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7-3 ハルルシア





「うーん。私的にはー。そうですねー。黒王号……デカくて黒いし。またはファーレンハイト。もしくは天空の船ラピョタ!!おまけでハルトの動くシロなんてどうです?」


「ハルト様…。」


「あぁ、可哀想だな。」


「名付けただけで可哀想って何ですか!?二人ともやめて!その憐憫の眼差しやめて!」


「アイナは放っておきましょう。ところでハルト様、慈愛溢るるハルト様の奇跡号なんていかがですか?」


「いや……長いかな。」


「そうでしたか。良い名前だと思ったのですが……。」


 なんか、ルカって見た目に寄らず独特なセンスの持ち主だな。天然なのか?


「じ、じゃあ…ブラックパール!!いやっ、空船!!むしろフナムシ!!」


 アイナが数撃ちゃ当たる戦法で適当になってる。


「アイナ…本気ですか?もっとハルト様の造って下さった船を尊びなさい。」


「くっ……。確かに適当になってはいたなぁ。ハルトさん!私もっと本気を出しますから期待して待ってて下さいっ!!!」


 アイナはルカに言われて覚醒したようで、本気でセンスを捻り出そうと、うーんうーんと唸りだした。


「いやっ、別に本気出さなくていいよ。つーか名前なんて無くても良くない?普通に飛空挺でいいじゃん。」


 これ以上時間をかけても、楽しみなフライトの時間が押すだけだ。

 なので、飛空挺という名に無理矢理決めてしまおうとしたら、ずっと静かにしていたシロが口を開いた。


「……ハルルシア!ハルルシアがいーなー!!」


 前の泥船の時はご主人様丸(ごしゅじんさまる)とか言ってたのに、今回はオシャレっぽい感じできたな。


「ハルルシア?どういう意味だ?」


「ご主人様とルカちゃんとシロとアイナ!それでハルルシアがいーなーと思ったの!!!」


 なるほど、頭文字を取ったのか。


「だったらハルシアじゃないのか?」


「ご主人様は特別だから二つ使うの-。」


「おー!流石シロちゃんだわー。ネーミングセンスが完璧なのは魔法で知ってたけど、ご主人様への愛情までも完璧だとはこりゃ参ったね!!」


「飛空挺ハルルシア。…確かに素敵な名前ですね。とても良いと思いますよ。」


「よし、じゃあ満場一致で飛空挺ハルルシアで決定だな!シロ、ナイスだぞ!!昼ご飯は特別大サービスで大盛だな!」


「へ?…ハルトさん本気ですか?」


 ん?アイナがこいつ大丈夫か?みたいな目で見てくる。なんか変なこと言ったかな。


「……ハルト様。もうじき日が落ちます。邪魔しては申し訳ないと思い三人でお昼ご飯は済ませてしまいましたが…随分と集中なさってたのですね。お昼ご飯をお持ちすれば良かったですね。」


 ありゃりゃ。


 遅い昼になっちゃったかなーなんて思ってたら既に夕方だったか。明るいから分からなかったな。


 確かに設計をかなり細部までイメージしまくってたからな。どうりで魔力がごっそり持ってかれるわけだ。


 正直こだわりすぎた。


「ご主人様いなかったから寂しかった-。お昼ご飯もう一回ある?シロお腹ペコペコだよー?大サービスあるー?」


「全然気付かなかったよ。みんな悪かったな。シロ、晩御飯まで好きなだけ食べて良いぞ!晩御飯一緒に食べたいからその分は余裕残しといてくれ!」


「アイアイサー!!!」


 その後シロは五人前の間食を終えた後に、晩御飯も五人前ペロリと食べきっていた。


 遠慮が無くなったシロはやばいな。王都まで食料保つかな。



 晩飯を食べ終えた俺達は今度こそ氷の極地から出発しようとしていた。

 

 そこで俺は気付いてしまったのだ。


「今更何だけどさ……遠距離転移があるの忘れてた。一瞬でムーバルまで行けたな。」


「え?ハルトさん転移なんて出来るんですか?!」


「うん。しかもみんな一緒にね。」


「もしかしてハルトさんって……天然ですか??ですよね?」


 まぁそう言われても仕方が無い。


「ハルト様はこの世界に来てまだ日が浅いですから。魔法に慣れていないのも当然のことです。それに四人での遠距離の転移では魔力の消費も激しいでしょうし。私はこの飛空挺ハルルシアでの

旅路が楽しみですから、転移ではない方が嬉しいです。」


 ルカシス……心のルカシスよ。


「ごしゅじんたまぁ!!転移はだめー!!ハルルシア泣くよ-?シロも泣くよ-?」


 シロシス…可愛すぎる。どちらも泣かせるわけにいかないな。


「そ、そうです!折角飛空挺用意したんだから空の旅を楽しみましょうよ!!アイナも泣くよー!」


 後発プレーヤーアイナ……二番煎じアイナ……パクリ野郎。アイナはまだまだだね。


「みんな気遣いありがとう。じゃあ折角創ったから俺達の飛空挺ハルルシアで王都まで行くとしよう!」


「「「はーい!!」」」


 あぁ、元気よく嬉しそうに返事してくれるみんなが可愛い。


 頑張って創った甲斐があったな。



「ここが甲板だ。もしかしたら魔物と遭遇するかもしれないから戦いに備えて動き回れる様に広く取ったし、船尾にいく通路も広めにしといた。」


「ほー!外観も立派でしたけど、甲板でこんなだと内装にもこだわってそうですね!」


「ここで日なたぼっこ気持ち良さそ-!!」


「まだまだこれからだぞ!俺にセンスがあるとは思ってないが、船内には相当こだわったからな!皆を待たせまくった結果を楽しみにしててくれ!」


 自らハードルを上げながら船内へと入って行く。


「ここが食堂だ。奥には厨房もある。これで俺のインベントリに食料が無くなってもまともな食事を作ることが出来るぞ!冷蔵庫付きだ!」


「やたー!シロは食べるのが生き甲斐-!!!」


「私も-!!!食料だけは確保を頼みます-!!!」


「大した物は作れませんが、頑張って腕を振るいます。」


 シロとアイナは食う気満々だ。ルカだけが厨房に立つイメージが湧いてきた。

 ルカはきっと良い奥さんになるな。ルカ用にエプロン買おう。


 食堂を出て、通路を進むと奥には広間がある。


「ここは大広間だ。会議室にもなるし、来客があればここを使う予定だ。念の為、来客用の部屋も隣に用意しといた。」


「来客用にしては随分と立派な部屋ですね!……確かにハルトさんは大物臭漂ってますからね!来客者も普通の人物は有り得ないでしょうから良い選択ですな。」


「素晴らしい部屋ですね。この絵も素敵ですね。」


「おぉ!落ち穂拾いと来ましたか!ラッセンにしないハルトさん渋いですね!」


「渋い-!!!」


 落ち穂拾いも好評のようだ。記憶の奥底にあった想像の落ち穂拾いだけどね。


「サクサクと行くぞ-。」


 俺は大広間から通路に出て階段を上がっていく。


 次は個人の部屋だ。皆喜んでくれるといいな。


 

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