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8-13 シロの胃は宇宙だ



「多すぎじゃね?」


「はい。とても多いです。」


「金色のやつだー。たくさんだねー!」


 革の巾着の中には硬貨がパンパンになるまで詰められていた。数えてみると金貨が30枚。銀貨が50枚あった。


 ポケットマネーって言ってたよね。日本円にして約350万位。ポケットマネーで350万とかムーアさん太っ腹過ぎるだろ。


 後でお金用意して返しにいこう。


「これだけあれば色々買っても余裕だな。飯も出来るだけ多くインベントリに入れておきたいし、あとシロの生活用品も用意しないとね。ルカも好きな物があったら遠慮しないで沢山買って。久しぶりの買い物だから楽しもうよ!」


「はい。ありがとうございます。」


 あぁ、ルカが微笑んだだけで景色が置いてけぼりにされる。キラキラと輝く優しい笑顔はこの世のものとは思えない程に美しい。さすがはルカシスだ。


「よし、シロも沢山頑張ってたから好きな物好きなだけ買っていいぞ!金が無くなったら何か売って金にすればいいから遠慮するなよ!」


「やたー!!!ありがと、ご主人様ー!!」


 俺はシロを甘やかす事に決めた。二人とも旅の間文句一つ言わずに頑張ってたからな。


 だがこの時の俺はまだ知らなかった。


 シロの本気の食欲というものを。



「ムーバルの街も広くて綺麗だったけど、王都は比べ物にならないな。」


「昔の王都はそれほど大きく無かったらしいです。一度魔物によって崩壊させられて復興する際に様々な所から集まった人達がそのまま住むことにした為、今の王都は此程まで大きくなったそうです。」


「なるほどね。」


 さすがにコンクリは無いので、石造りの建物が主流のようだがムーバルに比べて大きくオシャレな造りになっている。煉瓦みたいに綺麗に加工して詰んである建物もあるし。


 今は朝早いので広いメインストリートも人は疎らだが、もう少ししたら幅の広いバージョンの竹下通りみたいにごった返すのだろうか。


「あー!匂いするよー!良い匂い-!!!」


 シロが背中にピョンと飛び乗って騒ぎ出した。最初は俺のことかと思ったが、何かを焼いているような良い匂いがしてきた。


 匂いを辿ってメインストリートから外れて脇道に入っていく。すると窓越しの恋人食堂という看板を見つけた。


 どんなセンスだよ。最後の食堂が無かったら何の店かも分からないぞ。


「ご主人様!!やってるってー!!!」


 シロは扉を開けて営業してるか確認し、俺の手を引いて斬新な食堂へと入っていく。


「いらっしゃーい!!!三人ね?」


 食堂に入ると感じの良いショートカットのお姉さんが出て来た。

 顔は可も無く不可も無くってところだ。ソバカスがチャームポイントだな。


「はい、三人です。こんな朝早くからやってるんですね。」


「冒険者達が丸一日動いて朝方開門と同時に帰ってくることもあるし、遠出する人なんかも朝早いからね!うちはそーゆー頑張り屋さんを応援してるのよ!」


 お姉さんが朝から元気いっぱいに説明してくれた通り、テーブルにはチラホラと冒険者っぽい人達がいた。


「あなた達は見ない顔だけど……まだ若いから駆け出しの子?」


「冒険者では無いですけど、似たようなもんですね。」


「じゃあ、沢山食べて精を付けなきゃね!あそこのテーブルに座って!」


 案内されたテーブルに座りメニューを見ていると、水が運ばれてきた。


「決まったかしら?」


「じゃあ俺は朝定食って奴で。ルカは?」


「では私も同じ物をお願いします。」


「シロも同じやつ-!」


 好きなだけ食べて良いと言ったのに……遠慮してるのかな。


「シロ、もっと頼んでもいいんだぞ?」


「うん!じゃあプーの丸焼き4つと、肉野菜定食と、プーのモツ煮込み2つと、カーマンの刺身6つ!あと彩り三色丼2つとカーナッツパンバーグ!ナルナルのソテー7つとパインパインの窯焼き2つ!ロロペニの実のジュース5つとミンヤルスープ!!あっ!あとロカローラ!!マルピスとマッチャンも!ブルドルチャーミの火山定食も4つ!」


「は?」


「まだ食べていーのー?」


「あー、とりあえずお店に迷惑かかりそうだからストップしようか。」


「はーい!じゃあ、以上~!!ごはん、ごはん、ごはーっん!!」


「え?は?冗談よね?」


「いや、お願いします。すみません。材料的に他の人の分が無くなるのなら断ってもらっていいんですけど。」


「食材なら問題ないんだけど……まぁ……うーん、今はお客さんも少ないからいいわよ!じゃあ急いで作って貰ってくるわ!」


 お姉さんは何か言いたそうにしていたが、何かを決心したかのように走り去った。


 さっき食べまくってたのに、何でそんなに食えるんだ?まぁシロが喜んでくれてるしまだまだ金ならあるからいいんだけど。


「はい!先にマルピスとマッチャンね!」


 お姉さんは厨房も手伝って大忙しだ。申し訳ない。


「ご主人様ありがと-!!マッチャンうまいよー?」


「あぁ、よかったな。」


 お姉さんがどんどん持ってきてはシロがペロリと平らげていく。結局俺達が食べ終わるより早く全て食べ終えていた。


 それを見たお姉さんの顔は驚愕に包まれていた。


 大衆朝食にもかかわらず、朝から銀貨二枚が消えてしまった。


「美味しかった-!!」


「そうですね。早朝でも食べやすい定食でしたね。」


「ふぅ。確かにそうだったね。また食いに来よう。」


 朝食を食べ終わりメインストリートへと戻っていくと、先程よりも大分人が出て来て、屋台なども店を出し始めていた。


「ご主人様-!!夢潮ミニオバネだってー!!食べてみたいなー!!」


「え、まだ食うの?」


「だめー?」


「いやっ、構わないけどさー。良く食えるなー。」


「じゃあ8こー!!!おっちゃんよろしくー!!」


 夢潮ミニオバネ……どんな食い物だ?


「おー!陸に囲まれてる王都なのに海鮮なんだな!」


 おっちゃんが焼きだしたのは海鮮の串焼きだった。


「似たようなもん出してたら、すぐに潰れちまうからなぁ!仕入れは手間がかかるが人気は上々だ!はい、おまち!!」


 それにしてもデカイ……異世界の串焼きすげぇな。


 出て来たのは50センチ程の串に巨大なエビやタコの足のようなものなどが刺せるだけ刺して焼き上げたものだった。


 なんか美味しそうだな。


「シロ、一口もらってもいい?」


「いいよー!じゃあ一本あげるからルカちゃんにもあげてねー!!」


 珍しくシロがナイスパスをしてきた!!よく言った!


「私はお腹いっぱいですのでハルト様どうぞ。」


 と思ったらスルーパスだった。


 そんなこんなで食べてみたら美味しかったので、ルカにも食べさせたかったのもあり、追加で10本頼みインベントリへと入れておいた。



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