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7-16 独り眠れぬ夜




「その……どうでしょうか……。」


「こ、これはッ…………!!!!!」


 脳内では警鐘がガンガン鳴っている。いや、これは煩悩を打ち消す為の鐘の音だ!!!


 108打とうと意味が無い。数の問題ではない。それ程までに強烈な可愛さのルカが立っている。


 いつも凛々しいだけにフワフワモコモコパジャマの可愛いルカはギャップが激しすぎる。


「ルカちゃん可愛い-!!!たーまーらーんー!!!」


「そうだな。激しく果てしなく紛れもないな。」


「ぐふっ。は、ハルトさん……。意味が…分からないです。落ち着いて……。」


 アイナが苦しみながらもツッコんできた。


「ハルト様、大丈夫ですか?ヒーヒーフーです。」


 俺がパニック状態に陥っていることに気付いたルカは俺の元へと歩み寄り手を取るとヒーヒーフーと言い出した。


 可愛すぎる……。


「ぶふっ。ぐっ……。ぷすす。」


 アイナは痛みに堪えながらも噴き出している。アイナ、ナイスだ。


 結局その夜、そんな姿を見てしまったら寝れるわけもなく悶々としながらベッドで長い一夜を明かした。


 結局アイナにもパジャマを創ってあげたのだが、それもまた可愛すぎて悶々とした要因となったのは秘密だ。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 王都へ向けて飛び立ってから四日目の朝を迎えた。


 三日目は特に何もなく穏やかに過ぎていった。寝不足で日中寝ていたせいもある。


 ダンジョンへと向かっていた時の道中は急いでいたので寄り道をしながらでも4日間程で到着したが、王都への旅路は特に急ぎでも無いので5日を予定している。


 魔力を惜しみなく使えばもっと早く到着するのだろうが、アイナとの別れも早まるだけだし、それはシロが悲しむのでやめた。


 流石に三日目となると氷の極地を抜け出し、飛空艇から見下ろす山々の景色は緑色に変わり始めていた。


「大分気候も落ち着いてきたな。」


「そうですね。辺り一面氷の景色も私は好きですが、緑が美しく広がるこの景色も好きです。」


「ハルルシアならどこでも寒くないし暑くないー!シロはハルルシア好きだなー。ハルルシアの食堂の景色たまらないなー。」


 シロはご飯タイムが最高の瞬間なんだな。


「私は…甲板がトラウマになりそうですけどね。」


 アイナは激化する訓練のせいで甲板を恐れているようだ。それぞれ色々と違いがあるもんだ。


 勉強になるぜ。


「雲が鬱陶しいからもう少し高度下げてみるか。」


「やたー!!!!」


 シロが反応するかと思ったら、アイナが先に反応して見せた。予想外はつきものだ。


 勉強になるな。


 目立ちたくない気持ちから雲の上を飛んできたわけだが、途中から少し高度を下げていた。


 シロやアイナが見たいと騒いでいたのもあるが、食後の休憩でルカがいつも甲板から景色を眺めていたからだ。


 ルカの黄昏てるかのようなその後ろ姿を見てしまったら、目立とうが何だろうが関係ない。

 騒がれようが狙われようが…上等だぜ!!!


「ご主人様-、とりー!」


「とり?」


 高度を下げるとすぐにシロが声をあげる。シロの指さす方を見ると前方には確かに鳥がいた。


 魔物が現れる高度まで下がってきたってことか。


 真っ直ぐこっちに向かってくる鳥は、最初こそ小さなものだったが近付くにつれ巨体であることが判明した。


「あれはガルディアですね。人里への出現率が高いので被害が多くAランクとされてますけど、デカいだけの鳥なんでハルトさんの敵では無いですね!というかルカとシロちゃんの敵になれる魔物いるのかな?って感じですけど。」


「どうする?一応ハルルシアにも攻撃手段は搭載してあるから撃ち落とせるだろうけど。アイナ、修行の成果を試してみるか?」


「よっしゃー!!女勇者改がやりましょう!!」


 アイナはノリノリで甲板へと下りていった。俺達も念の為甲板へと向かう。


 鎧姿の元気娘か……昨日のパジャマ姿で可愛い寝顔のアイナとは全くの別人だな。


 騒がしくなかったらルカにも匹敵するんだが…。それはそれで困るけど。


 俺達が甲板へとたどり着く頃には、鞘に収めたままの剣の柄を握り締め集中するアイナの姿があった。


 ガルディアはもう数秒後には接触出来る距離まできている。


 そして俺が魔力を感知するとアイナが眼を開けた。


「ハァッ!!」


 てっきり剣技を飛ばすのかと思っていたが、アイナは短距離転移でガルディアの背中に乗っていた。


 そして直ぐさま抜刀すると巨大なガルディアの片翼が切り離され、ガルディアは墜落していった。


 あれ?アイナも墜ちるんじゃね?と思ったら短距離転移で戻ってきた。


 すぐ忘れてしまう自分が恥ずかしい。


「たっだいまぁ~!!」


「アイナ、お疲れ様でした。」


「アイナ-!!格好良かったよー!!!」


「かなり強くなったもんだな。ランスロも真っ青の一撃だ。」


 空を飛ぶAランクの魔物との空中戦で一撃勝利するんだから、実際かなりの強さなのだろう。


 これなら離れ離れになっても、少しは安心出来そうだ。寂しさはあるけど。


 鳥を倒した後もひたすら進んでいくが、見渡す限り山だらけなので人里も無いと判断して更に降下することにした。


「シロちゃん!みてみて!!あそこに湖があるよー!!」


「ほんとだー!!おっきいねー!!」


 アイナが指差す方を見ると、山の中腹にまぁまぁ広そうな湖があった。


「何だか久しぶりにこういう景色見たな。」


「そうですね。」


「ご主人様-、入りたいなぁ。降りちゃダメ-?」


 シロのうるうるおねだりが俺のハートを射抜いた。可愛すぎて断れる筈が無い。

 でも入りたいなぁってなんだ?泳ぐつもりなのか?


「俺は構わないけどアイナ次第だな。」


「私は全然構いませんよ!シロちゃんからのお願いなら断れないですし!」


「わかった。じゃあちょっと寄り道してくか。」


「わぁーい!ありがとー!!!」


 シロは嬉しそうにぴょんぴょん跳ね回る。可愛い奴だ。


 一気に降下して着陸出来そうな場所を探していると、湖の周囲は木がギリギリまで生えていて降りれそうになかった。


 魔法で吹き飛ばすかシロを降ろして抜いてきてもらう案も考えたが、木が可哀想なのでもう少し探してみることにした。


 すると、湖に小さめだが陸地が見えた。向かってみると、木も

大して生えておらず着陸出来そうだったので、そこに着陸させることにした。

 



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