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37 勘違い

   


 朝が来たら夢だったということはなかった。昨日の出来事は現実だった。


「今日から一月は大変です。休みはありませんから、カホ様も覚悟してください」


「そ、それは皆さんの休みもなくなってしまうのですか? 交代で休みを取ってください。これ以上迷惑はかけられませんわ。マリーは私に付いてきてたから休めなかったでしょう? 休んでくださいな」


「何を呑気なこと言ってるんですか。休みどころか眠る暇もないほど忙しくなるっていうのに」


 マリーとメリーにコンコンと説教された。他の侍女さんたちはそれを見て笑ってる。時間が経ってないみたい。説教されているのに前とかわらない風景に私も笑ってしまい、更にお怒りをかってしまった。


「さあ、朝ごはんを召し上がってください。予定がびっしりありますから、ゆっくり急いで食べてください」


 ゆっくり急いでって、メリーもテンパってる?


「食べれないわ」


 食欲がなかった。これでもかという量の朝ごはんに首を振った。


「「「「「え⁉︎」」」」」


 皆の顔が青褪めてる。食欲がないくらいでそんなに驚かないでほしい。私だって食欲のない日くらいあるよ....って違うか。他のことを気にしてるんだ。


「ち、違います。毒とかではないです。ただ幸せすぎてお腹がいっぱいで食べれないだけです」


 空気が変わった。


「驚かせないでください。今日、王妃になる事が発表されるというのに、毒が混入されとなれば大きな騒ぎになります。今までとは違うのですよ」


「え? ちょっと待って。王妃ってなんのこと?」


「昨日プロポーズ受けてましたよね」


「結婚の事ならお受けしたわ。でも側室でしょう? 私は貴族でもないし.....それに王妃にって事なら結婚式はひと月でなんて無理よ。側室だってひと月は難しいのに、だから王妃にっていうのはあなた達の勘違いよ」


 どうして王妃になるなんて思ってるんだろう。私は異世界人でおまけになんの能力も授かってないのに。


「勘違いしてるのはカホ様ですよ。サイラス様はずっとカホ様の事を王妃にって考えてましたよ。ひと月で準備が出来るのは、カホ様の返事がもらえたと勘違いしたサイラス様が先走った結果です。ウェディングドレスも仮縫いまで終わってるし、招待状も発送するだけなんですよ。まあ、他国の方々はひと月後の招待状に驚くことになると思いますが....」


 側室の結婚なら他国の人を呼ぶ必要はないが、王妃となる人との結婚になると他国の王族を招待する必要がある。普通半年前くらいには招待状が発送されてなければならない。それは驚くよ。っていうかなんでそんなに急ぐのよって思われるよ。


「......むり、無理です。王妃なんて大役、無理」


「そのような事言われても、もう招待状は発送されましたよ」


「え? もう? 昨日の今日なのに......本当に私で大丈夫なのかしら」


「大丈夫ですよ。サイラス様に全てを任せたらいいんです。それにカホ様の後見人はタケル様です。今、この世界でタケル様に逆らうほど度胸がある方はいませんよ。魔王を倒された方っていうのはカホ様が考えてるより、ずっとすごい人なんですよ」


「そうですよ。カホ様に会わせてくれって言われてあのサイラス様が断ることができなかったんですから。それほどの方が後見人になったのですから胸を張ってればいいのです」


 メリーもマリーもタケル様は凄いって言うけど、私は彼の凄さがイマイチよくわからない。魔王が現れた時から倒されるまで、私は何も知らされずいつものように暮らしてたから危機感がなかったせいだろう。

 タケル様ってナナミさんにピコピコハンマーでポコポコ叩かれてたイメージしかないんだけど。まあほとんど当たらなくて、ナナミさんに『かくれんぼ使って叩いてほしい』って頼まれて困ったっけ。

 結婚式には会いに来てくれるかしら。情けない姿は見せられないね。頑張ろう。














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