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【番外編】はじめてのデート



「本当にここで良かったのか?」


 サイラス様に聞かれて頷いた。ここへはタケル様の魔法で来たので家での時とは違う。あの時は船旅だったから、ここまで来るのも大変だった。セルビアナ国ウータイ、私が家出した時に目指した場所だ。タケル様からの手紙でたこ焼きの情報を得てたから目指したんだけど、本当に食べられるとは思ってなかった。


「また、お好み焼きを食べたくなったのです。でもタケル様をこんなことに使って大丈夫ですか?」


「結婚祝いに何がいいかと聞かれたから新婚旅行に連れて行けって言ったら、嫌そうな顔でわかったって言ってたから大丈夫だろう」


 嫌そうな顔って......でも国王であるサイラス様はとても忙しい。新婚旅行の間はお義父様が執務を代行してくれるとはいえ、そんなに長く城をあけられないから本来ならこんなに遠くへは来れないのだ。ここはタケル様に運転手の役を頑張ってもらうことにしよう。


「お好み焼きは私も食べたい。あれは美味しかった。海鮮が入ってるのがいいな」


「そうですね。私も海鮮が入ってるのにします」


 ここへ来るのはお忍びです。また密入国ですね。でもお忍びでないと、ゆっくりできないから仕方ないかな。


「お腹も空いてきたから食べに行くか」


「そうですね。なんだかデートみたいで嬉しいです」


 デートなんてしたことなかったから、旅行の間は甘えよう。城に帰ればデートなんて出来ないんだから楽しまないと損だよね。


「デートっなんだ? 楽しいことか?」


「デートって言葉ないんですか? 恋人が食事やショッピングとかそういう事をするでしょう? そいうのをデートって言うんです」


「ああ。それはいい。今日はデートだ」


「はい。初デートですね」


 とは言うものの二人っきりというのは無理な話でお付きが遠くから見張ってる。まあ、遠くからなので構いませんよ。


「マリーとリリーも連れてくればよかったのに...宿で留守番はかわいそうです」


「二人を連れてきたらデートにならないだろう」


 そうでした。デートなのに連れてきたらダメですよね。いつも一緒の二人がいないとなんだか変な気分です。

 

「ほら、恋人同士は腕を組むものだろう」


 腕を組むなんて、結婚式以来です。忙しくてなかなか二人の時間が作れなかったので本当に嬉しい。


腕を組んで歩く私たちは何故か注目されている。チラチラと見られてる。きっとサイラス様がカッコいいからだ。私の旦那様は変装しててもカッコいい。


「いい匂い。この辺りまで来るとお好みソースの匂いがしてきますね」


「そうだった。こういう匂いだったな」


 あの時はまさかまた二人で食べに来れるなんて考えてもなかった。それも夫婦になってはじめてのデートでお好み焼きを食べに来るなんて、誰かが予言したら笑ってたと思う。

 私はこの日を一生忘れない。何と言ってもはじめてのデートですから......。

 


 





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