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44 かくれんぼ4

   


 握った手は離さないがどこにいるのか探してるような視線だ。こればっかりは愛があっても無理だと思うよ。


「サイラス様? 何かありまして?」


 ほら、クリスティーナ様に気付かれるじゃない。私の方ばかり向いてないで前を見ようよ。


「あ、いや何もない」


 棒読みだし......。本当に色々心配になってきたよ。とりあえず私の姿を探すのはやめてくれた。その代わりに握ってる手に力がこもる。


「そう? だったら返事を聞かせてくれます?」


「あー。それはまたにしよう。今日はこれで失礼する」


「えっ、カホ様はどうなってもよろしいの?」


 クリスティーナ様はガラリと態度を豹変させたサイラス様を訝しんでいる。ちょっと露骨すぎるよね。多分サイラス様は早く私を連れて帰りたいだけだろうけど.......。


「いや、そういうわけではないが...」


 サイラス様がなにか言いかけた時慌ただしい足音の群れが聞こえてくる。これは私を探してる人たちの足音かな。自分でも驚くほど落ち着いている。きっとサイラス様と一緒だからだね。どちらかと言うとサイラス様の方が挙動不振だよ。


「何事ですか騒々しい。陛下がおいでなのよ」


 足音を響かせて入ってきたのは侯爵家の騎士たちだった。サイラス様を見て慌てて跪き頭を下げる。


「はっ。失礼しました。賊がこの辺りに逃げたと思われますので探しておりました」


「賊? それは確かなの?」


 クリスティーナ様は目を見張ってる。


「他は全て見て回りましたので間違い無いかと」


「そ、それは危ないわね。サイラス様の言うように話は明日にしましょう」


 賊というのが私のことだと気付いたのか慌てたようにサイラス様に言う。私とサイラス様が出会わないように必死だね。


「では明日は城の方に来ていただけますか?」


 ほっとしたようにサイラス様が言う。


「はい。その言葉をお待ちしてました」


 クリスティーナ様は頬を染めて返事を返した。なぜ呼ばれるのかわかっているのだろうか。なんだかクリスティーナ様の精神が破壊されているような気がした。ウェディングドレスを着てる姿も痛々しい。


「なぜ呼ばれるのかわかっているのか?」


「え?」


 不思議そうな顔だ。無垢な子供の顔と同じだ。


「いや、いい。必ず来るように」


「はい」


 サイラス様私の手を引きながら考え込んでいるようだ。ちょっと早いよ。もう少しで転けそうになったよ。まあここで歩く速度が遅くなったら変に思われるだろうけど、少しはレディに合わせてよね。













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