7-4 個人部屋の必要性
「先程の大広間の照明もこだわりを感じましたが、この階段の照明もオシャレですね。」
「ほんとだー!!!おされー!」
気を遣ってくれてるのかな?とも感じてしまうが、一々反応してくれるのは嬉しいもんだな。
「さぁ、本命の二階だ!二階はプライベートスペースになってるから俺達以外の者は基本的に入れない予定だ。緊急時のリスキアとかは除いてな。」
「なんか緊張してきましたよ!ワクワクですっ!」
アイナ君、良い反応だぞ!
「左右に扉が4つある。これは各々の個人部屋。これ以上増えたら増設するが今は4つだけだ。部屋割りは後で相談するとして、とりあえず入ってみてくれ。」
「わーい!シロ開けるー!!わぁ、広いー!!!」
「とても美しい部屋ですね。」
「…移動手段でこんな贅沢な部屋って凄いですね!!うそ!オシャレな水洗トイレもお風呂も付いてるし、ウォークインクローゼットまで!おまけにベランダまであるじゃないですか!どこのスイートですか?!って感じです!あー、一刻も早くお風呂に入りたいなぁ。」
「シロはご主人様と同じ部屋がいいー!!!」
「ほんとに素敵な部屋です。しかし私如きに個人部屋は勿体ないですね。……シロちゃんがハルト様と同じ部屋にするなら私も宜しいですか?」
「へ?」
「あっ!ルカずるい!だったら私も同じ部屋にして下さいッ!!!」
……。
「皆俺の部屋に来たら個人部屋用意した意味ないじゃん。」
「壁壊せば広くなるよー?シロは同じ部屋じゃないと眠れないのー。ご主人様お願いー!」
駄目だっ……教育だ。
ここで負けたらシロは自立できない子になってしまう。だからそんなキラキラした目で見つめないでくれ。
「お願いー!」
「私もシロちゃんの意見に賛成です。」
「私とて同じ意見ですぞー!」
くっ。シロに便乗するように二人が更に追い打ちをかけてきた。
三対一は卑怯だぞ。
「わ、分かった。でも今日は疲れたし、今は狭いしベッドも一つしか用意してないからいずれな。」
「えー、ご主人様シロ嫌いー?」
「シロちゃん、ハルト様はお疲れのようなので今日は我慢して私のベッドで一緒に寝ませんか?」
いやっ嫌いどころか大好きだぞ。
ただこんな美女や美少女と同じ部屋だと落ち着かなそうなんだよな。
はぁ、贅沢な悩みなんだろうけど。
「分かったー。ご主人様明日なら魔力あるー?お願い-。」
ぐはっ。ルカに救われたかと思ったらまだまだ食い下がってきた。
もうこれは何を言っても駄目そうだ。
「……分かったよ。明日中にはやるよ。きっとな。とりあえず今日は疲れたからお披露目会が終わったら皆自由時間にして風呂入るなり飯食うなりして体を休めよう。」
「やたーー!!!!ご主人様だいすきー!!!!」
「キャホー!!!」
シロは分かる。何故アイナまでキャホーとか言ってやがんだ。
「シロちゃん、やりましたね。」
ルカまでグルだったか!
「よし、じゃあ後は操舵室だな。」
俺の特別な部屋へとご案内しようじゃないか。
個人部屋を出て一番奥にある操舵室に向かう。
「わっ!扉がなんか重厚な感じですな!これはハルトさんの気合いが感じられる……。」
「ここもシロ開けるーー!!!」
両開きの扉を押し開ける。すると景色のいい操舵室が現れる。
「ガラス窓を大きくしてかなり開放的にしたんだ。だから最高の眺めになるはずだぞ。」
「そうですね。ここからみる空の景色がどんなものなのかドキドキしますね。楽しみです。」
「おぉ!これは海賊船についてるやつだ!面舵いっぱぁーーいですね!!かっくいーー!!!」
アイナ君!分かってるじゃないか!合格だ!
「この舵の横にあるレバーを倒すと自動操縦にも出来るぞ。魔力を沢山溜め込む必要があるから、それを創るのにインベントリの魔石をほぼ使い切った。だが魔石のおかげで風呂の水やキッチンの火も使い放題だから遠慮無く使っていいからな!」
「では早速私が魔力を溜めておきますね。」
「いや、それは俺の仕事だから気にしないで。ルカもリラックスしてて良いから空の旅を楽しんでくれ。」
「分かりました。ありがとうございます。」
「ご主人様ありがとー!さいこーの飛空挺だねー!」
「ハルトさん最強ー!!!」
そこまで感謝されると恥ずかしくなるぜ。
「みんなの準備が出来たら飛ばすから、部屋割りとか決めといてくれ。」
「部屋は1つになるんだよー?だから部屋割りいらないよー?」
ぐはっ、もう忘れてた。
「そ、そうだったな。じゃあ今日だけ寝る部屋を決めといてくれ。」
「はぁーい!!!ルカちゃん、アイナ手繋いで行こー!!」
「はい、シロちゃん。」
「じゃあ、飛空挺ハルルシアをくまなく調査しよう!!ハルトさんの怪しい財宝をベッドの下から見つけるぞ-!!」
「おー!アイナがんばれー!!」
アイナ…今どきそんなとこに財宝は隠さんだろ。
「今のうちに魔力充填しとくか。」
魔力充填率120%目指してもう少しだけ頑張るか。
魔力充填は舵に何の属性も持たせずに魔力をひたすら流すだけだ。
ガンガン流していると、ガラス窓から甲板が見える。あれ?三人が出て来た。
すると突然戦い始めた。こんな時まで訓練とは真面目な子達だな。
「おー、早いな。もういっぱいか。思ったよりも燃費がいいのかもな。まだ戻ってこなそうだからサッとシャワー浴びちゃうか。」
俺は舵から手を離し、個人部屋の風呂に向かった。
「なんか風呂久々だ。俺臭くなかったかな。」
ダンジョンではそれどころじゃ無かったから仕方ないことなんだが、落ち着いてから考えると気になるところだ。
「はぁ。なんか疲れたな。皆帰ってくるまで仮眠しよ。」
風呂を出た俺は真っ直ぐベッドに飛び込んで、深い深い仮眠に沈んでいった。




