24 恋の予感?
ラーメンを食べ終わった時には、みんなの食べ方もサマになっていた。
「なんだか啜って食べるの恥ずかしいです」
マリーが恥ずかしそうにナフキンで口元を拭いてる。
「マ、マリーさんはどんな食べ方しても綺麗です」
ルドリアさんがなんだか変です。これはアレなの? もしかして恋? ルドリアさんはマリーが好きなの?
「綺麗だなんて言われたの初めてです」
マリーの顔が真っ赤だよ。なんか私お邪魔虫?
マリーは綺麗でスタイルもいいからルドリアさんが惚れるのもわかる。私が男だったらほっとかないっていつも思ってるから。ルドリアさんも元伯爵家のご子息だけあって、気品があり顔も整ってるし、銀の髪を伸ばして肩のあたりで結んでるのが嫌味なく似合ってる。
お似合いの二人だけどマリーは俯いてるし、ルドリアさんもあれだけ気障なこと言った割に、それ以上は何も言えずもごもごしてるだけ。
ノアとリリーもニヤニヤと笑って二人を眺めてる。 二人にもわかるなんて!でもねマリーは奥手だからルドリアさんが頑張らないと進展は難しいよ。頑張れ〜。
「ラーメンとはこういうものだったんですね。この調理場はタケル様が使ってたんです。ラーメンを作りたいと言って作ったことがあります。出来たものはこれとは全然違うものでしたが......材料も知識も足りないって嘆いてました」
ルドリアさんはゴホンと咳をするとしみじみと呟く。どうやらタケル様は日本の食べ物の再現をしたかったみたい。そういえば彼からの手紙は食べ物のことばっかりだった気がする。私は10歳の時にここに来たから作れるのはゆで玉子か玉子焼きくらい。あとポテトサラダも得意だ。ん?マヨネーズがあるからポテトサラダなら作れるよ。
「マリー、ポテポテでポテトサラダを作ろう」
「ポテトサラダですか?」
マリーが驚いたように聞く。
「母がいつも言ってたのを思い出したの。男は胃袋捕まえたらイチコロだって」
マリーも他のみんなも呆れたように私を見てる。でも、タケル様の食に対する執念を見てるとあながち嘘でもないと思う。
マリーを急かせてポテトサラダを作る。リリーとノアも手伝ってくれる。ルドリアさんは他にも用があるようで、名残惜しそうに去っていった。
異世界で初めて作ったポテトサラダはサイコーとまではいかなかったけど、懐かしい味がして泣いてしまった。ーーサイラス様に食べてもらいたかったなぁ。




