表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/58

【番外編】初恋ーマリーside

    


 私の初恋はサイラス様だった。

 身分違いだってことは分かってたから始めから失恋は決まっていた。だからカホ様を初めて見たとき彼女がサイラス様に恋をしなければいいと思った。初恋は叶わないと言うけれどカホ様の初恋は叶えてあげたかったから。だって幼い時に違う世界から女神様に連れて来られるなんて酷い。だから彼女には幸せになってほしい。

 でも私の心配をよそにカホ様は段々とサイラス様に惹かれていった。私とメリーはカホ様が悲しむことのないようにタケル様が現れた時はこの方に助けてもらえないかと思っていた。

 でもカホ様はタケル様に助けを求めなかった。

サイラス様が妃を娶ればカホ様はどうなるのか心配してたけど、タケル様という存在が現れたことでサイラス様がカホ様への愛に気付かれた。

 両思いの二人だ。私の初恋は叶わなかったけど、カホ様の初恋は叶った。これにて一件落着になるはずが、カホ様の命が狙われ、カホ様が家出され……本当に愛の試練ってあるんだ。これは女神様がこの二人の恋の行方を見て楽しんでいるのではと思う位、波乱万丈だった。普通は両思いの二人がここまでこじれることはないと思う。




「マリー、サミュエルを見なかった」


「いえ、見てないですよ。カホ様と遊んでいたのではないですか?」


「それが、かくれんぼで遊んでたのにいなくなっちゃたの。遠いところには行けないからいつもはすぐに見つかるんだけど、おかしいわ」


 カホ様は首を傾げてる。確かにサミュエル様の行動範囲は狭い。年齢もまだ四歳と幼い。ここの警備は厳重だから外に出ることは不可能。もし出るにしても唯一外に出れる扉の前にいた私が気付かないことはあり得ない。そんなことが出来るのはカホ様くらい……まさか……。


「もしかしてサミュエル様はカホ様と同じ魔法を……」


「えー! まさかそんな事、きゃっ」


「どうしました?」


「ここにいるわ」


 カホ様はご自分の足元を指差した。何もいない。でもずっと見つめていると段々とカホ様の足に抱きついているサミュエル様が現れる。キャッキャと笑ってる。

 サミュエル様が意図して魔法を使ったのかこれから調べなければならない。幼い子供が魔法を使うのは安全ではないのだ。


「もう、サミュエルはお母さんを心配させて。後でお父様に叱ってもらいますからね〜」


 サミュエル様を抱き上げながらカホ様はメッと叱るがあまり効果はない。でも幸せそうだ。

 初恋は叶わないというけれど叶う初恋もあるのね。私もこんな可愛い子供が欲しいわ。また恋をしてみようかしら。

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ