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7-2 カジキ




「それにしてもアイスマンティスを一撃で倒せるなんてアイナは案外強いんだな。雑魚かと思ってたよ。」


「いやっ、今まではさすがに一撃じゃ無理ですよ。固いみたいだし、剣技無しじゃ尚更ですけど……出来ちゃいました!って雑魚とか今言いました?言いましたね?」


「アイナもダンジョンで強くなったみたいだな。良かったな。」


「そのようですね。アイナ……ハルト様に感謝しなさい。」


「うわっ……ハルトさんといると強くなれるって本当だったんだ。ハルトさんて神?鬼畜神?」


 アイナがそんなことを言っていると、氷の礫がアイナの額を捉えた。


「いたっ!!なにす、いたっ!あいたたたっ!!!」


「懺悔し悔い改めなさい。」


「す、すみませんでしたぁ!!!」


 アイナは何故か俺じゃ無くてルカに謝罪していた。


 こんな調子だと王都まで時間がかかりそうだな。



「アイナ。おでこが赤いぞ?熱でもあるのか?」


「いえ、問題ないありませんサー!!」


「良い感じですよ、アイナ。」


 ルカにアイナが調教されてしまっている。大丈夫かな。


「ところで王都までどうやって行く?のんびり歩いて行くか、ルカとルカがシロとアイナを背負って飛んでいくか。でもそれじゃルカに悪いからなぁ。」


「いえ、私は大丈夫です。アイナは少し重そうですが、修行になりますので。」


「私は軽いわよっ!!シロちゃんに比べたらちょっと重いくらいなだけよっ!!!」


「俺がアイナを背負っていこうか?」


「いえ、それだけは譲れません。」


「なんでよ!私がハルトさんでも問題ない……ことはないです!」


 調教が上手くいってるようで、自発的に出来る子になったようだ。

 アイナ大丈夫かな。


「歩きじゃ時間がかかりすぎるからな。となるとやっぱりあれか。」


「あれ~?あれってなーにー?」


「シロが好きそうな乗り物だ。飛空挺って感じのもんかな。」


「ひくーてー!!!!乗る!シロそれがいいー!!!」


 シロがめちゃくちゃ飛空挺に食い付いてきた。


「飛空挺?!エアーシップ?!ロマンですなぁ!!!それで行きましょう!!!」


 アイナもめちゃくちゃ食い付いてきた。


「ハルト様…お疲れでは無いですか?無理していませんか?」


 ルカはめちゃくちゃ心配してきた。可愛い。


「大丈夫だよ。ダンジョンで俺は楽させてもらってたからね。たまにはルカもくつろぎなよ。」


「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて魔力量を回復させたいと思います。何かあれば仰って下さいね。」


 ルカはやっぱりオアシスだな。ルカシス健在で良かった。


「じゃあ、早速創るから三人ともちょっと待ってて。」


 と言ったらみんなハーイと元気よく返事していたのに、すぐに勉強会プラス鍛錬が始まったのだった。



 飛空挺を創るなら広い所の方が良いだろうと思い、一人丘を越えた所まで来た。

 ここなら何かあればすぐに駆け付けられるし、完成するまでは見えないだろう。


 飛空挺といえばやっぱり船の形か。でも着陸したときにバターンと倒れないような形にしないとな。


 それに土だとなんか見た目がダサくなりそうな気がする。岩だと重そうだし。

 となると、やっぱり木だな。


 メインの材料は決まったのだが、肝心の木が氷の極地では生えていない。


 ここは緑魔法で木を生み出さないと駄目だな。


 そう思い、緑魔法で木を生やそうかと思ったところで気付いた。


 マジック・クリエイトの緑魔法で直に船を創っちゃえば早くね?ってことにだ。


 そうと決まったら早速脳内で飛空挺の見た目を考える。


 大きすぎると目立つし…でも小さすぎても格好良さが無くなってしまいそうだ。


 プロペラが先端にあり、布で出来た複数のマスト。連なった竹とんぼみたいなのも何本か生やそう。あとはドラゴンみたいな格好いい翼と、後はオシャレな尾翼も付けてしまおう。

 

 丸っぽい体系も可愛らしくてオシャレな感じするけど、やはりここは格好いい感じでカジキマグロっぽい形にしよう。


 あとは船内に個人の部屋を人数分で四部屋。あとは大部屋を一つに食堂と厨房。


 トイレや風呂も必要か。結構細かく設計するようだな。

 脳内イメージだけで上手くいくかな。


 それと重要な…操舵室だな。格好いい部屋にしたい。操縦はやっぱり舵輪だな。


 海賊みたいな大きめの舵で面舵いっぱーいと言ってみたい。恥ずかしいから言わないだろうけど。

 念の為、自動操縦も付けよう。


 とりあえずはこんなところか。


「よし、マジック・クリエイト。」


 在庫が大分減ってきたが、良さそうな魔石を動力源用に取り出し、マジック・クリエイトで創造を開始した。


 飛空挺の外観を360度から見たようにイメージし、その後に船内に入って行く。


 甲板部分から通路を通り食堂や厨房、広間を抜けて階段を上がると個人部屋。


 そしてその奥には操舵室。


 操舵室に入って舵へ魔力を流すと、理屈はよく分からないけどプロペラ君達が回り出して浮き上がる。

 

 あとは魔力を流す量によってスピードの速さが変わって舵で方向を決める。

 自動操縦は舵の横にあるレバーで選択出来て、事前に魔力を溜めておく感じだ。


 外観内装の細かいイメージが固まり、動力なども設定完了すると魔力が動き出した。


「うわっ、かなり魔力持ってかれるな。これ……足りるよね?」


 ちょっと調子に乗りすぎたかな。ゼロから創るのに細かくやり過ぎたかも。


 まだ魔法も発動してないのにかなり大量の魔力が消えていく。


「やばっ、ちょっと力が入らんぞ。」


 一度に使う魔力量ではないな。既にルカの全魔力量は軽く使用してるんじゃ無かろうか。


 「うーん、あんまり使いすぎてやばそうな時は魔法を途中で解除してしまうしかないな。」


 そんなことを思っていると地響きが聞こえ始め、地面が揺れ始めた。


 やがて地割れが起きると、地下の秘密要塞からロボットが登場するように、パッカーンと地面が割れて開くと飛空挺がゴゴゴゴゴーッと姿を見せ始めた。


 魔力の三分の一以上持ってかれたな。やばいぜ飛空挺!


「ハルト様ッ!!!大丈夫ですか?!」


「あっ、来ちゃったか。ごめんごめん、魔法の音だから大丈夫だよ。」


 俺が居たはずの方角から轟音と地響きが聞こえた為に、三人が猛ダッシュで来てしまった。


「うそ……。これ、ハルトさんが?」


「かっくいー!!!!!!!」


「凄い……なんて美しい船。」


 三人が来てしまった為そちらを見ていたら、どうやら飛空挺は完成していたらしい。


「うおっ!確かに……こりゃすげぇな。」


 振り返るとそこには想像していたよりも大きく格好良すぎる黒い飛空挺があった。


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