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信者の町

 開拓と感謝の町、ブラガダリュー。


 おれは一人でここにやってきた。


 戦艦建造、リース増産、日々の仕事。


 やる事が増えて、奴隷を五人全員おいてきた。


「領主……じゃなくて王様!」


 駅について列車から降りるなり、町長のザハールがおれのところに駆け寄ってきた。


 口調といい行動といい、相変わらずアクティブな男だ。


「待ってたのか」


「はい!」


「そうか。歩きながら話そうか」


 ザハールとならんで歩きだす。


 ブラガダリューの町を歩く。


「だいぶ発展してきたな。何もなかったあの頃が嘘のようだ」


「王様と、王様の奴隷たちのおかげです。


「おれは大した事してない。衣食住の基本を確保しただけだから」


 そんな風に言い返すと、町のある事に気づく。


「そういえばこの街、他に比べて二階建ての家が多いな」


 ざっとみた感じ、二割くらいが二階建ての家だ。


 基本おれは木の家だけを建てる、誰であろうと、町に住み――いまじゃ国民って扱いだけど、そうする人間には無料で木の家を提供する。


 魔力2500を消費して、アブノイ草×50、木片×300、ブッシノ石×10という素材で作る木の家。


 それを作って提供してるが、そこまでだ。


 それ以上の事は要望があり、何か対価を支払えばやってやるというスタンスだ。


 その辺の事は奴隷カードのランクが上がってきてからはユーリアに一任してある。


「みた感じ二割くらいが二階建てになってるな」


「王様のおかげだ。みんな必死に働いてる。働いて、それで家を建ててる」


「へえ。にしてはプシニーの消費が一番多いけど、それはなんでだ?」


 ユーリアグラフを思い出す。


 町ごとにまとめた需要グラフの食で、ブラガダリューだけぬきんでて需要がおおい。


 と言って、他が大抵ゼロなのに、ここだけ2段階もあるってだけの話だ。


「節約してるからかな。プシニーはいくらでも食べていいって王様が言ったから、早く家を増築したい人は食べ物をそれだけにしてるんだ」


「なるほど」


「まずかったですか?」


「いや? まったく。プシニーならいくらでも消費して構わない」


 極論、プシニーを消費するだけのニートになったとしても別に構わない。


 そう言う方針を打ち出したのはおれで、ルール・レギュレーションの中にある限り介入するつもりはない。


「だがそういうことなら補充は早めに言えよ? ユーリアが把握してるだろうが万が一の事もある」


「わかった」


 話してるうちにブラガダリューを横断して、町の反対側についた。


 そこに町民達がいた。


 数は100くらいで、よく見れば反応が両極端だ。


 半分は見た事のあるような顔で、おれに熱視線を送ってくる。


 手を合わせて「ブラガダリュー、ブラガダリュー」と念仏のように唱えてる。


 今までの町民だろう。


 もう半分はおれをうさんくさい目で見ている。


 身なりもぼろぼろで、難民の様な格好だ。


「あっちが新しい町民か」


「そうなんだ。三分の二くらいがシュレービジュから戻った人間、残りの三分の一は噂を聞きつけて流れてきた人たちなんだ」


「うわさ?」


「王様の国の噂。最近あっちこっちで噂になってるらしいよ。この国に来れば楽できる、地上の楽園なんだって」


「へえ」


「それで来たのは良いけど、結局働かなきゃいけないって事を知ってふてくされてる人もいるんだ」


「なるほどな。まあ、衣食住は保証してやる。あとは本人次第だ」


「はい!」


 大きく頷くザハール。こいつもおれの方針をよく知ってる一人だ。


 さて、やるか。


 奴隷達の手が空かないから、おれが代わりにきた。


 木の家、布の服、プシニー。


 生存に必要なものを次々とDORECAで、魔法陣で作っていく。


 元からの町民は歓呼しながら魔法陣から完成に動いた。


 新参者たちは最初不満そう顔をしてたが、徐々に感化されていき、最後の方には元の町民達と一緒におれの事を称えだした。


 称えるのはいいけど……。


「ブラガダリュー」


「ブラガダリュー」


「ブラガダリュー」


 みんなでそれを連呼するのはどうかと思うぞ。


 開拓の町、感謝の町。


 後々宗教の町になっていくんじゃないかって、おれはちょっと心配になってくるのだった。

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