アフターストーリー
いつもと変わらぬ朝、家はドタドタと慌ただしい。
「わー遅刻遅刻! 朝練遅れちゃうよー!」
「うるさいぞ、もっと静かに走れないのか?」
「ええ!? じゃあ静かに走る方法教えてよ!」
中学に上がったばかりの娘が抗議の目でこちらを見てくる。
「自分で考えろ」
「だって目覚ましで起きれなかったんだから仕方ないでしょ! あ、パンだけ持ってくね」
「こら、お行儀が悪い。部活もいいけど、そろそろテストなんだから勉強も手抜くんじゃないぞ、父さん、お前の追試の面倒とか嫌だからな?」
「パパ、私の成績知ってて言ってる?」
常に成績上位五人の中に入る程の優秀な生徒に言うべき言葉じゃなかったなと少し反省する。
「はは、冗談だよ、まあ気をつけて行ってこい」
「うん、そっちも遅刻しないようにね? 先生?」
そう言って元気よく玄関を飛び出す娘を見ながら、髭を撫でる。
「まったく、誰に似たんだか……」
「あら、あなたじゃない?」
「君に似たんじゃないのか?」
「容姿端麗、成績優秀なのは認めますけど? あんなにお転婆じゃないですよ?」
「またまた、意外と子供っぽいところあるじゃないか」
「まあ、失礼な。そんな事言ったらお夕飯、抜きますよ?」
「はは、そりゃ困る。ごめんごめん」
「ふふ、さあ、あなたもそろそろ出る時間でしょ」
そう言われ、時計を見ると、確かにそろそろ出なければいけない時間になっていた。
「そうだな、それじゃあ行ってきます、しおん」
「はい、行ってらっしゃい、祐二さん」
これにてアゲイン~儚き夢の先へ~の物語は完結となります。
ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。
殆ど勢いで書いていましたが、完結させることができてとても嬉しく思います。
また執筆欲が出た時には、何か書くかもしれません。
その時はまたお付き合い頂けると幸いです。
それではまた!




