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7-17 嵐山



「よし、着陸も問題ないな。つーかこの飛空艇操縦簡単すぎだろ。」


「そういえば私操縦させて貰ってませんでした!」


「別にいいけど、王都へ真っ直ぐ飛ぶだけだから楽しいもんじゃないし、アイナが蛇行運転とか宙返りとかしたら多分ルカに怒られるぞ。」


「ぐっ…確かに。ロマン……私のロマン。」


 シロは俺の創った水着へと着替える為に離れていった。すると今度はアイナが落ち込む。


 ほんと慌ただしいパーティーだな。


「アイナ、良いもの創ってやるから魔石取ってきてくれ。」


「いいもの……それなんですか?!」


「それは持ってきてからのお楽しみだ。良いから早く取ってこい。」


「でも私水着無いですね。私のも作ってくれます?あっ…もしかして私の水着姿が見たくてそんなこと言ってるんじゃないですかぁ?えっち!……ていうかそもそも水着あっても泳げないですけどね。」


 見たくないと言えば嘘になる。美人なんだもの。


「いいからダンジョンで使った結界で包んでやるから黙って行ってこい。」


「あー!!あれなら行けますね!」


 魔法をかけてやると、金槌アイナはすぐに水に飛び込んでいった。


「あれー?アイナ先に泳ぎ行った-?」


「いや、頼み事をしたんだ。すぐに戻ると思うよ。」


 シロが湖に入りバタ足で水柱を何本も作っていると、アイナは戻ってきた。


「お待たせしましたぁ!これでどうです?」


「おぉ。よくこの短時間でこんなに集めたな。」


「短距離転移のおかげです!」


「これだけあれば余裕だ。ちょっと待ってて。マジック・クリエイト。」


 飛空艇を創る要領でどんどん魔力を練っていく。すると魔力が流れ出して、俺のイメージ通りの物が完成した。


「こ、これはまさか!」


「ジェットスキーだな。」


「乗っても良いんですか?!」


「アイナの為に創ったんだから当たり前だろ。」


「キャッホーッ!!!!ハルトさんだいすきー!!!!」


 俺の事が大好きと叫びながらアイナはジェットスキーを抱きしめていた。

 そこは俺だろ。


 アイナはすぐに湖に浮かべてジェットスキーに乗り込む。


「操縦はハンドルに魔力を流すだけだからなー!余り遠くに行くなよー!!!」


「あいあいさー!!!きゃほーい!!」


 アイナは最初からフルスロットルでぶっ飛んでいった。


「ご主人様-、アイナのシロも乗りたいなー。」


「アイナが余分に魔石持ってきてくれたからすぐに創るよ。」


 二機目製作に取りかかると、一度創ったものだからか先程より短時間で創れた。


「ほい。アイナに負けるなよー。」


「あいあい!!!任してご主人様-!ありがとー!!!」


 シロはアイナを追い掛けてちゅりゃーと叫びながらすぐに発進していった。


「ふふっ、二人とも嬉しそう。ハルト様は本当にお優しいですね。飲み物を用意しますが、コーヒーで宜しいですか?」


「ありがとう。じゃあ、コーヒーで。」


 ルカは本当にルカシスだ。ルカが温泉なら効能は癒しだな。


 そんなことを考えていると、ルカはコーヒーをすぐに持って戻ってきた。


「ありがとう、ルカ。」


「はい。」


「そういえばルカは湖に行かないの?ジェットスキー用意しようか?」


「私は……ハルト様の傍に居たいので。」


 ズキューン!!


 油断していた。まさかこのタイミングで撃ち抜かれるとは。


 ゴルフ13も真っ青な狙撃の腕前だ。やるなスナイパールカめ。


「そ、そっか。俺も久しぶりに二人っきりで居たいから丁度良かったよ。」


「はい。」


 ルカは寄り添うように俺の隣に座ってきた。ヤバい……心臓の鼓動がハッキリと聞こえる。


「その……ルカ。」


「……はい。」


 俺は手を取り、ルカの吸い込まれそうな程に綺麗な瞳を見詰める。


「ご主人様-!動いてるよー!」


 あと少しでルカと久々の口吻を交わせるところだったのに、シロが大きな声で何かを叫んできた。


「動いてる?なんだそりゃ。うわっ…!」


 何を言ってるんだか理解出来ずにいると、突如飛空艇が大きく揺れ出した。


「ハルト様、魔物でしょうか?」


「油断してたな。これ島じゃなくて魔物だったか。」


 すると湖から魔物が顔を出した。


「亀?ネッシー?カメッシー?」


 まらで亀の甲羅のように島を背負い、長く伸びている顔は亀というより首長竜だ。


 随分とデカい魔物だな。


「アラシヤマだな。Sランクみたいだぞ。」


「アラシヤマですか。聞いたことはありますが初めて目にしました。」


 お相撲さんみたいな名前だな。


「おっきいねー!水竜みたいなのに目が可愛いよー?」


 アラシヤマが動いたせいで水面は大きく波打っているが、シロはジェットスキーを自在に操って逆に楽しそうにしている。


 するとアイナが慌てた様子で戻ってきた。


「皆-!大丈夫ですかー?ってデカ!近くだとデカ!」


「アイナ、魔法の効果切れてるから甲板に上がった方がいいんじゃないか?Sランクみたいだし。」


「Sランク?!なんかハルトさんといると高ランクの魔物に遭遇し過ぎな気がするんですけど!!」


 確かにこんなにほいほいAランクやSランクに襲われていたら、普通の冒険者では命が幾つあっても足りないよな。


 

「アラシヤマって名前みたいだけど、知ってるか?」


「アラシヤマ?!炎獅子ラジャルや猿王モルパティアとかと並ぶ四獣の一匹ですよ!!希少すぎてアラシヤマ一匹討伐するだけで一生かけても使い切れない莫大なお金が手に入ります!!ハルトさんならインベントリありますしラッキーですね!!」


「別に勇者なら金に困る事なんて一生ないだろ。それにまだ子供みたいだから討伐なんてしないぞ。」


「これで子供ですか?!んー、そう言われると確かに無理ですね。お金より愛が大事です!愛な?のアイナですから!」


「漢字だと関係ないけどな。ところでこいつかなり大人しいな。攻撃してくる素振りさえないぞ。」


「そうですね。魔物とは思えない静さですね。」


「シロはアラシヤマ気に入ったなー。目が可愛い-!飼いたいなー!」


 確かに目はつぶらで可愛いな。

 大人しい理由でも何かあるのだろうか。



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