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9 船出



マリーと一緒に隣街に来た私は宿を取るつもりだった。だけどセルビアナ国ウータイに行く予定だと伝えると船の切符を取ってきて、すぐ乗ることが決まったのだ。まさか船の旅をすることになるとは思ってもみなかった。

実は船旅は生まれて初めて。ドキドキ、ワクワクです。サイラス様のことは考えないようにしてます。一緒に船に乗りたかったなぁとか考えてませんよ。本当ですよ。


「カホ様、風も強くないですから気持ちの良い船旅になりそうですね」


馬車の激しい揺れに辟易していた私はほっとした。風が強くないなら酔う事もないでしょう。


「ところでウータイへは何をしに行くのですか?」


マリーが聞いてきます。そういえば話してなかったです。


「この間タケル様から手紙が届いたのです」


タケル様の名前にピクっとしたマリーですが何も言いません。


「ウータイでたこ焼きが食べれるそうです」


「はい?」


マリーが首を傾げてます。この世界ではたこ焼きは馴染みがないのだからこの反応でも仕方ありませんね。


「正確にはウータイ焼きというそうですが、私はこれが食べたいのです。大好物なんです」


マリーは不思議そうな顔をしてます。


「もう5年は食べてないから楽しみです」


はっと目を見張ってマリーが私を見ます。


「それは楽しみですね。私も食べてみたくなりました」


マリーは優しいですね。たこ焼きを知らないマリーが食べてみたいと思うはずがないですから私の事を思って言ってくれたのでしょう。


船の従業員達が粗末な服を着てる私たちを訝しい目で窺ってます。乗客たちも蔑みの目を向けてきます。この列は個室に乗る人達だけが並んでいます。個室は身分の高い人が乗るところなんですね。皆さん豪華な服を着てます。


「カホ様、部屋で服を着替えたほうがいいですね」


マリーも視線に気づいたようです。


「そうね。高価な服も持ってきておいて良かったわ」


いざという時のため(主に売る為)にアイテムボックスに入れておいて正解でした。マリーのショルダーバッグはアイテム鞄なのでおそらくそこにいろいろなものが入ってるのでしょう。馬車で役に立ったクッションも今はそのかばんの中に収められてます。

 旅券を確かめた従業員は部屋に案内してくれました。2人部屋です。

思ったよりずっと広いです。


「カホ様、1人部屋が取れなくてすみません」


マリーが申し訳なさそうに言ってきます。


「2人部屋で良かったわ。船の中でひとりだと寂しいと思うの」



船の旅は始まったばかりです。この世界の船には風の魔法使いも乗ってるから大丈夫だと聞いてますが1人だったら乗るのに躊躇したでしょう。地に足がついてないのは不安ですから。マリーが一緒で良かったです。








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