーよりもずっとクルクル回ったはずだからシロの方が格好良かっただろうなぁ。


「いっくよー?ちゅりゃりゃりゃりゃ-!!!!!」


 今度は顔目掛けて手弾ラッシュを飛ばしていく。ゴースがデカすぎて顔に届く頃には威力も下がってるー?

 ピシピシ顔に飛んでくる小さな手弾が鬱陶しそうに手で払う。それだけで手弾が弾き飛ばされてしまった。


「すっごーい!!大っきいだけじゃなくて本当に強いんだなぁ!ワクワクするぅ!!本気で戦えるぞー!!!!」 


「グラァーーー!!!!」


 怒ったゴースは振り払う手でシロを勢い良く潰そうとしてきた。

 避けたら地面壊れるなー。帝都も建物崩れるかもなー。


 その時魔法が帝都から飛んできた。沢山の火の矢とか大きな石がゴースの後頭部や背中に当たる。


 ゴースはシロを狙った拳を止めて帝都を振り返る。自分を攻撃しているものがいると確認が出来るとゴースは帝都に向かって歩き出してしまった。


 シロが慌てて帝都に向かって走り出すと、要塞のような帝都の外壁の天辺に立つ女の人がいた。


「第二魔法騎士隊用意!!……放てぇ!!!!!」


 その女の人が合図をして剣を前方に向けると、また沢山の魔法がゴースに向かって飛んでいく。

 ゴースが鬱陶しそうに手を振ると、まるで羽虫を払うかのように容易く魔法が吹き飛んでしまった。


 あれだとゴースが行っちゃうんだよなー。めんくさいなー。


 シロはズガンズガン歩いていくゴースを追い越して、あっという間に帝都に先回りした。


「お姉ちゃん?お姉さん?」


 シロが壁を駆け登って声を掛けると、お姉ちゃんさんはびっくりして固まっていた。

 シロは可愛いからなー。


「な、何者だ!?」


「シロだよ-?あのねー、今ゴースと戦ってるの-!お姉ちゃん達が魔法使うとゴースがこっちに来ちゃうから戦いにくいの!!分かるー?」


「うるさい!ふざけてる場合では無いのだ!!邪魔をするな!!第三魔法騎士隊前へ!!!」


 むー。お姉ちゃん頭悪いのかなー。


「お姉ちゃん!シロは言ったからね-?邪魔だからやめてねー!次魔法使ってこっちに来ても知らないからねー!!」


 シロが飛び降りてゴースに向かって走り出すとお姉ちゃんは何か叫んでた。


 走りながら手弾をどんどん飛ばしていく。お姉ちゃん達の魔法よりも痛いみたいでゴースはまた叫んでた。

 ゴースの足元に手弾を当てながらすり抜けていく。ゴースを通り過ぎても手弾を当て続けていると、ゴースは帝都に向かうのをやめて漸くシロを追い掛けてきた。


 念の為、帝都から出来るだけ離れるように攻撃しながら誘導していく。


「こんなもんかなー?いっくよー!!!!」


 ゴースはパワーはあるけど、スピードはシロよりずっと遅いから、全速力で走っていってゴースの股の下を(くぐ)って背後を取る。

 そして足を駆け上って肩に乗った。良い眺めだ-。


「ちゅ~~~~~りゃっ!!!!!!」


 力をい~っぱい溜めて思いっきりゴースのほっぺたにシロマッハパンチ(命名アイナ)をくれてあげた。

 神力は使ってないけど、破壊力抜群のマッハパンチだ。ジェットパンチだっけ?


「グァーッ!?」


 ゴースはスーパーシロジェットマッハパンチに大きく体を仰け反らせはしたけど、倒れることなくギリギリ踏み(とど)まっていた。

 シロ結構本気で殴ったのに、顔が吹き飛ばなかったなー。ゴースすごいなー。


 ゴースは口から血を垂らしながらこちらをキッと睨み付けると、(ひたい)の血管を浮き上がらせて一際大きな咆哮を上げた。


 その時ーーー。


「ッ!……馬鹿でかい声だな。おい!!私も加勢するぞ!!!」


 なんとなんとお姉ちゃん参戦!!じゃまー。


「お姉ちゃん死ぬとシロ怒られるかもー?だから早く帰ってー!!」


「勇者は逃げも隠れもせぬ!そして死を恐れることもないのだ!!!」


 邪魔なのになー。シロが本気で戦ったらお姉ちゃん巻き込みそう。


「わかったよー。でも死にそうな時は逃げてねー?」


「ふん。恐らくハープルムの者だろうが、帝国の勇者の力を見せてやる!!グランミラージュ!!」


 わぁ!お姉ちゃんが8人になったー!!


「分身ー?」


「幻影ではない。ゆくぞ、金髪!!」


「金髪?シロだよ-?」


 お姉ちゃん達が先に走りだしたから後を追っかけていく。お姉ちゃん達は思っていたよりも強いみたい。


 3人のお姉ちゃんが足に剣技で斬りかかる。残りのお姉ちゃん達は離れたところから魔法を放ってた。


 だけど沢山切っても、ゴースの足はほんの少し血が出てるだけ。お姉ちゃん力が弱いなぁ。


 そろそろシロも神力使って本気で戦いたいのになぁ。

 あっ!お姉ちゃん1人潰れた!!


「あのお姉ちゃん大丈夫-?」


「本体は私だ。他は幾らやられても問題ない。魔力の消費は激しいがな。」 

 

 いいなぁ。シロも忍者だから分身したいなー。今度ご主人様に相談してみよー。





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