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43 かくれんぼ3



 二人を見るのが嫌で逃げ出した。しばらくやみくもに走って、はたと気付いた。サイラス様が私を裏切る? それもこんな形で。冷静になればわかる。ウエディングドレスを着ている彼女の怖さが....。

 深呼吸をして元いた場所に戻る。まだ二人で話してる。でも私が思っていたような状況とは違うようだ。サイラス様は焦っているように見える。


「カホはどこにいる?」


 サイラス様の台詞に私を探してここに来ていることがわかる。良かった、去らないで。彼を信じることが出来て本当に良かった。やっぱり逃げてばかりじゃダメなんだね。


「さあ、私は知らないわ。私たちの結婚式が終われば出てくるのではないかしら」


あの優しかったクリスティーナ様の姿はそこにはない。


「正気か?」


「私はいつでも本気よ。あの子さえいなければ貴方だって私を選んだはず。どうしてあんな黒髪の子に私が負けるの?」


 クリスティーナ様は本当は黒髪が嫌いだったのね。サイラス様に合わせてただけだったのだろう。小さな頃から彼女は王妃候補だった。その為に育った彼女にとって私はトンビだったのかもしれない。突然現れてサイラス様の隣に立つようなった私に彼女はとても優しかった。その時は私がサイラス様と結婚する事になるなんて思ってもみなかったからだろう。


「あんな黒髪の子って.....君は彼女のこと気に入ってると思ってたよ」


「貴方が可愛がってるから合わせてただけよ」


「侍女を使って毒殺しようとしたのも君の仕業なのか?」


「さあ、どうかしら。あの侍女が何か言ったの?」


「いや、自分一人でやった事だと言ってる」


「そう」


 クリスティーナ様はやっぱり綺麗だな。どうしてサイラス様は彼女を選ばなかったのだろう。私が男だったら絶対彼女を選ぶのに......。

 ウエディングドレスもとっても似合ってる。

 ここで姿を現わす方がいいかな。でもここは彼女のテリトリー。サイラス様でも安全と言えないのではないかしら。だとしたら私がここにいるってサイラス様だけに知らせないと。


「で、どうするの? 返事は急いだ方がいいと思うわよ」


 案に遅れると私がどうなってもいいの? って言ってるみたいに聞こえる。


「うっ......」


 サイラス様にもそう聞こえたのか言葉に詰まってる。私はそっとサイラス様に近付いた。そして彼の手に手を重ねた。


「えっ?」


 サイラス様がギョッとしたように声を上げて私の方を見た。ここで声を上げるって.......やっぱりサイラス様って......。




 


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