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8-10 サヨナ・ラ・カモ(ボツ)



 ハルト流剣術即興剣技……大蒜(にんにく)斬り。


 説明しよう。ハルト流剣術即興剣技とは俺が思いつきで適当に出す剣技の事なのだ。


 そして大蒜斬りとは、薄っぺらい俺の想像力を絞りに絞った結果、ヴァンパイアっていったらニンニクだよね。という浅はかな答えを導き出したことにより生まれた極技なのである。


 ニンニク属性というこの世界唯一のカテゴリーになるであろうマジック・クリエイトだけが作り出せる凄い技なのだ。

 そして大蒜がつく技や武器はニンニク属性に属する為、大蒜剣や大蒜斬りはニンニクの香りがプンプンする魔力が纏われ、斬られればニンニクの香りが長い間持続するという恐ろしい技なのだ。


 更に大蒜剣から放たれる大蒜斬りはニンニクの香りが倍増なのである。


 ここまでの説明ではまるでふざけているようにも思える技だが、完全にただの悪ふざけなのだ。


「なに?!……何だその剣技は!!我が黒蓮の剣が斬られるなどありえん!!」


 俺が横凪に振るった大蒜剣はクェンティンの五つに分かれた黒蓮の剣の剣先を切り飛ばした。

 そして、クェンティンの頬には傷が生まれ血が滲んでいた。


「血……だと?その臭い剣はどんな仕掛けがあるのだ!答えよ!!」


 クェンティン。お前は正しいよ。

 ただのニンニクの香りがする剣技に自慢の愛剣が切り飛ばされたのだ。有り得ねぇぜ!って気持ちも分かる。


 だが実際は違うのだよ。


 ニンニクの香りに気を引かれて気付かないかもしれないが、ニンニクはあくまでも味付け(スパイス)だ。


 本命は神力をたっぷり注ぎ込んで創り上げた神の剣なのだよ!


「斬るぞって言ったろ?俺にはお前を斬る力がある。それだけのことだ。」


「うむ。確かに言っていたな。良い。良いぞハルト・キリュウ!!我が剣を受けただけで無く斬り捨てるなど想像さえもしていなかった!我は今最高に喜びを感じているぞ!過去最強の相手に体が嬉しさの余り震え上がっている!!」


 でたー戦闘狂-。喜んでないで屈伏してよ。


「我が宿敵よ。貴様より強者を我は見たことが無い。魔王が現れようと貴様を討ち取る事など出来ぬであろう。我は貴様を……ハルト・キリュウを倒し、世界唯一の最強となるのだ!我が野望は今まさに叶うのだ!!」


「何でも良いけど、次のターンは上手くいけばサヨナラになるから覚悟しろよ。反省して改心するなら今だぞ。ほら、許して下さいって言いなさい。」


「何をふざけたことを!「……マジック・クリエイト。」これ程の喜びを……昂ぶりを捨て去るというなら自ら死を選ぶに決まっているであろう!!!我も最大の剣技を見せてやろう。……黒蓮は「てぇーい!!」さ!?」


 長々とこいつと駄弁ってるつもりもないし、態々(わざわざ)最大の剣技という危険なものを受けて立つつもりも無いので、というかさっきの神力たっぷりの大蒜斬りで疲れてきたので待つこと無く攻撃させて貰った。


 俺が放ったのは、纏っていた雷の鎧の魔力を全て波動砲のように発射させる大量の魔力を要するかなりの破壊力がある筈のもの。


 そして神力も加え、更にクェンティンが黒い粒子になってダメージ無効にするのを無効にさせるイメージも重ねた。


 これは間違いなく……疲れるぜ。


 名付けて……サヨ・ナ・ラカモだな。または三重チート砲かな。


 サヨ・ナ・ラカモはオシャレぶってる感じがするか。やっぱり俺みたいな凡人体質には三重チート砲だな。その方がしっくりくる。

 でももっといい名前があるかもしれないから、今は三重チート砲(仮)にしておこう。


 三つのイメージが完成し、魔力が動き出す。そしてクェンティンの剣技よりも俺の魔法の方が先に発動した。


 クェンティンは俺のチートな異常魔力を感じてか剣技の発動を直ぐに取りやめ、黒い粒子へと変わり始めた。


 攻撃を受ければ自動で黒い粒子となり、ダメージ無効に出来る能力を持っている筈のクェンティンだったが、今回はダメージ無効の為というより、回避を目的とした粒子化に見えた。

  

 その時は刹那。


 瞬時にブワッと全身を粒子化させたクェンティンだったが、回避を始める前に俺の三重チート砲(仮)が光束でぶち当たる。


 未だ僅かに人型を残す黒い粒子を眩い光が呑み込んだ瞬間、触れた先から粒子がクェンティンの姿へと戻っていき、また戻った先から焼き尽くされていくのが見えた。


 グロい。こういう時は人外な身体能力(視力)いらないのに。


 三重チート砲(仮)の輝きが消えるとそこにクェンティンの姿は無かった。文字通り跡形も無く消えてしまったのだろう。


 実はまだ生きてて突然背後にいるパターンを想像して振り返るがそんなことは無く、本当に跡形も無く消えてしまったようだった。


 残る可能性はギリギリ生きててパワーアップして再び現れるパターンだが、今は確かめようが無いので考えるのは止めとこう。


 まるで俺がび、ビビってるみたいだからな!三重チート砲(仮)の威力の方には本気でビビってるけど。

 太くて硬くて早過ぎる!あんなの転移が無きゃ避けられないし防げる奴なんているのかな。

 

「しかし、神力とマジック・クリエイト無かったらヤバい敵だったな。あんだけ無敵能力あればクェンティンが偉そうにしてるのも納得だな。つーか、ガンガン魔力使って相手の強みを潰してけば俺ってかなり強いな。連戦したくないくらい疲れるけど。」


 何となく自信がついた気がして自画自賛していると、ルカが近付いてきている気配がした。


「ハルト様、お待たせしました。先程の魔族はいないようですが……先程の強力な魔法で倒されたのですか?」


「かなり強敵だったけど倒せたよ。ルカも無事でよかった。それにしても早かったね。怪我はしてない?」


「はい。ありがとうございます。ハルト様もお怪我はありませんか?」


「うん、身も心も無傷。」


「よかったです。」


 ルカはそう言うと優しく微笑む。可愛すぎるやろ。


「そういえば、王都から随分離れて戦ってたのですね。」


「強そうだったから、余波で王都に迷惑かけたくなかったからね。」


 移動が追いかけっこに発展してヒートアップしたからなんて恥ずかしくて言えない。

 

 あと大蒜斬りも臭いから見せたくない。


 

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