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8-12 アイナが紹介するとこうなる



 全員無事だった喜びを皆で分かち合ってると、ムーアが口を開いた。


「アイナ、私も忙しい身の故そろそろよいか?」


「あぁ!すいません!じゃあ…とりあえず皆を紹介しますね!こちらがハルトさん!ちょっとだけ天然で最強で私の命の恩人です!あと甘っちょろいです!」


「どうも。ハルト・キリュウです。」


 天然とは失礼な。しかも泣かされといて甘っちょろいはないだろ。


「そしてこの可愛いボインちゃんがルカです!名前は知ってますよね?」


「氷龍姫の二つ名を持つ強き娘だな。名はよく耳にしている。それにアイナと居るところを見たことがあるな。」


「初めまして。ルカシリア・クラウドバルと申します。」


 アイナ…確かに可愛いボインだが後で叱られるぞ。


「ルカもお堅いですなぁ。で、この可愛い生き物がシロちゃんです!チームハルトのムードメーカーでありアイドルでありマスコットです!」


「ムーアも可愛いと思う-!ムーア優しい-!」


 チームハルトなんてダサい名前にした記憶は無いが。


「シロ殿とはアイナを待っている間に話をさせて貰った。曇り無き眼はシロ殿が悪しき者でない事を証明していた。最早敵なのではと疑う余地も無かったな。」


「確かに曇りは無いですね。むしろ常に快晴ですから!」


「そうだな。所で三人はアイナのパーティーに入るのか?ハープルム王国を守ってくれた強者三人なら勇者のパーティーの一員になる許可を直ちに打診するが。」


「ムーア様。ハルト様が勇者如きの下につくなど有り得ないことです。」


「ほほぅ。ハルト・キリュウ殿は氷龍姫殿にそこまで言わせるか。」


「ムーアさんや。悔しいけど確かにハルトさんが私の下に付くなんて想像も出来ないことですよ。」


「ご主人様は最強だからねー!」


「……そういえばハルト殿。先程から気になっているのだが、ご主人様というのはどういう事だ?ハープルム王国では奴隷は禁止されている。それが例え王国を救った英雄でもだ。まさか氷龍姫殿やシロ殿を奴隷紋によって縛っているのでは無いだろうな。返答によっては私はハルト殿を捕縛することになるが。」


 ムーアがそう言うと、ルカが一歩前へ出た。やべっ。


「ルカ、大丈夫だよ。ムーアさん、安心して下さい。ルカもシロも奴隷ではありませんし、対等な立場の大切な仲間です。因みにアホなアイナも同様です。」


「ムーアさん。ハルトさんはこう見えて正義の味方ですし、真摯な人なんですよ?私だって返しきれない恩が沢山あります。皆ハルトさんを尊敬してるから、敬称としてそうなってるだけです。」


「そうか。確かにハルト殿も嘘はついていないようだ。在らぬ疑いをかけて済まなかったな。勇者に最強と言わせる男を知りたくなったのだ。戯れだ、赦せ。」


「いえいえ。気にしてませんよ。」


 ちょっとイラッとしたけどな。


「私は王国騎士団の騎士団長をしているメリル・ムーアだ。」


 そういって握手をしようと手を差しのばしてきた。だが、俺の前で手は別の手に握られていた。


 小さくて白い可愛い花のような手。これはシロだ。シロ、何故遮るように俺の前に来たんだ?


「ムーア?ご主人様に触っちゃめだよー?ルカちゃん怒るよー?」


 あっ。なるほどね。

 さっきの件でルカがムーアを良く思っていない可能性もあるからな。


「ほほぅ。それは済まなかった。気が利かぬもんでな。氷龍姫殿も済まないな。先程の事も悪気があったわけではないのだ。王国を守る者として必要以上の事も気にせねばならんこともあるのだ。」


「ハルト様が気にしていないと仰いましたので、私は気にしていません。しかし、以後言葉にはお気を付け下さい。王国だろうと魔族だろうとハルト様の敵は私が排除します。」


 ルカさん、脅しだろそれ。


「ハッハッハ。面白いパーティーだな。今回の魔族共の件については国王に私から伝えさせてもらおう。被害も出さず王国を守り抜いたのだ。それ相応の礼を尽くさねばならん。その為にも国王との謁見も必要であろう。それまでは王都に滞在出来るか?」


「うーん、面倒くさいからいいです。アイナ、お前ここに残るんだろ?」


「まぁ、そうですね。」


「じゃあアイナが謁見とやらに行ってこいよ。」


「私ですか?ていうか、私王国にいれば王城に滞在する事になるんで、しょっちゅう国王と顔合わせるから謁見って感じでも無いですけど。……まぁハルトさんが嫌なら説明はしときますよ。」


「あぁ、頼んだ。ということでムーアさん、謁見担当はアイナが受け持ったんでアイナを散々チヤホヤしてやって下さい。」


「むぅ。しかし王国を救った者達をもてなさずに皆が納得するかだ。シロ殿の活躍を見ていた者も多いようだしな。」


「まぁそん時はそん時で。じゃあ、俺達は街で旅の準備をしたいんでそろそろ行きます。アイナ、またな。」


「折角なんで王都を案内しますよ!」


「いやっ、それはやめとくよ。王都でアイナといると騒がしそうだし、ゆっくり観光したいからね。ルカも王都を知ってるだろうし。」


「そうですかぁ。……わかりました。」


「アイナ元気出して?きっとまたいつか会えるよ-?たぶんーねー?」


「そうですよアイナ。笑顔で別れましょう。元気で。またいつの日か会う日までさようなら。」


「アイナ……今までありがとうな。きっとまた逢える。多分。おそらく。メイビー。」


「さよならが早いし重いけど何故か軽い!!それにまだハルトさんに剣直して貰えてないし!!」


 アイナをからかい終えて兵舎を後にする。アイナとは晩御飯を一緒に食べる約束をした。


 兵舎を出て王都の門の前まで戻ってきた。ここから真っ直ぐに王城へと向けてメインストリートが続いているらしい。


 王都は外敵からの攻撃や侵入を防ぐために外周を高い塀で覆われているので、周囲の景色は見えない。

 まぁどのみち建物だらけで塀も見えないから関係ないけど。


「ご主人様~。お腹空いたよー。シロ頑張りすぎたから魔力無いの。沢山食べて魔力復活させなければならないのー。」


「あれ?さっき兵舎の食堂で空の皿が積み上がってた気がしたんだけどな。」


「でも小腹がすくのー。」


「小腹ねぇ。わかったよ。でもまだ朝早いから店なんてやってるか分からないぞ?やってたらでいいな?」


「うんー。お店屋さんお願いします。シロのご飯やっててー。」


 シロがブツブツ言ってる。可愛いな。

 とりあえずいつ緊急事態が起こるか分からないので、軽くシロとルカに魔力を譲渡しておいた。


「あっ!いけね、そういえば金が無いんだ!シロ、先にお金を用意しないと駄目だ!となると……冒険者ギルドに行けば良いのかな。」


「お金でしたら先程ムーアさんから頂きました。いきなりいなくなられてお礼が出来ないのは困るから、少しだけだが渡しておくって言ってました。」


 あぁ、それでアイナがポケットマネー!?とか騒いでたのか。


「これです。」


 するとルカはパンパンになった巾着のような革の小袋を渡してきた。

 これ、ポケットマネーなの?




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