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11 ウータイ焼き



宿は結局高級宿になってしまったようです。着ている服が良すぎたんですね。仕方ありません。


「お金足りるかしら?」


「頂いた宝石は全部持ってきたんでしょ? だったら大丈夫ですよ。一生遊んで暮らせますよ」


え? そんなに高価なものなの? 働き口が決まるまで暮らせるお金をと思って持ってきたのに大丈夫かしら。


「窃盗とかにならないわよね?」


「カホ様の宝石なんだから大丈夫ですよ。サイラス様はそんなケチくさい事しません」


「そうね。とても気前のいい人だもの」


私たちは宿で着替えて、ウータイ焼きを食べに行くことにした。


「ウータイ焼きはどこで食べれるんですか?」


マリーが聞いてきます。


「えーっと。確か『青の海月亭』とかいう宿屋にある食堂だったと思う」


「宿の客でなくても食べれるんですか?」


「誰でも食べれるってタケル様の手紙に書いてたから大丈夫でしょ」


「手紙ですか?」


「そう。タケル様は魔法で手紙をくれてたの。何か困ったことがあれば言ってくれって。その手紙には同じ世界から来た人のことが書かれてたわ。このウータイ焼きのこともそれで知ったのよ」


その手紙を貰った時から、10歳のころの大好物だったたこ焼きを食べたかった。ウータイ焼きはたこ焼きと同じだってタケル様は言ってるけど本当に同じ味なのだろうか?


マリーが宿の受付の人に『青の海月亭』の場所を聞いてくれた。ここからすぐの所にあると聞いてホッとした。あまりに遠いと明日になってしまう。


「少し遅くなりましたね。ウータイ焼きは夕飯になりますか?」


「夕飯には物足りないかも、足りなかったら他のものを追加すればいいわ」


もうすぐ日が暮れそうです。

少し歩いていてると懐かしい匂いが漂ってます。この匂いは間違いないです。たこ焼きの匂いです。


店に着きました。

まだ日が暮れはじめた時間なので、空席があります。そこに2人で座ると、女の人が注文を聞きに来ました。


「ウータイ焼き2つお願いします」


「飲み物はいりませんか?」


メニューを見るとグレープジュースがあります。これは本当にグレープジュースなんでしょうか?


「グレープジュースも2つお願いします」


ドキドキしてます。まさかグレープジュースまで飲むことができるなんて思っても見ないことです。


「はい。ウータイ焼き2つとグレープジュース2つですね」


テーブルに置いてくれます。伝票みたいなものも置いていきます。帰る時はこれを見せてお金を支払うようです。


グレープジュースは炭酸が入ってます。やっぱあのグレープジュースで間違いないです。飲んでみると懐かしい味がします。


「このジュースは変わってますね。果物のジュースとは違って口の中がしゅわしゅわします」


そしてウータイ焼きはやっぱりたこ焼きの味です。タケル様の話は本当でした。


「たこ焼きに間違いないわ。しかもマヨネーズまであるなんて信じられない」


「これがたこ焼きですか。変わった味ですね」


マリーも気に入ってくれたようです。

先ほどジュースとウータイ焼きを持ってきてくれた女の人が驚いた顔で私たちを見てます。何か変なこと言ったでしょうか?






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