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7-12 静寂と癒しの女神への祈り



「アイナ、もう一つ気になるスキルがあるんだ。ディストルクシオンって表記されてるんだけど、知ってるか?」


「ディストルクシオン?全然分からないですね。」


 ディストルクシオン……そもそもどういう意味なんだろうか。


「あっ。またやっちまった。」


「え?何ですか突然。」


 俺の突然のやっちまった発言にアイナは恐る恐る反応してみせた。


「俺ってまだ自分の能力を活かしきれてないっていうか、すぐ忘れるんだよね。」


「まぁ……ルカもハルトさんはこっちに来て日が浅いから仕方ないって言ってはいましたからね。ところで何を忘れてたんですか?」


「いや-、鑑定でスキルの説明が見れるの忘れてたんだよねー。」


「冗談ですよね?あはは……ハルトさんって天然なんですね。知ってましたけど。」


 そう言われても仕方が無いので何も言えない。でもちょっとムカつくな。


「すまんな。じゃあ早速お邪魔しまーす。」


「いちいちそれ言うの止めて下さいよ!!なんか恥ずかしいじゃないですか!!」


 恥じらうアイナはとても可愛く見えた。


 ルカもアイナも美人だが、ふとした時に可愛い表情するんだよなぁ。

 美人あるあるなのかな。


 雑念を払い、ディストルクシオンを鑑定してみると魔力に破壊特性を持たせる事が出来ると表記された。


 破壊特性?


「なんか魔力に破壊特性を持たせられるらしいぞ。」


「破壊特性?何でしょうね。何でも破壊してくれるスキルですかね。」


 その反応……同感だぜ。


「それじゃ最強になるな。字的にはこれが結界を破壊したスキルなんだろうな。」


「でもさっきの結界は壊せませんでしたけど。」


「そうなんだよなぁ。そもそもスキルってどうやって発動するんだろうな。」


「あまり考えたこと無いですね。使おうと思うと勝手に使えるような感じですからね。」


 俺のマジック・クリエイトみたいにイメージなのかなぁ。


「無間断が発動したのはどんなイメージで攻撃したんだ?」


「んー、透明だったから距離感が分からないのと、固そうなんで向こう側まで叩っ切ってやるー!と思って剣を振ってました。」


 やっぱりハッキリと確立したイメージが必要なのかな。


「じゃあもう一度シールド出すから、今度は魔力を込めた弱攻撃でシールドだけを壊すつもりでやってみてくれないか?」


「分かりました。やってみます。」


 それにしても訓練中のアイナはいつもと雰囲気がまるで違うな。


 ふわふわした印象がまるで無くなって、素直で真面目な女の子だ。

 ほんとに同一人物か?どっちのアイナもアイナらしいっちゃらしいんだけど。


 またしても生まれた雑念を払い、シールドを展開させる。


「じゃあ始めていいぞー。」


「はい!」


 アイナは魔力を練り、鞘から抜刀するとそのまま斜め上に切り上げた。


 するとシールドがスパッと分断された後に、ガラス窓が割れたときの様に砕け散った。


「や、やりましたよ!!ハルトさん見ました!?」


 見てるに決まってるだろ。


「あぁ!やったな!おめでとう!!」


「ハルトさんのお陰ですよ!ハルトさん万歳!!!」


「無間断もディストルクシオンも引くぐらいのスキルだな!後は射程距離とか特性を理解して、実戦で問題無く使える様に鍛えような!!」


「はい!!師匠!!!」


 勇者に師匠とか呼ばれると、何となく元賢者の老人になったような気分だ。


 まぁ、アイナの喜んだ顔が見れたから何でも良いか。


「アイナ、ちょっと質問。」


「どうぞハルト師匠!!」


「師匠はもういいよ。アイナの装備は勇者専用の装備なんだよな?ってことはいずれ返却するのか?」


「装備ですか?そうですね、私が勇者を引退して次の勇者に引き継いだ時に返却するようですね。」


「そっか。因みにアイナの私物は何か装備してないのか?」


「一式借り物ですね。」


「その鎧の下は?」


「セクハラですよそれ。」


 ぐっ。そんなやましい考えがあったわけではないのだが。だが真っ赤な顔にさせてしまったのだから言い逃れは出来ない。


「まぁハルトさん天然ですから許してあげましょう。鎧の下は下着しか着けてないです。何でですか?あっ、このネックレスなら私物といえば私物ですけど。」


「見せてもらえるか?」


「ええ。構いませんよ。」


 アイナからネックレスを受け取り、鑑定をかけてみる。するとレベルがSランクだった。貴重なものなのだろうか。


 表記されたのはシス・ルーンのネックレス。静寂と癒しの女神シス・ルーンの力が宿るネックレスのようだ。


「これ女神の力を持ってるみたいだぞ。どうやってゲットしたんだ?」


「これは冒険者時代に貰いました。クエストの合間を見て教会の孤児院で勉強を兼ねてお手伝いをしてたんです。そしたら、ある日神父さんが私宛の小包みと手紙が置いてあったと渡されまして。」


「そしたら中身がネックレスだったわけか。」


 クエストをこなしながら孤児院の手伝いするなんて努力家で心優しいアイナらしいな。

 

 普段はおちゃらけてるくせに。


「はい。手紙には私の事を応援してるよー的な内容と、シス・ルーンのネックレスが私を守り導くと言った内容でした。ストーカーですかね。」


「アホか。どう考えても静寂と癒しの女神とやらがくれたもんだろ。」


「冗談に決まってるじゃないですか!でもその時Dランクですよ?そんなものが私に届くなんておかしいと思って、最初はほんとに不安になりましたよ。でもこれまで沢山守られてきました。回復や防御の時に祈りを捧げてから魔法を使うと魔力がとても滑らかに流れて上手く出来るんです。」


「なるほどね。そういう効果があるんだな。でも鑑定したら祈らなくても補助系や回復魔法にプラス補正かかってるみたいだけどな。」


「え?ほんとですか?」


「うん。ほんと。」


「は、恥ずかしいですね…。」


「うん。そうだな。天然だな。」


「グルルルルッ………!!」


 アイナの言葉を肯定してあげただけなのに威嚇された。


 酷い奴だな。


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